■米中の懸念材料に金融市場は反応せず
為替市場は、全体的に横ばいの推移が続いています。
米中の通商交渉は難航しており、第1段階の合意内容だけでなく、日程もまだ決まっていない状態が続いていることから、為替市場は方向感のない推移となっています。
「香港人権・民主主義法案」が、米議会で可決しましたが、トランプ大統領が署名すれば、正式に成立となります。
これを受けて中国は、成立すれば報復措置をとることを示唆しています。
リスク回避の材料となりますが、まだ、トランプ大統領は署名していません。ただ、トランプ大統領が署名を拒否したとしても、再度、上下両院でそれぞれ3分の2の賛成があれば成立することから、この法案は成立する可能性が高いと思われます。
そうなると、米中の関係は悪化することになりますが、金融市場はこれには反応しておらず、米国株は上昇しており、米ドル/円は108円台での推移が継続しています(※)。
(※編集部注:本記事の寄稿後、11月26日(火)の東京時間に米ドル/円は一時、109円台へ上昇した)

(出所:Bloomberg)

(出所:TradingView)
■最悪の状況は回避か。米国側も歩み寄り!?
楽観的な材料としては、「米中の第1段階の合意が12月15日(日)までにできなかったとしても、追加関税は延期される可能性がある」との報道があります。一番懸念していた、消費財が含まれる品目への追加関税が延期される可能性があることから、この報道が正しければ、最悪な状況にはならないと考えています。
トランプ大統領は9月の時点では、「部分合意を求めない」と発言していましたが、今は「第1段階の合意」と言葉を変えて、部分合意ともいえる合意をしようとしています。そう考えると、米国側も歩み寄っている状況だと思います。
今回の香港人権・民主主義法案も、トランプ大統領が署名を拒否しても成立する可能性が高いため、署名をしてもいいと思いますが、それがまだされていないということは、トランプ大統領は米中の関係を悪化させたくない、とも受け取れます。

香港人権・民主主義法案は、仮にトランプ大統領が署名を拒否しても議会によって成立する可能性が高い。それでも署名しないのは、トランプ大統領が米中の関係を悪化させたくないと考えている証拠かもしれない (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
リスク回避の材料があるにも関わらず市場は反応しておらず、米中の関係も、これ以上の悪化はなさそうです。FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策が緩和方向に向いていることもあり、米国株はリスク選好が継続しています。
■英PMI悪化で英ポンドはレンジ下限へ
英国では、12月12日(木)の総選挙を前に、世論調査で振らされる動きとなっていますが、保守党が優位となっていることから、英ポンドは底堅い状態が続いています。
ただ、11月22日(金)に発表された、英11月サービス部門PMI(購買担当者景気指数)は48.6と、50を下回る悪い数字となりました。また、同製造業PMIも48.3と悪く、英ポンド/米ドルや英ポンド/円は、レンジ下限付近まで下落しました。

※BloombergのデータをもとにザイFX!が作成

(出所:TradingView)

(出所:TradingView)
英ポンド/米ドルは、まだレンジ内での推移が続いていますが…
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