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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

米中対立で株価調整へ。米ドル/円は、赤字に
転落したソフトバンクGの売りに注目!

2020年05月25日(月)16:49公開 (2020年05月25日(月)16:49更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■香港への「国家安全法」。米国の反撃は?

先週(5月18日~)のトピックとなったのが中国の全人代(全国人民代表会議)で審議が始まった香港への「国家安全法」導入です。

中国が掲げてきた「一国二制度」が骨抜きにされるため、香港市民は強く反発しています。


デモが再び活発化し、逮捕者は180名以上。反対署名には世界23カ国、200人以上の国家議員が署名しています。


残念なのは、日本の議員が1人も参加していないことですが……。

コロナ禍で棚上げとなっていた中国の習近平国家主席の訪日も再調整が始まったようです。


このタイミングで中国首脳を国賓待遇として招くことが得策なのかどうか、疑問ですね。


それはともかく、国家安全法は全人代最終日となる5月28日(木)に採決され、可決されれば8月にも施行される見通しです。

市場への影響を考えると、重要なのが米国の対応


すでに大統領補佐官は中国、香港への経済制裁を示唆しています。

■アリババ、バイドゥ、テンセントの上場廃止も?

新型コロナウイルスへの対策への批判もあるトランプ米大統領が、支持率を挽回する材料として中国への制裁を強化し、米中対立が激化するとの見方も出ています。

トランプ米大統領&習近平中国国家主席写真

新型コロナウイルスへの対策への批判もあるトランプ米大統領が、支持率を挽回する材料として中国への制裁を強化し、米中対立が激化するとの見方も出ていると、大橋ひろこ氏は指摘。写真は2019年6月の大阪G20サミット時のもの (C)Visual China Group/Getty Images

米大統領選は11月3日(火)。半年を切っています。


選挙を見据えると、トランプにとって株価急落は避けたいところ。


功利主義的な見方をすれば、「香港を救う」という大義よりも、「株価を維持させる」という市場主義を優先させるのではとも思います。


逆に中国からすれば「選挙前に株価を落とすような行動は取れないはず」との読みがあるのかもしれません。

米国はすでに中国企業への制裁的な措置へ動いていますね。


5月22日(金)には、中国の政府機関やハイテク企業など33団体・企業に対する事実上の禁輸措置を発表しました。


米上院は、外国企業に経営の透明性を求める法案を全会一致可決しています。


アリババやバイドゥ、テンセントなどの上場廃止にもつながりうる法案です。


さらには、中国企業のIPO(新規株式公開)条件を厳格化する方針も伝わっています。

そうした話もあり、株価はいったん調整する可能性を見込んでいます。


先週(5月18日~)から豪ドル/円や日経平均を売っているのも、そのためです。

【参考記事】
続伸する豪ドル/円に反落の警戒感を抱く! 快進撃続いた豪ドル/NZドルが、じり安に(5月21日、西原宏一)

■限月交代を無事通過。原油価格は反転下落へ?

マザーズ指数は、年初来高値を余裕で更新するなど、非常に強い動きとなっていますが、調整入りですか?

東証マザーズ指数 日足
東証マザーズ指数 日足チャート

(出所:TradingView

3月のような暴落があるとは思いませんが、ここまでの株価の戻りは原油が戻してきたことも原因のひとつでした。


ところが、WTI原油先物は先週(5/18~)、34ドル台まで戻してから調整に入りそうなチャートとなっています。

WTI原油先物 日足
WTI原油先物 日足チャート

(出所:TradingView

前回のコラムでも話しましたが、先週(5月18日~)はWTI原油先物6月限の納会でした。


先月の納会時にはマイナス40ドルへと暴落しましたが、今回は30ドル台半ばまで上昇。


波乱を期待したショート筋の踏み上げもあったかと思いますが、マイナス40ドルから考えると1ヵ月で70ドルも上昇したことになります。


価格低迷から米国やカナダでの生産は減少し、需給バランスは改善していますが、この先さらに原油の上昇が続くほどではありません

【参考記事】
トランプの米ドル高発言は神予想の再来!? 米ドル/円、106円台ミドルは買ってもいいか(5月18日、西原宏一&大橋ひろこ)
原油価格が史上初のマイナスに! 一体なぜ? 各社の原油CFDはマイナス価格になったのか?
原油価格暴落で逆オイルショックに!! トルコリラは対米ドル・対円で下落継続へ(4月22日、エミン・ユルマズ)

■米ドル/円の注目はソフトバンクグループの売り

米ドル/円はというと、106円台から108円程度のレンジが続くイメージ


注目は、過去最大となる1.4兆円の赤字に転落したソフトバンクグループです。


負債削減のための、4.5兆円にもおよぶ資産売却にともなう売りが、108円台で入ってくるのではないでしょうか。


一方、106円台ではこれまでどおり年金が買ってくるでしょうから「下がれば年金の買い、上がればソフトバンクグループの売り」が待ち構えており、結果レンジに、という展開を予想しています。

【参考記事】
ソフトバンクGによる円買いはインパクトあり。ハードブレグジット現実化? ポンドに下落リスク!(5月20日、志摩力男)
新型コロナ後の世界はどうなる? ソフトバンクGの資産売却でポンド/円の売り!?(4月1日、志摩力男)

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

今週の戦略は、いかがですか?

米ドル/円は、現在、107円台後半。レンジの上限に近づいていますから、ここから一方的な円安が進むとは考えづらい


株価の調整を予想することもあり、引き続き、豪ドル/円のショートでいいのでしょう。

【参考記事】
続伸する豪ドル/円に反落の警戒感を抱く! 快進撃続いた豪ドル/NZドルが、じり安に(5月21日、西原宏一)

豪ドル/円 日足
豪ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

(構成/ミドルマン・高城泰)

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