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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

トランプの米ドル高発言は神予想の再来!?
米ドル/円、106円台ミドルは買ってもいいか

2020年05月18日(月)17:04公開 (2020年05月18日(月)17:04更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■トランプの米ドル高発言は神予想の再来となるか

トランプ米大統領の米ドル高発言が話題ですね。

テレビインタビューに続いて、昨日(5月17日)の記者会見でも「米ドルはとても強い。強い米ドルは全体としてとても良いことだ」と発言しています。


真意はどこにあるのでしょうか。

トランプ米大統領写真

米ドル高発言が話題となっているトランプ米大統領。5月17日(日)の記者会見でも「米ドルはとても強い。強い米ドルは全体としてとても良いことだ」と発言した (C) Chip Somodevilla/Getty Images News

いろんな見方が出ていて、まだはっきりしません。


ひとつは、前から話題にしている中国保有の米国債を狙い撃ちしたデフォルトとの関連。実際にデフォルトさせれば市場の不安を煽り、米国債需要が減少する可能性が高い。それでも世界の投資家の目を向けさせるために米ドル高へ誘導したいとの意見


あるいは、個人的にはピンと来ていませんが「今の米国株には米ドル高のほうが有利だ」との意見もあります。

【参考記事】
4月米雇用統計予想はマイナス2000万人超。豪ドルは短期調整も、中長期は強気継続!(5月4日、西原宏一&大橋ひろこ)

まだ真意が読みきれませんね。

思い出すのは、2018年12月のトランプ発言


クリスマス暴落の最中に「今がとてつもない買いの好機だと思う。まさに素晴らしい買いの好機だ」と発言し、その日、NYダウは、まさにド底となりました。


株と為替の違いこそあれ、今回も警戒してしまいますね。

【参考記事】
2019年の米ドル/円は105円台へ下落か。リスクオフ相場到来なら100円近くまで想定(2018年12月27日、西原宏一)
米中融和で戻り余地大きいのは日経平均!? 英国は、EU離脱延期の可能性が高まる?(2019年1月21日、西原宏一&大橋ひろこ)

NYダウ 日足(2018年11月~2019年3月)
NYダウ 日足チャート(2018年11月~2019年3月)

(出所:TradingView

■マイナス金利浮上で英ポンド安も今週は調整か

ただ、関係者の間では、FRB(米連邦準備制度理事会)のマイナス金利導入の可能性をテーマとした米ドル安予想が増えてきましたね。

特に米ドル/円だと105円割れ、100円割れといった予想が多いですね。


ただ、これも以前から話しているように「リスクオフの円買い」は弱まってきています


AIによる条件反射的な円買いやレパトリによる円買いは出ても、投機筋によるリスクオフの円買いは減ってきていますし、新型コロナ対策でさらに減少した印象です。


背景には、「マスク1枚も満足に配れない日本政府」といった日本政府への低評価があるのかもしれません。

【参考記事】
もう円は「セーフ・ヘイブン」ではなくなった!? 新型コロナ対応後手に回り、日本売り開始か?(2月24日、西原宏一&大橋ひろこ)

注目が高まっているのが英ポンド


BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])のベイリー総裁は否定していますが、チーフエコノミストのホールデン氏がマイナス金利を検討していると発言したこともあり、先週(5月11日~)、下落しました。

ブレグジットの移行期間延長の交渉期限が6月末。


この延長が難しいのではとの思惑も英ポンド安の原因ですが、日足を見るとテクニカルには売られ過ぎの感もあります。


1.20ドル割れは簡単ではないでしょうし、中期はともかくとして、短期的には調整で上がる可能性がありそうです。

【参考記事】
ブレグジットの移行期間延長は不可避? 復活したジョンソン首相は奇跡を起こせるか(4月22日、志摩力男)
元ゴールドマン・サックス 志摩力男氏に聞く(2) 乱高下した英ポンドで利益を出せたワケは?

英ポンド/米ドル 日足
英ポンド/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

■防衛ライン接近中のユーロ/スイスフラン

同じく欧州通貨では、ユーロ/スイスフランも注目されています。


スイス中銀による介入ラインとされている1.05フランへと接近しています。

【参考記事】
WTI原油暴落の背景にあったロックダウン。買われ続けるスイスフランに介入の可能性!?(4月23日、西原宏一)

ユーロ/スイスフラン 日足
ユーロ/スイスフラン 日足チャート

(出所:TradingView

介入期待で買ってもいい水準なのですが、1.05フランが防衛されるだろうとする銀行と、今回は割ってしまうだろうとする銀行と、見方は真っ二つに割れています


介入が入るとしても1.05フランを少し割ったところで入る可能性もあり、買うのならストップは1.0480フランなど離したほうがいいかもしれません。

原油市場は、底堅い動きが続いています。


明日5月19日(火)は、米原油先物6月限が納会となりますが、米国の原油ETF「ユナイテッド・ステーツ・オイル・ファンド(USO)」は限月の分散を進めるなど対策を進めていますし、OPECプラス(※)は6月以降も現行水準の協調減産を継続する意向を示しており、マイナス価格に突入した4月納会直前のような大きな波乱は起きない見通しです。

(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)

【参考記事】
衝撃の米雇用統計でバイ・ザ・ファクト! 米マイナス金利は年内!? ドル/円は戻り売り(5月11日、西原宏一&大橋ひろこ)
原油価格が史上初のマイナスに! 一体なぜ? 各社の原油CFDはマイナス価格になったのか?
原油価格暴落で逆オイルショックに!! トルコリラは対米ドル・対円で下落継続へ(4月22日、エミン・ユルマズ)

WTI原油先物6月限 日足
WTI原油先物6月限 日足チャート

(出所:TradingView

■米連邦債務残高の拡大はゴールドに追い風

コモディティでは、ゴールドが強いですね。

教科書的には米ドル安や株安で資金の逃避先としてゴールドが買われるとされていますが、今回は株高金高


金融緩和による過剰流動性相場ですね。


金価格は、米連邦債務残高との相関性を指摘する向きもあります。


トランプ政権はすでに3兆ドル規模の経済対策が可決済みですが、5月15日(金)、民主党がまとめた3兆ドルの追加経済対策が下院を通過しました。


仮に、さらに3兆ドルとなればインパクトは大きいですし、債務残高がさらに拡大し、金価格には追い風となります。

NY金先物 日足
NY金先物 日足チャート

(出所:TradingView

上院は共和党が多数派ですから否決されるのでしょうけど、共和党も対案を出してくるでしょうから、行方に注目です。

■米ドル/円のリスクはむしろアップサイド

今週の戦略は、どう考えますか?

米ドル/円は弱気な見通しが増えていますが、リスクオフの円買いが弱まっていること、トランプの米ドル高発言もあり、リスクはむしろアップサイド


106円台ミドルは買ってもいいのでは。


あるいは、短期トレードであれば英ポンド/米ドルの買いもおもしろいでしょう。あくまでも短期的な調整狙いですが。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足チャート

(出所:TradingView

(構成/ミドルマン・高城泰)

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