■中国人民元のプロキシーとして選ばれる豪ドル
そして、このところの中国人民元の対米ドル相場は、昨年(2019年)9月以来の安値圏へ下落。
(出所:Trading View)
ヘッジファンドなどの間では「中国人民元安のプロキシー(代理)ヘッジ」として、どの通貨を売るべきかとの議論も活発化。
そのプロキシーとして選ばれるのは、やはり豪ドルです。
つまり、「香港情勢を巡る米中関係の悪化」は、豪ドルに対するネガティブ材料になります。
筆者は、3月19日(木)から豪ドルに対して一貫して強気でしたが、前述のヘッジファンド同様、この「香港情勢を巡る米中関係の悪化」により、豪ドルに対して調整を懸念するようになりました。
【参考記事】
●続伸する豪ドル/円に反落の警戒感を抱く! 快進撃続いた豪ドル/NZドルが、じり安に(5月21日、西原宏一)
(出所:Trading View)
■ユーロ/豪ドルが注目される理由
そして直近、トレードする通貨ペアの選択は慎重に行いたいところ。
数年前までは、クロス円の上昇、下落という表現でも大きな間違いありませんでした。
しかし最近では、ユーロ/英ポンドや豪ドル/NZドルといったクロスの通貨ペアが大きく動くため、ユーロ/円が上昇しても英ポンド/円が急落することや、豪ドル/円は暴騰しているにも関わらず、NZドル/円は反落することもあり、クロス円中心に動いている相場は、ほとんどありません。
そして、今回マーケットで注目されているのが、ユーロ/豪ドル。
前述のように、ユーロの復活と「香港情勢を巡る米中関係の悪化」による豪ドルの失速を考慮すれば、当然、ユーロ/豪ドルという通貨ペアが脚光を浴びるわけです。以下は、ユーロ/豪ドルの日足チャートになります。
(出所:Trading View)
ユーロ/豪ドルは、3月19日(木)にRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])が利下げを発表した時、1.9802豪ドルの高値をつけ、反落開始。5月27日(水)に、1.6454豪ドルの安値まで反落しています。
この間、3348pipsの暴落。
そして、5月27日(水)に7500億ユーロのコロナ復興基金案が公表され、ユーロクロスが反発すると、ユーロ/豪ドルも反発を開始しました。
「香港情勢を巡る米中関係の悪化」による豪ドルの重さも相まって、ユーロ/豪ドルは38.2%戻し水準の1.77豪ドル台へ、大きく調整する可能性が高まっています。
(出所:Trading View)
ユーロの復活と「香港情勢を巡る米中関係の悪化」による豪ドルの失速で、1.77豪ドル台への反発の可能性が高まっているユーロ/豪ドルに注目です。
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