■トランプの米ドル高発言は神予想の再来となるか
トランプ米大統領の米ドル高発言が話題ですね。
テレビインタビューに続いて、昨日(5月17日)の記者会見でも「米ドルはとても強い。強い米ドルは全体としてとても良いことだ」と発言しています。
真意はどこにあるのでしょうか。

米ドル高発言が話題となっているトランプ米大統領。5月17日(日)の記者会見でも「米ドルはとても強い。強い米ドルは全体としてとても良いことだ」と発言した (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
いろんな見方が出ていて、まだはっきりしません。
ひとつは、前から話題にしている中国保有の米国債を狙い撃ちしたデフォルトとの関連。実際にデフォルトさせれば市場の不安を煽り、米国債需要が減少する可能性が高い。それでも世界の投資家の目を向けさせるために米ドル高へ誘導したいとの意見。
あるいは、個人的にはピンと来ていませんが「今の米国株には米ドル高のほうが有利だ」との意見もあります。
【参考記事】
●4月米雇用統計予想はマイナス2000万人超。豪ドルは短期調整も、中長期は強気継続!(5月4日、西原宏一&大橋ひろこ)
まだ真意が読みきれませんね。
思い出すのは、2018年12月のトランプ発言。
クリスマス暴落の最中に「今がとてつもない買いの好機だと思う。まさに素晴らしい買いの好機だ」と発言し、その日、NYダウは、まさにド底となりました。
株と為替の違いこそあれ、今回も警戒してしまいますね。
【参考記事】
●2019年の米ドル/円は105円台へ下落か。リスクオフ相場到来なら100円近くまで想定(2018年12月27日、西原宏一)
●米中融和で戻り余地大きいのは日経平均!? 英国は、EU離脱延期の可能性が高まる?(2019年1月21日、西原宏一&大橋ひろこ)

(出所:TradingView)
■マイナス金利浮上で英ポンド安も今週は調整か
ただ、関係者の間では、FRB(米連邦準備制度理事会)のマイナス金利導入の可能性をテーマとした米ドル安予想が増えてきましたね。
特に米ドル/円だと105円割れ、100円割れといった予想が多いですね。
ただ、これも以前から話しているように「リスクオフの円買い」は弱まってきています。
AIによる条件反射的な円買いやレパトリによる円買いは出ても、投機筋によるリスクオフの円買いは減ってきていますし、新型コロナ対策でさらに減少した印象です。
背景には、「マスク1枚も満足に配れない日本政府」といった日本政府への低評価があるのかもしれません。
【参考記事】
●もう円は「セーフ・ヘイブン」ではなくなった!? 新型コロナ対応後手に回り、日本売り開始か?(2月24日、西原宏一&大橋ひろこ)
注目が高まっているのが英ポンド。
BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])のベイリー総裁は否定していますが、チーフエコノミストのホールデン氏がマイナス金利を検討していると発言したこともあり、先週(5月11日~)、下落しました。
ブレグジットの移行期間延長の交渉期限が6月末。
この延長が難しいのではとの思惑も英ポンド安の原因ですが、日足を見るとテクニカルには売られ過ぎの感もあります。
1.20ドル割れは簡単ではないでしょうし、中期はともかくとして、短期的には調整で上がる可能性がありそうです。
【参考記事】
●ブレグジットの移行期間延長は不可避? 復活したジョンソン首相は奇跡を起こせるか(4月22日、志摩力男)
●元ゴールドマン・サックス 志摩力男氏に聞く(2) 乱高下した英ポンドで利益を出せたワケは?

(出所:TradingView)
(次ページでは、ユーロ/スイスフランやゴールド、今週の見通しの話題が…)
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