■米国は、ロックダウン解除への道筋が示され始めた
日本では4月7日(火)に、東京をはじめいくつかの地域を対象に「緊急事態宣言」が出されて、まだ1週間しか経過していませんが、米国では徐々にロックダウン(都市封鎖)の解除に向けての道筋が示され始めています。
まず、米国経済を早くリスタートさせたいトランプ大統領は、下記のようにコメント。
トランプ氏「新規感染ピーク過ぎた」16日に経済再開指針
トランプ米大統領は15日の記者会見で、「新型コロナウイルスの新規感染者はピークを過ぎた」と述べた。経済再開を始める時期が来たと主張し、再開に向けた新たな指針を16日に発表すると明らかにした。
出所:日経新聞
ただ、NY州のクオモ知事は、かなり悲観的な見方。
トランプ氏とクオモNY州知事、封鎖解除巡り衝突
ドナルド・トランプ米大統領とニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は14日、各州の経済活動再開を巡りまたも激しく意見を戦わせた。新型コロナウイルスの感染者数は世界全体で200万人に近づいている。
ジョンズ・ホプキンス大学のデータによると、14日時点で世界の新型コロナ感染者数は194万人を超え、そのうち4分の1以上の58万4000人が米国の感染者となっている。
米国では先週末から新規の感染が落ち着きを見せ始め、各州の知事は事業活動の再開やソーシャルディスタンシング(対人距離の確保)指針の緩和について検討するため、地域連携チームを立ち上げ始めた。一方でトランプ氏は、大統領である自身のみが米経済再開の権限を持つと主張している。
出所:Wall Street Journal

新型コロナウイルスの新規感染者はピークを過ぎたというのがトランプ大統領の見解。クオモNY州知事とは見解に相違がみられるが、なるべく早く米国経済を再開したい考えのようだ (C)Spencer Platt/Getty Images
ウォール・ストリート・ジャーナルの記事にもあるように、米国の経済活動再開に関しては各州の判断が大きいのでしょう。
ただ、多くの報道によれば、一時の医療崩壊の恐怖によるパニックは徐々に収まり、(州によっての相違はあるが)少しずつロックダウンは解除されるのではないでしょうか?
そうなれば、前回のコラムでご紹介させていただいたとおり、大規模金融緩和であふれた資金は、株やコモディティ、そしてコモディティ通貨である豪ドルに向かうという中期の流れは変わりません。
【参考記事】
●マーケットは「アフターコロナ」に注目! 大規模金融緩和であふれた資金はどこへ?(4月9日、西原宏一)
■豪ドルは調整局面入り。押し目は買いで臨みたい
このコラムで注目の豪ドルですが、まず、豪ドル/米ドルは、3月19日(木)安値の0.5510ドルからあっという間に0.6445ドルまで900pips超急騰。
そして、豪ドル/円は、安値の59.91円から69.26円と9.35円、約10円の暴騰。
【参考記事】
●マーケットは「アフターコロナ」に注目! 大規模金融緩和であふれた資金はどこへ?(4月9日、西原宏一)
すさまじいのはユーロ/豪ドルで、3月19日(木)高値の1.9802豪ドルから4月14日(火)安値の1.7004豪ドルまで暴落。
この間、2798pips値を下げています。
米ドル/円でいえば、約28円の暴落になります。
【参考記事】
●極端な米ドル不足は徐々に改善傾向! 豪ドル/米ドルは底入れ後、上値余地拡大(4月2日、西原宏一)
●「株安・米ドル高」の流れは早晩反転か? 豪ドルは悪材料出尽くしで中期的に反発へ(3月26日、西原宏一)

(出所:Trading View)
ここで、豪ドル/米ドルの日足のチャートを確認してみます。
直近の高値(2019年12月31日)と安値(2020年3月19日)の61.8%戻しは0.6451ドル。4月14日(火)の高値は0.6445ドルです。

(出所:Trading View)
有料メルマガ「FXトレード戦略指令! with 日経先物」で配信した、豪ドル/米ドルのロングをいったんすべてスクエアにした要因は、まず、このフィボナッチです。
豪ドル/米ドルは、61.8%のレベルで調整するのではないかとの懸念を生じさせたことが、まず、スクエアにした要因。
しかし、私はそれほどフィボナッチの61.8%というのは、重要視していないので決め手にはなりません。
どちらかというと、豪ドル/米ドルの4時間足のRCIが「三重天井」から反落し始めたことを重視してスクエアにしたというところ。

(出所:Trading View)
どちらにせよ、豪ドル/米ドル、そして豪ドルクロス(豪ドルと米ドル以外の通貨との通貨ペア)はいったん調整局面入りしており、この押し目が豪ドル/米ドル、豪ドルクロスを再びロングにする機会を提供してくれるのではないかと考えています。
■リスクオフ時の円買いルールは崩れかけている
そして、今週(4月13日~)の注目は米ドル/円。
今週(4月13日~)は、一連の米国経済指標が極めて悪化。
加えて、ゴールドマンサックス、バンク・オブ・アメリカ、シティバンクの3行は、1~3月においては、いずれも大幅減益(貸倒引当金の大幅な積み増しが響いている模様)。
「Recession a head(景気後退が迫る)」で、米国株、そして日経平均が下落。

(出所:Trading View)

(出所:Trading View)
しかし、本稿執筆時点の米ドル/円は逆に、108.00円まで反発。下記のチャートは米ドル/円の日足チャートです。

(出所:Trading View)
今月(4月)の米ドル/円は、株の下落時に何度も107.00円レベルを試すものの、106.90円が鉄板で割り込めずに反発。
つまり、リスクオフ時の円ロングというルール(リスクオフ=米ドル/円、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の下落)は崩れかけていることを示している展開。
日本人のレパトリ(本国への資金還流)で、これまでどおりのリスクオフの動き(=株安・円高)をする時もありますが、株下落の局面で米ドル/円は下がるときもあれば、上がる時もあるというのでは、相場の相関性としてすでにトレードでは使えません。
■株が下落しているのに、米ドル/円を買っているのは誰?
では、株が下落しているにも関わらず、誰が米ドル/円を買っているのでしょうか?
米ドル/円の107.00円レベルでは、本邦機関投資家が巨額の米ドル買い注文を置いて待っていたというのはマーケットで有名なウワサですが、それが事実だとしても、通常、彼らは米ドル/円の高値追いはしません。
マーケットでは、米ドル/円の下落局面では、米系のリアルマネーが断続的に円売りをしているとのウワサ。こうした米系の動きも「株安=円買い」というリスクオフの流れが崩れかけていることを示しています。
過去3週間で急騰した豪ドル絡みはいったん調整に入っており、押し目待ち。
今週(4月13日~)は、リスクオフでも107.00円を割り込めず、逆に110円台回復に向けて上昇し始めた米ドル/円の動向に注目です。
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。























株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)