先週の後半はアメリカの感謝祭もあって、ニューヨーク勢の参加左派が少ないこともあり、マーケットはあまり動きが大きくなかった。それでも米国株は史上最高値圏に張り付いたままであり、出てくる株売りのフローは利食い売りのみといった状態だ。
つまりリスクテークの勢いはおさまっていないのである。ドル円も109円台のミドルから大きく値崩れすることもなく、今年の下半期の高値圏でステイしたままである。
今日から12月。12月と言えばマーケットで気になるのは、アメリカではクリスマス商戦でアリ、日本ではボーナスシーズンである。これは毎年、同じ事なのでパターン分析の対象ともなる。同じサイクルで起こることなので、今年だけ格別なことは起こらないだろうということ。
日本のボーナス支給の集中日は12月10日とされている。それゆえに10日に向けて証券会社などからの新規投信の設定が多くなるのである。むろん設定日において募集できた分だけ市場から株を買い上げるのが正攻法だが、ある程度の売れ行きが見込まれているのが普通だから、その前に買いだめて仕込んでおくというのが一般的だ。
自社の分だけに限らず、一斉に新規設定されるのだから、株価が上昇した後で仕込んでも、その後のパフォーマンスが悪くなってしまうからだ。違う見方をすればフロントランニングで安いところで手を出しておいて、高くなった後に顧客につかませるだけとも考えられる。
12月にはお休みモードに入るので世界的にもイベントが少なくなるのが通常だが、今年の12月は政治に絡んだイベントが多い。まずは今週にはNATOの首脳会議がある。今晩にはトランプ大統領も放映するようで、また予算のありようが議題に上がるだろう。
そのイギリスでは総選挙がある。下馬評では保守党が過半数を取るとされているが、それが来年1月下旬のEU離脱を容易なら占めるとは限らない。英議会で離脱法案を審議するときにまた造反とか出てくるかも知れないのだ。
15日までにはアメリカの対中完全の期限を迎える。足下で進んでいるとされる米中交渉がそれまでにまとまらなければ、追加関税が発動されることになるのだ。先週に香港人権法が成立したことで交渉はより困難なものになったと思われるが、どこまで妥協が図られるかが注目となる。最悪の場合、何も妥結できずにトランプ大統領が活かし出すかもしれない。
また半島情勢でいうと、今月のうちに在韓米軍の費用が決められる。5倍になるといわれているが、これが先日のGSOMIA問題とどう絡んでくるのか。また北朝鮮が夏場に示した米朝下段をするための下ごしらえの期限も12月までである。こう並べてくるとトランプ大統領はとても忙しい。しかるにマーケットもっと気の抜けない12月になると言うことを示唆している。
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