■マグニチュード7.0の地震と津波発生でイズミルが被災
10月30日(金)に、エーゲ海を震源とするマグニチュード7.0の地震と津波が発生しました。
トルコで人口が3番目に多い都市であるイズミルでビルが20棟以上倒壊し、100人以上の死者と1000人近くの負傷者が出てしまいました。建物の下敷きになって、いまだに救出されていない人もいるので死者数がもっと増えることが懸念されています。
同じくエーゲ海にあるギリシャのサモス島でも被害が出ていて、2人が死亡し8人がケガをしました。
トルコは地震大国で、1999年にもマルマラ地方で大きな地震が発生し、3万人以上の死者が出ています。当時大学生だった私は、被災地に行ってボランティア活動をやっていたので崩壊した建物の多さを見てショックを受けました。
【参考記事】
●トルコ東部地震がGDPへ与えるインパクトは? トルコリラ/円は17.50円程度が下値メドか(1月29日、エミン・ユルマズ)
日本と違って、トルコは一軒家という文化が普及しておらず、都市部の住宅は、ほとんどマンションです。しかし、地震大国のわりにトルコのマンションは地震で崩壊しやすい構造のものばかりです。そのため、地震が起きるたびに建物が崩壊し、たくさんの人が下敷きになって亡くなるという最悪の事態が発生してしまいます。
1999年の大地震後に、トルコ政府は耐震基準を変更し、それ以降に建てられたビルはしっかりしていると言われていますが、トルコの大都市はまだまだ古いビルが多く、特にイスタンブールで大地震が発生したら10万人以上の死者が出ると予想されています。
■トルコリラの下落は、いったん止まると予想
今週(11月2日~)のトルコリラですが、先週(10月26日~)に続いて下落トレンドが止まらず、米ドル/トルコリラは節目の8.50リラを超え、対円でも12円台前半まで下がっています。
トルコメディアの報道やトルコ国内の専門家が一致している見解は、トルコリラがバイデン勝利を織り込んで下がっているということですが、いつまで下がるのでしょうか。
本日(11月4日)選挙結果が出るので、結果がどうであれ、トルコリラの下落はいったん止まると考えています。
(出所:IG証券)
(出所:IG証券)
■米大統領選挙後、トルコ中銀は利上げに動くか
また、選挙結果を受けて、トルコ中銀も利上げに動く可能性が高いと見ています。トルコメディアでは3%~5%の利上げがウワサされています。
個人的にもトルコリラは短期間で下げすぎたと思っているので、政治イベント通過と利上げが重なれば13.50円までの戻りはあるのではないかと予想しています。
(出所:IG証券)
しかし、短期的なリバウンドはあるものの、やはりバイデン政権が誕生したら、トルコに対してトランプ政権よりも厳しく対応するのは事実で、トルコ国営銀行のハルクバンクのマネーロンダリング事件も厳しく追及していきそうです。
【参考記事】
●米大統領選の結果はトルコリラにも影響大! バイデン優勢でトルコと米国の関係悪化!?(10月14日、エミン・ユルマズ)
●インフレ減速と原油下落はトルコに追い風! 21円台維持はハルクバンクへの罰金次第か(2018年11月7日、エミン・ユルマズ)
ハルクバンク株も直近1カ月で大きく下がっているので、やはりバイデン政権誕生を懸念した動きであることがわかります。
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