■米雇用統計以降、米ドル/円は上値重い展開続く
みなさん、こんにちは。
前回のコラムでご紹介させていただいたとおり、米ドル/円は今月(6月)の米雇用統計で天井を形成して急落。その後は、極めて上値の重い展開が続いています。
【参考記事】
●米ドル/円は「雇用統計天井」で反落! ダウントレンド入り…中期では100円へ(6月11日、西原宏一)

(出所:Trading View)
その要因には、新型コロナウイルスの感染者数の増加といったものも挙げられますが、米国では11月の米大統領選に向けて混迷が深まっているということが、大きな要因となっています。
まず、「ブラック・ライヴズ・マター運動」(※)の拡大。
ブラック・ライヴズ・マター運動は、ジョージア州に移行しています。
(※ブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter)は、アフリカ系アメリカ人のコミュニティに端を発した、黒人に対する暴力や構造的な人種差別の撤廃を訴える国際的な運動のこと)
ジョージア州アトランタのウエンディーズの駐車場で、黒人男性が白人警官から逃げようとして射殺され、抗議運動が再び拡大。
抗議デモは当然の権利なのでしょうが、これが再び暴動に拡大する懸念もあり、リスクオフの要因として警戒されています。
■トランプ大統領が習国家主席に再選支援を懇願!?
もうひとつは、前大統領補佐官のボルトン氏が発売予定の暴露本。
ボルトン氏は、近く発売となる著書「The Room Where It Happened」の中で、「トランプ大統領は、中国の習国家主席に対し、米国産農作物の大量購入で自分の再選を支援するよう『懇願』していた」と暴露した模様。以下は、ボルトン氏が著書を紹介しているツイートです。
For more information about my upcoming book release, please review the link below. https://t.co/nx7DHTdQ2T
— John Bolton (@AmbJohnBolton) June 14, 2020
トランプ大統領は、今週(6月15日~)、安全保障上の問題を理由に、この本の出版の差し止めを求めて訴訟を起こしているようです。
こうした話題は、再選を目指すトランプ大統領の重荷となっています。

トランプ大統領は、ボルトン氏が発売を予定している暴露本の差し止めを求めて訴訟を起こしているという。こうした話題は、米大統領選で再選を目指すトランプ大統領の重荷に… (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
米大統領選が近づくにつれて、こうした話題が増えるのでしょう。
■中国で新型コロナウイルス感染者が再び拡大
一方、中国では新型コロナウイルスの感染者が再び拡大。北京市当局は、同市最大の野菜、青果供給センターを閉鎖。加えて、近くの住宅地も封鎖した模様です。
こうした報道は、すべてリスクオフ要因。
呼応して、今週(6月15日~)の米ドル/円、加えて日経平均は、極めて上値の重い展開が続いています。

(出所:Trading View)

(出所:Trading View)
■主要クロス円の動きが、米ドル/円相場のドライバーに
前述のように、米国が米大統領選に向けて混迷を深めていることもあり、米ドル円、加えて日経平均は極めて上値の重い展開が続いています。
ただ、最近の米ドル/円相場は、英ポンド/円や豪ドル/円といった主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が、米ドル/円相場のドライバーとなっており、こうしたクロス円が明確な方向性を見せないと、米ドル/円はレンジ圏内でのもみ合に陥ることも多々見られます。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
たとえば、クロス円が米ドル/円を牽引した代表例は、2015年から2016年にかけての英ポンド/円の約75円もの暴落。
これに呼応して、米ドル/円は125円から100円割れへの急落を演じました。

(出所:Trading View)

(出所:Trading View)
■クロス円の中では、豪ドル/円に注目
そのクロス円の中で、筆者が注目しているのが、以前コラムでも取り上げた豪ドル/円。
【参考記事】
●全米でデモ拡大…だけど、米国株は続伸!? 豪ドル/円は買われ過ぎ示唆で押し目狙い(6月4日、西原宏一)
筆者が使用しているテクニカル分析では、多くのインディケーターが豪ドル/円の買われ過ぎを示唆していましたが、6月8日(月)に76.76円の高値をつけ、やっと上げ渋り。
その後、高値圏内で乱高下を繰り返していましたが、6月18日(木)のアジア市場では豪ドルの下落が加速。5月の豪雇用統計で雇用者数、失業率、労働参加率のいずれも予想を下回る結果となったことが要因です。
豪ドル/円は、一時73.00円水準まで急落しました。

(出所:Trading View)
これにより、豪ドル/円も調整局面入りが濃厚。
呼応して、107円台前半でサポートされ、なかなか106円台まで下落しなかった米ドル/円が107.00円を割り込む展開となっています。

(出所:Trading View)
米ドル/円の下落を鮮明化させる要因は、リスクオフ相場です。
「リスクオフ=株安」となり、英ポンド/円か豪ドル/円が下落する相場のほうが、米ドル/円の下落を加速させます。
今月(6月)に入ってからの豪ドル/円の調整が深くなるようであれば、米ドル/円も下落トレンド入りが明確となるため、豪ドル/円の行方に注目したいところ。
【参考記事】
●米ドル/円は「雇用統計天井」で反落! ダウントレンド入り…中期では100円へ(6月11日、西原宏一)
米大統領選に向けて混迷を深める米国と、豪ドル/円を筆頭に上値が重くなってきたクロス円。米雇用統計を天井に、100円への過程にある米ドル/円の行方に注目です。
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