■トランプ政権にとって、トルコは重要な外交問題ではない?
また、エルドアン大統領は昨日(11月19日)の演説で、米国がF35を売ってくれないなら、トルコは別のものを探すと話しています。
別のものとはロシア製の戦闘機のことであり、米国がロシア製のミサイルを購入したトルコにF35を渡さないと発表してから、トルコはロシア製の戦闘機に関心を示すようになりました。
F35の製造プログラムからトルコが外されたのは安全保障の面だけでなく、経済的にもトルコにとって痛手になりました。
当初の計画では、トルコの企業が戦闘機の部品の一部を製造し、中東におけるメンテナンスセンターもトルコに置かれる予定でした。
個人的には、S-400問題は解決の糸口が見えず、最終的にはトルコにCAATSA法(対敵対者制裁措置法)に基づく制裁が科される可能性が高くなったと考えます。
【参考記事】
●EU主要国と米国がトルコ制裁を実施! でも、トルコリラ/円が暴落しないワケは?(10月16日、エミン・ユルマズ)
しかし、そのタイミングはいつになるか、予想が極めて難しいです。トルコに友好的なトランプ大統領はウクライナ疑惑において弾劾の危機に直面していて、米中貿易交渉も行き詰まってきています。
トランプ政権にとってトルコはさほど重要な外交問題ではなくなってきました。この情勢はトルコにとってチャンスでもあり、交渉力と交渉のための時間を与えています。
■トルコ政府介入もあり、トルコリラは小動きが続く…
今週(11月18日~)のトルコリラですが、対円では19円を挟んだ攻防が継続しています。今週(11月18日~)は重要な経済指標の発表もないためトルコリラのボラティリティは非常に小さくなっています。

(出所:TradingView)
先週のコラムでもお伝えしたように、トルコ政府は現在、為替レートを完全にコントロールしています。
【参考記事】
●トルコリラ/円は18円台後半で小動き継続。スワップ狙いの投資家にチャンスか!(11月13日、エミン・ユルマズ)
そのため、トルコリラがトルコの経済指標の発表で動く幅がとても少なくなりました。
今後、為替レートに大きな動きがあるときは、対米外交が絡む地政学的なリスクが高まったときか、国内の政治的なイベントが発生したとき(たとえば解散総選挙)だと考えます。

(出所:TradingView)
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