■東京市場を2大イベントが直撃!
先週(12月9日~)は、イベントが集中しましたね。
なかでも注目されたのは、12月13日(金)に開票された英総選挙。そして、12月15日(日)に追加関税の発動が予定されていた米中通商協議でした。
【参考記事】
●英総選挙の出口調査で保守党が圧勝! 対中関税も見送りへ…ポンド急騰&円下落
米中については、前回の対談でも話したとおり、12月15日(日)よりも前に何らかの発表があるだろうと思っていましたが、フェーズ1の合意が発表されたのは12月12日(木)の深夜。英総選挙と重なる形になりました。
【参考記事】
●英総選挙、12月13日昼前には大勢判明へ。ポンドは急騰か? セル・ザ・ファクトか?(12月9日、西原宏一&大橋ひろこ)
英総選挙では、保守党が予想以上の大勝で来年(2020年)1月のブレグジットへの道筋が整い、同時に米中がフェーズ1の合意を発表して、2つのリスクオン材料のインパクトが直撃したのは東京市場でした。
日経平均は、今年(2019年)最大の上昇幅となる598円高。1年2か月ぶりに2万4000円台へ乗せました。
(出所:Bloomberg)
■週前半はセル・ザ・ファクトか? 休暇を取り始める欧米勢も
英ポンド/米ドルも出口調査が出た12月13日(金)7時直後、1.31ドル台から1.34ドル台へと300ポイントほどの急騰です。
今年(2019年)後半、ヘッジファンドの間では「株買い・ポンド買い」が流行っていたようですが、奏功しましたね。
【参考記事】
●英総選挙の出口調査で保守党が圧勝! 対中関税も見送りへ…ポンド急騰&円下落
(出所:TradingView)
これで2つの好材料が、そろって出尽くしました。今週(12月16日~)は、セル・ザ・ファクト的な動きになりませんか?
【参考記事】
●英総選挙、12月13日昼前には大勢判明へ。ポンドは急騰か? セル・ザ・ファクトか?(12月9日、西原宏一&大橋ひろこ)
週前半は、セル・ザ・ファクトとなるかもしれませんね。
米中にしても、合意したとはいえ署名は2020年1月。
思惑のすれ違いも垣間見えますし、文書化すらまだですから、これからひっくり返る可能性もゼロではありません。
そんな中でも、株高を演出したのは「トランプマジック」とも言えますが……。
ただ、来週(12月23日~)はもうクリスマス。
2大イベントを通過したことで今週から休暇を取り始める欧米勢も多いでしょう。
流動性が低下しますから、あまり動かないのかもしれません。
■「QE4」となれば株高・米ドル安の長期化も
中期的な見通しは、いかがですか?
対立と融和により、リスクオンとリスクオフを繰り返してきたトランプサイクルでいうと、今は融和の極であるとも言えます。
過去の経験に照らせば、株売り、円買いが成功してきたタイミングです。
しかし、今回に関しては違う可能性がある。
毎週のように話題にしているFRB(米連邦準備制度理事会)の「隠れQE(量的緩和)」ですね。
【参考記事】
●合意ある英国のEU離脱は実現するのか? 英ポンド/米ドルの押し目買いに妙味アリ!(10月14日、西原宏一&大橋ひろこ)
●米ドル/円は109.50円と110円に2段構えのバリア!? 抜けないなら手前で戻り売りか(11月11日、西原宏一&大橋ひろこ)
●米ドル/円は2段構えのバリアが上値阻む! 狭いレンジで推移後、108.50円割れか?(11月14日、西原宏一)
●今の株高は欧米のQEによるカネ余り相場!? 英ポンドは総選挙に向けた上昇に期待!(11月18日、西原宏一&大橋ひろこ)
●ドル/円、バリア突破が110円到達のカギ!? 英総選挙に向けて、英ポンドは1.30ドルへ(12月2日、西原宏一&大橋ひろこ)
●英総選挙、12月13日昼前には大勢判明へ。ポンドは急騰か? セル・ザ・ファクトか?(12月9日、西原宏一&大橋ひろこ)
そうです。
昨年(2018年)後半には「2019年は3回の利上げ」を織り込んでいたのが、実際は3回の利下げに。さらには、隠れQEまで行われています。
大々的に金融緩和へ舵を切っていることになりますから、株式市場は想定以上に強いのかもしれません。
隠れQEの目的は、混乱していた「短期金融市場を安定させる」ことでした。
短期金融市場の混乱について、BIS(国際決済銀行)は「構造的な問題」を指摘しています。
FRBは、少なくとも来年(2020年)4~6月期まで短期国債を買い入れるとしていますが、構造的な問題であるならば、7月以降も続く可能性が高いですよね。
そうなれば、いよいよ「QE4」ということになります。
QE1からQE3では株高が進みました。QEが来年(2020年)後半も続くのなら、バブル的な株高シナリオを考えないといけないのかもしれません。
一方、QE4なら米ドル安ということでもあります。実際に10月15日(火)以降、主要通貨に対しては米ドル安が進んでいます。(対円を除く)という状況ですが。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
■米欧、金融政策のコントラスト鮮明でユーロ/ドル上昇か
先週(12月9日)は、ラガルドECB(欧州中央銀行)議長の「デビュー戦」もありました。
政策変更はありませんでしたが、来年(2020年)1月から政策を「総点検」するとしています。
【参考記事】
●英総選挙、12月13日昼前には大勢判明へ。ポンドは急騰か? セル・ザ・ファクトか?(12月9日、西原宏一&大橋ひろこ)
前議長のドラギさんが最後に残していった金融緩和に対しては、ECB内部からも「やりすぎ」との声が出ていました。ラガルドさんが修正していくのでしょう。
「ECBは金融緩和を見直し、FRBはQE4へ」となるのなら金融政策の対照性は鮮明。ユーロ/米ドルは上がるということになります。
(出所:TradingView)
■弾劾をきっかけとしたセル・ザ・ファクトの可能性も
米議会では、12月18日(水)にもトランプ米大統領への弾劾訴追条項案が下院で採決される見通しです。
可決されても上院で否決されますから大勢に影響はありませんが、テーマとしてクローズアップされるようなら下院での可決をきっかけに、セル・ザ・ファクトや休暇前の利益確定売りが入る可能性はある。
調整のきっかけとして警戒したほうがいいですね。
今週(12月16日~)の戦略については、いかがですか?
200週移動平均線を超えてきた英ポンドの押し目買いでいいと思います。
相手通貨は対ドルでもいいのですが、セル・ザ・ファクトで株安となるならクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が下がる可能性もある。
英ポンド/円が下げたところを拾ってもいいし、ユーロ/円も同様です。
とはいえ、繰り返しになりますが、今週(12月16日~)は欧米勢が休暇に入る週。ムリをしてトレードする必要はありません。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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