昨日はコロナウイルスの感染拡大がマーケットのトピックとなった。フランスのマクロン大統領が「このままでは医療崩壊する」と発言して危機感が増幅した。欧州株が大幅安となる中、リスクに敏感なクロス円が下落。ユーロ円は122円台の前半まで押し込まれた。
だがその後に続いた米国株の下げ方に比べると下げ幅は小さかったといえるだろう。とはいっても前日に失敗した124円台乗せからの下落である。相当に相場は傷ついているはずであり、買い込んだ連中の投げ売りのためのオファーも出てこざるをえない。そこで自然にクロス円の相場の頭は重くなる。
したがってマーケット全体のリスク回避姿勢が弱まるまでは、ユーロ円を押し目買いするわけにはいかない。ユーロ円を突っ込んでショートにしないまでも、リスク動向を見ていく上での指針にすべきところだ。
米国株が大幅安手スタートしたのは言うまでもないが、それがさらに一段安したのはドイツのメルケル首相も部分的ではあるがロックダウンを表明したからである。米企業の決算は良いものが並んだが、こうなることはほぼ想定通りなので、既に固くなってしまっている株価を押し上げる材料にはならなかった。
欧州のコロナ拡大でユーロドルも下がった分だけ、ドル円、ユーロ円が安値圏での張り付き状態が続いている。そして今日になって早朝からリスクテークが激しくなった。これは今週に入ってからのリスク回避の流れの自律反発なのだろう。
また昼間に日銀の会合も控えているということもあって、何の期待もないとはいいながら、それまではだまされておこうというトレードも含まれているようだ。その日銀は予想通りに何もせず。マーケットも動いていない。
今晩はアメリカのGDPである。これは年換算で30%以上の事前予想がされているが、コロナ状態からの反動なので数字としては驚くに当たらない。ただ大統領選の前の最後の大きな材料なので、もしも結果が予想通りであってもトランプ陣営に活用されることになるだろうと想像に難くはない。それよりもニューヨーククローズ後に出てくるアマゾンやアップルといったGAFA銘柄の決算発表のほうが重要となるだろう。
何の注目も集めていないが、ECBの金利会合の後のラガルド総裁の発言にも気にしておきたいところだ。ここ最近はドイツ国債の利回りが急激に低下しており、マイナスの度合いを深めている。実際に動かさないにしても短期金利におけるマイナス金利の効果などの検討に入ったとかとなれば、ユーロの一段安は妨げられないだろう。
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