■合意なき離脱懸念から、英ポンドは下落
先週(8月26日~)から今週(9月2日~)にかけては、最近にない激しい相場展開となりました。
政治要因で相場が動いているときは、本当に恐ろしいと改めて思い知らされた1週間でした。
まず、一番のきっかけは英国のEU(欧州連合)離脱、いわゆるブレグジット(BREXIT)に関して。
当初、いよいよ政局が混乱してきて、10月末の合意なき離脱が現実化してきたのではないかということで、英ポンドが売られ、英ポンド/米ドルは最近の安値を更新。英ポンド/円も、最近の安値に迫る展開となりました。
【参考記事】
●市場を膠着させている4つの「摩擦」とは? 英ポンドはブレグジット後の最安値更新も!?(8月22日、今井雅人)
●円高になりやすいのは自明の理。ドル/円の106円台半ばあたりは、良い売りレベルか(8月29日、今井雅人)
●合意なき離脱の可能性が徐々に高まる! 英ポンド/米ドルは1.15ドル目指す動きに!?(9月3日、バカラ村)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
■議会の反撃でジョンソン首相が窮地。英ポンドは急騰
このまま続くかと思われていましたが、ここから英議会の反撃が始まります。
まず、EU離脱に関して、「EUとの合意が期限までに得られない場合、期限を3カ月延長することをEUに要請しなければならない」という法案を野党側が提出してきました。
この審議についての動議に対して、与党の一部が造反して賛成に回り、法案の審議に入ることが決まりました。これで市場は動揺します。
審議に入れば、可決される可能性が高く、そうなると10月末の合意なき離脱の可能性がかなり低くなるからです。
これに対して、ジョンソン英首相は、議会を解散して10月15日(火)に総選挙を実施しようとしましたが、解散に必要な議会の3分の2の賛成を得られず、総選挙を実施することができなくなりました。
これで、ますますジョンソン英首相は窮地に陥り、EUに離脱期限延長を要請しなければならない可能性が高くなってきました。
EU離脱に対して強気の姿勢を見せていたジョンソン英首相にとっては、大きな打撃です。
ジョンソン英首相は議会を解散して10月15日(火)に総選挙を実施しようとしたが、議会の3分の2の賛成を得られず、実施できなくなった。EUに離脱期限延長を要請しなければならない可能性が高くなり、ジョンソン英首相にとって大きな打撃 (C)Justin Sullivan/Getty Images
こうした状況を受けて、英ポンドは急騰。英ポンド/米ドルは1.23ドル台、英ポンド/円は132円台まで一気に跳ね上がりました。
(出所:TradingView)
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次に、香港の行政長官が…
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