■主要クロス円の動きが、米ドル/円相場のドライバーに
前述のように、米国が米大統領選に向けて混迷を深めていることもあり、米ドル円、加えて日経平均は極めて上値の重い展開が続いています。
ただ、最近の米ドル/円相場は、英ポンド/円や豪ドル/円といった主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が、米ドル/円相場のドライバーとなっており、こうしたクロス円が明確な方向性を見せないと、米ドル/円はレンジ圏内でのもみ合に陥ることも多々見られます。
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たとえば、クロス円が米ドル/円を牽引した代表例は、2015年から2016年にかけての英ポンド/円の約75円もの暴落。
これに呼応して、米ドル/円は125円から100円割れへの急落を演じました。
(出所:Trading View)
(出所:Trading View)
■クロス円の中では、豪ドル/円に注目
そのクロス円の中で、筆者が注目しているのが、以前コラムでも取り上げた豪ドル/円。
【参考記事】
●全米でデモ拡大…だけど、米国株は続伸!? 豪ドル/円は買われ過ぎ示唆で押し目狙い(6月4日、西原宏一)
筆者が使用しているテクニカル分析では、多くのインディケーターが豪ドル/円の買われ過ぎを示唆していましたが、6月8日(月)に76.76円の高値をつけ、やっと上げ渋り。
その後、高値圏内で乱高下を繰り返していましたが、6月18日(木)のアジア市場では豪ドルの下落が加速。5月の豪雇用統計で雇用者数、失業率、労働参加率のいずれも予想を下回る結果となったことが要因です。
豪ドル/円は、一時73.00円水準まで急落しました。
(出所:Trading View)
これにより、豪ドル/円も調整局面入りが濃厚。
呼応して、107円台前半でサポートされ、なかなか106円台まで下落しなかった米ドル/円が107.00円を割り込む展開となっています。
(出所:Trading View)
米ドル/円の下落を鮮明化させる要因は、リスクオフ相場です。
「リスクオフ=株安」となり、英ポンド/円か豪ドル/円が下落する相場のほうが、米ドル/円の下落を加速させます。
今月(6月)に入ってからの豪ドル/円の調整が深くなるようであれば、米ドル/円も下落トレンド入りが明確となるため、豪ドル/円の行方に注目したいところ。
【参考記事】
●米ドル/円は「雇用統計天井」で反落! ダウントレンド入り…中期では100円へ(6月11日、西原宏一)
米大統領選に向けて混迷を深める米国と、豪ドル/円を筆頭に上値が重くなってきたクロス円。米雇用統計を天井に、100円への過程にある米ドル/円の行方に注目です。
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