■WTI原油価格がマイナス圏に急落した理由
みなさん、こんにちは。
今週(4月20日~)のマーケットの注目は、なんといってもWTI原油の動向。
4月20日(月)のWTI原油の5月限は、1バレル当たり、初のマイナス37.63ドルに急降下!!

(出所:Bloomberg)
このマイナスとは、いったいどういうことなのか?
WTI原油は、現在「需要」が大幅に低迷。
在庫があふれかえっており、備蓄できるところがない状態で、原油の貯蔵スペース不足が深刻になっています。
【参考記事】
●原油価格暴落で逆オイルショックに!! トルコリラは対米ドル・対円で下落継続へ(4月22日、エミン・ユルマズ)
ところが、生産が止まらない状態。
引き取り手がいなければ、置き場所がないから捨てるのか(?)ということになります。
それが、20ドルで売るよ、10ドルで売るよ……といった形で市場は急速に悪化します。
結局、マイナス圏内に突入し、「37ドル支払うから引き取ってくれ!」という混乱に発展。
そして、事実上の中心限月となった6月限は20.43ドル。5月限と6月限の差は過去最大となりました!
■WTI原油暴落の背景にあった「ロックダウン」
この、WTI原油がマイナス圏に落ち込むという事態は投資家心理を冷やすのに十分でした。
WTI原油の混乱を受け、米国株は再び急反落します。

(出所:Trading View)
一方、私が情報交換させていただいている何人かのシニアトレーダーの中には、WTI原油がマイナスにまで落ちこむ可能性があると懸念している人もいました。
なぜなら現在、世界的に「需要」が急激に落ちこんでいるからです。
その要因は、「ロックダウン(都市封鎖)」。
現在、NY州を筆頭にロックダウンされている都市が多数あります。
ロックダウンされるということは、「人と物の移動が制限」されることを意味し、当然、経済活動は急激に停滞。
こうした環境下では、WTI原油の急落は必然ともいえます。
ただし、こうしたWTI原油の混乱も「新型コロナショック」の余波として一部の市場関係者の間で危惧されていたことのひとつであるとすれば、株や為替への影響は長期化しないともいえます。
そうしたこともあり、急速に値を下げていた株も少しずつ沈静化しています。
■市場が混乱する中、スイスフランは買われ続ける
そして、こうした混乱の中、避難通貨として買われ続けている通貨があります。
それは「スイスフラン」。以下は、ユーロ/スイスフランの日足チャートです。

(出所:IG証券)
ユーロ/スイスフランは、再び1.0500フランレベルまで値を下げてきています。
なぜ、この1.0500フランが注目されているかといえば、SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])の存在があるからです。
スイス中銀、フラン売り為替介入を強化 通貨高を抑制
スイス国立銀行(中央銀行)は19日、スイスフラン売りの為替介入を強化すると発表した。スイスフランが対ユーロで約4年8カ月ぶりの高値圏で推移しており、これ以上の通貨高を抑えるのが狙い。一方、世界で最低水準にある政策金利はマイナス0.75%に据え置き、利下げは見送った。
出所:日経新聞
この記事に報道された3月19日(木)以降のユーロ/スイスフランは、1.0525フランの安値から反発しています。
しかし、今週(4月20日~)の原油の乱高下のという混乱の中、再び1.0500フランレベルまで急落しています。
このレベルを割り込むようなことがあれば、報道されているようにSNBがスイスフラン売りの為替介入を行うかどうかに注目が集まります。

(出所:IG証券)
仮に、久しぶりにSNBが介入すれば、ユーロ/スイスフランは急騰し、ユーロ/米ドルは1.1000ドルを越えて、1.1500ドルに向けて急騰する可能性が高まります。

(出所:IG証券)
■SNBの介入次第で、ユーロ/円は120円に向けて反発へ
結果、このところ107.00~108.00円で膠着している米ドル/円の動向から考えれば、ユーロ/円は再び120円に向けて反発することになります。

(出所:IG証券)

(出所:IG証券)
本稿執筆時点でのユーロ/スイスフランは、1.0515フランレベルと、1.0500フランブレイク目前の水準にまで低下しています。
SNBが介入を決断するかどうかは、新型コロナショックがスイス経済にどの程度のインパクトを与えているかにかかっています。

(出所:Worldometerのデータを基にザイFX!編集部にて作成)
新型コロナショックとWTI原油の混乱から、避難通貨として買い進められたスイスフランは、再びユーロ/スイスフランで1.0500フランという重要な水準まで下げてきました。
この水準を死守するため、SNBが介入に踏み切るのかどうか…。それによってユーロ/スイスフラン、ユーロ/円が急反発するのかどうかに注目です。
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