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西原宏一_メルマガ取材記事
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バカラ村の「FX専業トレーダーの相場観」

米ドル/円は中期的に105円台へ下落かも。
参院選後にトランプ大統領が日本に圧力!?

2019年07月16日(火)12:14公開 (2019年07月16日(火)12:14更新)
バカラ村

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■良好な米雇用統計でも米国は利下げへ!

 先週、7月8日(月)~12日(金)の週は、7月5日(金)の米雇用統計が良かったこともあって、行き過ぎた利下げ観測が後退し、米ドル/円は108.99円まで上昇しました。

【参考記事】
ドル/円の大きな流れは戻り売り。利下げはいつ? パウエル議長の議会証言に注目!(7月9日、バカラ村)

 それまでは、7月30(火)~31日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、0.5%の利下げが実施される可能性も高まってきていましたが、それがいったん、剥落した状態になりました。

 そして、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言が、7月10日(水)・11日(木)に行われましたが、「不透明感が、引き続き見通しを悪くしている」、「インフレ圧力が依然として弱い」と発言しました。

パウエルFRB議長の写真

半期に一度の議会証言で「不透明感が、引き続き見通しを悪くしている」、「インフレ圧力が依然として弱い」と発言し、7月FOMCでの利下げを示唆したパウエルFRB議長 (C)Bloomberg/Getty Images News

 7月5日(金)の米雇用統計の良い数字でも、利下げへの見通しを変えていないことを示唆し、さらに、低インフレの日本のように対策が後手に回らないよう、利下げを行う可能性を示唆しています。

 それらの発言を受けて、米ドル/円は108.99円から、107.86円まで下落しました。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足チャート

(出所:TradingView

 大きな流れは米ドル安だと思いますが、目先はまだ、方向性が出るほどの状況ではなく、米ドル/円は108.60円まで反発後、107円後半で推移しています。

■市場が楽観的になるまで株価の上昇は続く!?

 株式市場は、パウエルFRB議長が利下げの可能性を示唆したことを受けて、米国株の主要3指数が、最高値を更新してきています。

NYダウ 日足
NYダウ 日足チャート

(出所:Bloomberg)

ナスダック総合指数 日足
ナスダック総合指数 日足チャート

(出所:Bloomberg)

S&P500指数 日足
S&P500指数 日足チャート

(出所:Bloomberg)

 年後半、もしくは来年(2020年)には、景気減速が見込まれていますが、今は利下げが行われ、ECB(欧州中央銀行)も緩和方向に向いていることもあって、株式市場はまだ、堅調な推移が続くものと思います。

 市場参加者には、景気減速懸念があるため、上昇に疑心暗鬼になっている向きもあることから、今はまだ、上昇しやすいと思います。市場が楽観的になり始めると下落への可能性が出てきますが、それはまだ、先になりそうです。

■7月FOMCでは0.25%の利下げが有力か

 市場の注目は、7月30(火)~31日(水)のFOMCでの利下げ幅となっていますが、私としては、0.5%の利下げはやりすぎだと思いますので、0.25%の利下げを行い、今後も利下げを継続していくことを示唆するのではないかと考えています。

米国の政策金利の推移

※2008年12月以降は誘導目標レンジの上限を掲載
※FRBのデータをもとにザイFX!が作成

 もし、FOMCまでに、市場が0.5%の利下げを織り込むような状況になっているようであれば、0.25%の利下げ幅では株式市場が崩れてしまうので、そのときは、市場の催促に応えるため、0.5%の利下げをやらざるを得ないと思いますが、可能性としては低いと考えています。

【参考記事】
7月FOMCでの0.50%利下げ予測が再燃! ドル/円は目先104円台、中期的に100円へ(7月11日、西原宏一)
市場の過剰反応は利益を上げるチャンス! 米ドル/円は当面、逆張り戦略が有効か?(7月11日、今井雅人)

■参院選後にトランプ大統領が日本に圧力!?

 7月21日(日)は、日本の参議院選挙の投開票があります。

 トランプ大統領は、「中国と欧州は通貨を安くしている」と不満を述べていますが、日本に対しては直接、言及していません。

 米財務省の為替報告書では、「円は過去20年の平均よりも25%安い」と指摘されているにも関わらず、日本円への直接の発言は、出てきていません。

 ただ、参議院選挙前ということから圧力をかけておらず、選挙が終われば、中国人民元やユーロと同じように、円にも圧力をかけてくる可能性があります。

トランプ米大統領の写真

バカラ村氏は参院選が終われば、トランプ大統領が中国人民元やユーロと同じように、円にも圧力をかけてくる可能性があると指摘 (C) Chip Somodevilla/Getty Images

 中銀の金融政策面からは、FRBは今後も利下げを継続、それに対して日銀は、緩和策が限界にきている状態です。

 米ドル/円がさらに下落していくようであれば、日銀も緩和策を出してくると思いますが、限界が近いこともあって、緩和をしても円安の動きは2~3日程度で終わり、最後は円高になってしまうのではないかと思います。

【参考記事】
トランプ大統領が米ドル安誘導に本腰!? リスクオン相場でもドル/円下落のワケは?(7月15日、西原宏一&大橋ひろこ)

■米ドル/円は中期的に105円台へ下落の可能性も

米ドル/円は、今はまだ、しっかりとした方向性がつきにくいという考えから、戻り売りで回転させるという考えのままです。

 ただ、FRBが利下げを継続すること、トランプ大統領の通貨への圧力、英国の合意なき離脱へのリスク、中東の地政学リスクなど、米ドル/円の上値を抑える材料は豊富にあります。

【参考記事】
ドル/円の大きな流れは戻り売り。利下げはいつ? パウエル議長の議会証言に注目!(7月9日、バカラ村)
ハト派FOMCとリスク回避で米ドル/円は買われる状況にない! 上がったら売りで(6月18日、バカラ村)

 今はまだ、方向性が出にくく、一気に下がるような動きが出てくるとは考えていませんが、米ドル/円は中期的には、105円台への下げもあるのではないかと考えています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

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