■大幅利下げでもトルコリラが上昇しているワケは?
利下げ後のトルコリラは堅調で、対円で19.50円台まで上昇する場面もありました。大幅利下げなのにトルコリラが上昇した、ということに違和感がある投資家が多いのではないかと思います。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 日足)
実は、トルコ中銀が大幅利上げ(6.25%)を行った昨年(2018年)の9月13日の直後も、トルコリラは投資家の予想とは逆の方向に動きました。
【参考記事】
●トルコ中銀は、6.25%利上げで満額回答! トルコリラ/円が20円超えを目指すには…!?(2018年9月14日、エミン・ユルマズ)
大幅利上げにも関わらず、利上げ直後、トルコリラは下落し続けました。しかし、やがて利上げの効果が表れ、トルコリラは上昇に転じました。
つまり、トルコリラの場合、利上げ・利下げの効果が表れるまで少し時間がかかるということです。
また、今回の利下げで政策金利である1週間物のレポ金利は下がったものの、FX投資家にとって重要な翌日物金利は変わりませんでした。
FX投資家にとって重要なのはスワップ利益(空売りの場合スワップコスト)です。これは翌日物の金利で決まる場合がほとんどなので、今回、トルコリラのロングポジションの解消は進みませんでした。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 4時間足)
むしろ、利下げを予想した短期の売りポジションは、トルコリラが上昇に転じたことで急速に巻き戻され、トルコリラのさらなる上昇をもたらしました。
トルコ中銀は、今年(2019年)3月にトルコリラの流動性を枯渇させ、空売りコストを急上昇させてから、ロンドン市場でトルコリラのプレイヤーが少なくなったと言われています。トルコリラのボラティリティが減っている背景には、このような事情もあります。
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