■YouGovの世論調査を受けて、英ポンド上昇
ただ、年末年始は、こうした変化は、まだ起きそうにありません。
このような環境下で、年末年始の注目ペアは依然、英ポンド/米ドルということになります。
本稿執筆時点での英ポンド/米ドルは、一時1.2949ドルまで急騰。
(出所:Bloomberg)
要因は、調査会社YouGovが行った世論調査です。
本日(11月28日)日本時間7時に、YouGovが世論調査を発表。
YouGovの世論調査によれば、12月12日(木)の総選挙で保守党が359議席を獲得し、下院で過半数を占める可能性が高まっているそうです。
■英ポンド上昇の材料になったMRPとは?
今回の世論調査では、MRPという方式を使用した模様。
では「MRP」とは何か? 英国の選挙結果を正確に予測できるのか?
ブルームバーグの英文記事に解説が掲載されていたので、一部を翻訳して紹介します。
(1)MRPとは何か?
MRPは、「Multilevel Regression and Post-stratification」の略です。これは、標準的な世論調査よりも詳細な予測を提供することを目的に最近開発された手法です。
(2)なぜその手法はそれほど興味深いのか?
2017年の選挙において、他の世論調査結果ではテリーザ・メイ(当時の英首相)は勝利すると予測していましたが、MRPにおいては彼女は過半数を失うと予測していました。
(3)どのように機能するのか?
通常の1000人ではなく、約5万人の標準的な投票よりもはるかに多くのサンプルを使用することで、MRPはさまざまな種類の有権者を特定することを目指しています。
(4)その信頼性は?
YouGovによれば、MRPは極めて優秀な分析だが魔法ではない。この調査の作成には相当な時間がかかるため、最近の動向を反映していない部分もあります。
出所:Bloombergの記事を基に筆者翻訳
つまり、YouGovによれば、過度に信頼するのは危険だが、MRPは極めて優秀な分析手法であるとのこと。
2016年のブレグジットや、トランプ大統領の誕生において、多くの世論調査は機能していませんでした。
そのため、世論調査の分析手法の向上が話題に上っていましたが、そのひとつであるMRPが保守党有利を報道したため、注目されているわけです。
MRPの結果を受け、英ポンド/米ドルが、再び1.3000ドル台に向けて上昇中。
年末年始に向け、注目通貨は変わらず英ポンド/米ドルです。
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