■コモディティ価格上昇で、インフレ期待高まる
トルコ中銀が定期的に行っているインフレ期待アンケートによると、年末のインフレ率期待は14.18%となりました。
前回のアンケートでは12.47%でしたので、インフレ期待が大きく上昇しているのがわかります。一方で、12カ月後のインフレ期待は、前回とほとんど変わらず10.84%となりました。
インフレ率が短期で上昇するという見方は、原油価格を中心にコモディティ価格が上昇しているからだと考えます。
(出所:IG証券)
■トルコ政府は、厳しいロックダウンを実施
トルコの新型コロナウイルス感染者数は10月に入ってから急増しています。感染者数は合計で200万人を超え、世界7番目に多い国となりました。
(出所:Worldometerのデータを基にザイFX!編集部にて作成)
感染者が急増した背景に、トルコが感染報告のやり方を変えたことも挙げられます。
トルコ政府は以前、無症状の感染をカウントしていませんでしたが、欧州諸国からの批判を受け、無症状感染のケースもカウントするようになりました。つまり、急に増えたというより、元々多かったと考えるのが自然です。
トルコ政府は、11月30日(月)の閣議決定で、外出禁止令を含む一連のロックダウン(都市封鎖)対策を実施することにしました。
【参考記事】
●長引けばトルコリラ/円は13円割れか…! コロナ再拡大でトルコがロックダウン再開(12月2日、エミン・ユルマズ)
平日は午後9時から翌日の午前5時までの外出禁止令、週末は金曜日の午後9時から翌週月曜日の午前5時までの外出禁止令が出されています。
幼稚園を含む教育機関が休校となり、冠婚葬祭などの儀式への最大参加人数は30人を超えないように定められました。
スーパー、コンビニなどの生活必需品を販売している店舗は通常営業が許可されていますが、レストランなどの飲食店は店内飲食が禁止され、お弁当販売や配達のサービスだけ許可されています。
この一連の厳しいコロナ対策によってトルコ経済がどこまでのダメージを受けるか、現時点で予想するのは難しいです。しかし、来年(2021年)の夏までにパンデミックが収束して観光収入がある程度戻らない限り、トルコ経済が破綻してしまいますので、観光シーズンではない冬期間に厳しい対策を実施し、感染を抑制する以外の選択はなかったと予想されます。
■政策金利据え置きなら、対円は13.00円前後まで下落か
今週(12月21日~)のトルコリラですが、対米ドル、対円ともに上昇しています。米ドル/トルコリラは7.65リラ近辺まで下落し、トルコリラ/円も13.60円水準まで上昇しています。
(出所:IG証券)
(出所:IG証券)
その理由は、利上げ期待です。トルコリラにとって年内最後のイベントは、12月24日(木)に行われるトルコ中銀の政策会合です。
市場では追加利上げを期待するアナリストが多く、その期待がトルコリラの上昇につながっています。利上げ幅については0.50%から2.00%までと幅広い予想が散見されますが、足元のインフレ率の上昇を考えると、少なくとも1.00%以上の利上げが必要です。
トルコリラはすでに1.50%の利上げを織り込んでいるので、政策金利据え置きの場合、トルコリラ/円が13.00円前後まで下落する可能性が高いと予想しています。
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