■株式市場はヘッドラインで乱高下しやすい状態に
先週(5月18日~)は、18日(月)に、新型コロナウイルスに対するワクチンの第1相臨床試験の結果が良かったとの報道から、リスク選好の動きとなりました。
(出所:TradingView)
その後、臨床結果のデータを否定する報道などが出て、乱高下をしていますが、株式市場は底堅い展開が続いています。
ワクチンが実用化されるのは、まだ先になりますが、ワクチンや治療薬などを材料とするヘッドラインで、乱高下しやすい状態が続きそうです。
【参考記事】
●楽観的になりきらないうちは、株は底堅い。ユーロ/米ドルは1.07割れ見据えた戻り売り(5月12日、バカラ村)
■株価下がれば、トランプ大統領が対策を発動か
5月22日(金)に、中国の全人代(全国人民代表大会)が開幕しました。ここでは、「香港国家安全法」を制定する方針が示されました。
これに対して、トランプ大統領は強硬姿勢を示唆しています。
新型コロナウイルス感染拡大のこともあり、中国に対する制裁の可能性も考えられたことから、一時的にリスク回避となりました。今後も、この材料は出てくることが考えられます。
【参考記事】
●米中対立で株価調整へ。ドル/円は、赤字に転落したソフトバンクGの売りに注目!(5月25日、西原宏一&大橋ひろこ)
昨年(2019年)までの、米中貿易戦争のときは、トランプ大統領が中国に強硬姿勢を示し、米国株が下がると経済対策を発表し、米国株が上昇してくれば強硬姿勢に出る、ということを、繰り返していました。
今回は貿易不均衡ではなく、新型コロナウイルスの責任問題が材料となっていますが、昨年(2019年)までの状況と似てきています。
そうであれば、米国株が下がるようなら、米大統領選に向けて、株価対策が出てくるのではないかと思います。
米国株が下がるようなら、米大統領選に向けてトランプ大統領から株価対策が出てくるのではないかとバカラ村氏は予想している (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
■リスク回避とリスク選好が混在。今は過剰流動性相場
今の株式市場は底堅いですが、現在のリスク回避とリスク選好の材料を確認してみると、リスク選好の材料としては、「ロックダウン(都市封鎖)解除による経済活動の再開」、「大規模財政政策」、「無制限量的緩和などの金融政策」などが挙げられます。
一方、リスク回避の材料としては、「新型コロナウイルスの責任問題での中国への対応」、「ロックダウンの解除による感染第2波への懸念」、「1930年以来の景気悪化」、「新興国市場リスク」、「途上国での感染拡大中」などがあります。
リスク回避とリスク選好の材料はいろいろとありますが、米中の対立で株式市場が下がったとしても、すぐに買われていることから、過剰流動性相場と考えるべきなのかと思います。
■ユーロはサポート水準から上昇も、復興基金の行方次第
ユーロ圏では、独仏が加盟国への支援として、5000億ユーロ規模の復興基金設立を提案したことで、ユーロ/米ドルは1.0770ドル辺りのサポート水準から、1.10ドル付近まで上昇しました。
(出所:TradingView)
支援金は返済の必要がないこともあって、ユーロにとっては良い材料となります。
ただし、5月27日(水)に欧州委員会が復興基金に関する独自案を提示することになっており、この内容次第では、ユーロは売られることになります。
どのような内容になるのか、ユーロの動きは27日(水)を見てからになりそうです。
■今は待ち。もみ合い続くほど、その後のトレンドは強力に
為替市場では、ほとんどの通貨ペアがレンジ相場となっており、なかなか手が出ない状態が続いています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
各国の中央銀行が金融緩和をしており、金融政策面の違いがほとんどなく、動きが出にくい状態が続いています。
英ポンドに関しては、6月末が離脱期限を延期するかどうかを決める期限のため、上値の重い状態が続くと思いますが、主要な通貨は、目先は動きがないままです。
【参考記事】
●トランプ大統領がドル高を容認した理由は? 6月末に向けて英ポンドは上値が重くなるか(5月19日、バカラ村)
(出所:TradingView)
今のようなもみ合いが長く続くほど、その後のトレンドは強くなりやすいため、今は待ちの段階ではないかと考えています。
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