■香港への「国家安全法」。米国の反撃は?
先週(5月18日~)のトピックとなったのが中国の全人代(全国人民代表会議)で審議が始まった香港への「国家安全法」導入です。
中国が掲げてきた「一国二制度」が骨抜きにされるため、香港市民は強く反発しています。
デモが再び活発化し、逮捕者は180名以上。反対署名には世界23カ国、200人以上の国家議員が署名しています。
残念なのは、日本の議員が1人も参加していないことですが……。
コロナ禍で棚上げとなっていた中国の習近平国家主席の訪日も再調整が始まったようです。
このタイミングで中国首脳を国賓待遇として招くことが得策なのかどうか、疑問ですね。
それはともかく、国家安全法は全人代最終日となる5月28日(木)に採決され、可決されれば8月にも施行される見通しです。
市場への影響を考えると、重要なのが米国の対応。
すでに大統領補佐官は中国、香港への経済制裁を示唆しています。
■アリババ、バイドゥ、テンセントの上場廃止も?
新型コロナウイルスへの対策への批判もあるトランプ米大統領が、支持率を挽回する材料として中国への制裁を強化し、米中対立が激化するとの見方も出ています。

新型コロナウイルスへの対策への批判もあるトランプ米大統領が、支持率を挽回する材料として中国への制裁を強化し、米中対立が激化するとの見方も出ていると、大橋ひろこ氏は指摘。写真は2019年6月の大阪G20サミット時のもの (C)Visual China Group/Getty Images
米大統領選は11月3日(火)。半年を切っています。
選挙を見据えると、トランプにとって株価急落は避けたいところ。
功利主義的な見方をすれば、「香港を救う」という大義よりも、「株価を維持させる」という市場主義を優先させるのではとも思います。
逆に中国からすれば「選挙前に株価を落とすような行動は取れないはず」との読みがあるのかもしれません。
米国はすでに中国企業への制裁的な措置へ動いていますね。
5月22日(金)には、中国の政府機関やハイテク企業など33団体・企業に対する事実上の禁輸措置を発表しました。
米上院は、外国企業に経営の透明性を求める法案を全会一致可決しています。
アリババやバイドゥ、テンセントなどの上場廃止にもつながりうる法案です。
さらには、中国企業のIPO(新規株式公開)条件を厳格化する方針も伝わっています。
そうした話もあり、株価はいったん調整する可能性を見込んでいます。
先週(5月18日~)から豪ドル/円や日経平均を売っているのも、そのためです。
【参考記事】
●続伸する豪ドル/円に反落の警戒感を抱く! 快進撃続いた豪ドル/NZドルが、じり安に(5月21日、西原宏一)
(次ページでは、原油や米ドル/円、今週の見通しの話題が…)
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