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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

ユーロクロスでのユーロ売りに妙味あり!?
政局混乱と中国の失速でドイツ経済悪化か

2020年02月17日(月)16:52公開 (2020年02月17日(月)16:52更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■GDPマイナス6.3%の衝撃。リセッション入りも?

今朝(2月17日朝)発表された日本の2019年10-12月期GDP速報値は、年率換算マイナス6.3%。衝撃でしたね


前回の消費増税直後だった2014年4-6月期以来となるマイナス幅の大きさで、日経平均は一時300円安。


新型コロナウイルスの影響が出てくる今年(2020年)1-3月期もマイナス成長となる可能性がありますよね。

日経平均 1時間足
日経平均 1時間足チャート

(出所:Bloomberg)

その可能性は高いでしょうし、2四半期連続のマイナス成長となればリセッションですね。

一方で中国は今朝(2月17日朝)、追加の景気刺激策を行う方針を示し、上海株は上昇しています。


米国でも、トランプ政権が中間層向けに10%の減税を検討中との報道が出ています。


「じゃあ日本はどうする?」となりますよね。日経平均は2万4000円台に定着できず、トリプルトップとなるリスクも出てきました

上海総合指数 1時間足
上海総合指数 1時間足チャート

(出所:Bloomberg)

日経平均 日足
日経平均 日足チャート

(出所:Bloomberg)

日本だけ増税ですから、逆行してしまっていますね。

■ユーロ安は長期化するか

為替市場では、全般的に米ドル高です。リスクオフなのでしょうか。

米ドル高ではあるのですが、リスクオフならばオセアニア通貨が下がっているはず。ところが、豪ドルやNZドルは強い。


米ドル高と同時にゴールド高となっていることからも、リスクオフのセオリーとは異なっています。


「リスクオフの米ドル高」というよりは、「ユーロ安による米ドル高」なのでしょう。

米ドルVS世界の通貨 4時間足
米ドルVS世界の通貨 4時間足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足

ドイツの政局が混乱していることも、ユーロが売られている一因のようですね。


メルケル独首相の後継選びで、最有力候補と目されていた与党・キリスト教民主同盟の党首が辞任。後継選びは振り出しに戻ってしまいました。

【参考記事】
新型コロナが猛威振るう中、なぜ株は好調? 豪ドルが影響を織り込む一方でユーロは…(2月13日、西原宏一)

ユーロVS世界の通貨 4時間足
ユーロVS世界の通貨 4時間足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 4時間足

中国の失速がドイツ経済に大きな影響を与えそう

中国との通商関係では豪州が取りざたされやすいですが、ドイツも関係が密接。


中国の失速はドイツ経済にも大きな影響を与えるでしょうし、それはまだ織り込まれていないようです。

2月18日(火)には、ZEW製造業景況指数が発表されます。


1月分は、予想15ポイントに対して26.7ポイントと大幅なポジティブサプライズになりました。


今回の予想は20ポイント。予想が高すぎるようにも思います。


2015年以来の高水準となった1月の反動もあるでしょうし、予想を下回るようだとユーロは売られやすくなるかもしれませんね。

経済指標的には今後、さらに悪化するでしょうし、ユーロ売りは妙味があるのではないでしょうか。

ユーロ/米ドルの売りですか?

少し長い話にはなりますが、ユーロ/米ドルがあまりに下がってくるとFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げや金融緩和を持ち出してくるリスクがある。


対ドルよりも、対豪ドルや対英ポンド、対円など、ユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)での売りがいいと思います。

英ポンドは先週(2月10日~)、上昇しましたね。


英国では先週(2月10日~)、財務相が辞任。スナク氏が後継に起用されました。


スナク氏は、ゴールドマンサックス出身でヘッジファンドでの経験も長く、マーケット・フレンドリーと捉えられそうですし、政策的にも減税・財政拡大路線。


こうした点が好感されての英ポンド上昇だったのかもしれません。

ユーロ/英ポンドは、チャートの形もよくなってきましたね。

ユーロ/英ポンド 日足
ユーロ/英ポンド 日足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS英ポンド 日足

■ユーロクロスの戻り売りがよさそう

50ドルを割っていたWTI原油も、先週(2月10日~)は小幅反発


価格の下落で中国が備蓄を手当していたことが効いたようですし、OPEC(石油輸出国機構)月報で今年(2020年)の原油需要が下方修正されたことが減産強化への思惑を強めて、買われたようです。


悪材料が出ても上がるということは、いったんは悪材料出尽くしとなった可能性があります。

【参考記事】
史上最高値更新のNYダウはブルトラップ? 英国とEUの交渉難航!? 欧州通貨を戻り売り(2月10日、西原宏一&大橋ひろこ)

WTI原油先物 日足
WTI原油先物 日足チャート

(出所:Bloomberg)

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米ドル円はというと、動きませんね。下がると出てくるのがGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)


2月上旬、新型コロナウイルスなどのニュースで108円台前半まで下げましたが、反転した背景にはGPIFの存在があったようです。


今週(2月17日~)はユーロに着目し、ユーロ/豪ドル、あるいはユーロ/英ポンドやユーロ/円での戻り売りがいいのではないでしょうか

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