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東ローマ帝国滅亡からクーデター失敗まで!
トルコリラ急落の今、トルコの歴史を振り返る

2018年08月28日(火)17:03公開 (2018年08月28日(火)17:03更新)
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実はあんまり良く知らないトルコの歴史

 長らく続くトルコリラの下落ですが、ここ最近の暴落で、トルコリラの取引をやってみようかと考えていたり、トルコリラ/円の買いポジションを持っていて相場の動向が気になってしかたがなかった人は、たくさんいると思います。

トルコリラ/円 月足
トルコリラ/円 月足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 月足

ザイFX!でも、FX各社のトルコリラ/円のスペックにスポットをあてたものだけでなく、トルコリラそのものの動向を紹介する記事をたびたび公開してきました。

【参考記事】
トルコリラ/円が一時、16円台まで暴落! トルコリラ急落の震源地はユーロか!?
トルコリラ/円は一時15円台まで大幅続落! 原因はトランプとエルドアンの両大統領!?
FX会社が警戒するトルコの「犠牲祭」とは? 日本発のトルコリラショック再開はある!?

 また、先日からは当ザイFX!で、トルコ出身のエコノミスト、エミン・ユルマズさんの連載コラム「トルコリラ相場の明日は天国か? 地獄か?」もスタートしたばかりです。

エミン・ユルマズ氏コラムバナー

【参考コンテンツ】
エミン・ユルマズの「トルコリラ相場の明日は天国か? 地獄か?」

 トルコといえばかなりの親日国で、トルコ絨毯やトルコアイス、それに世界遺産のカッパドキアが有名で…と、このあたりのことはパッと思い浮かべることはできます。でもトルコリラ相場の歴史や、ここに至るまでのトルコの経済・政治の状況などを詳しく知っている方は、あまり多くないのではないでしょうか?(エラそうに書いていますが、記者も詳しくはありません…)

 トルコリラが米ドルやユーロのように世界規模で流通している通貨ではない、いわゆる「マイナー通貨」で、日本にいると相場に関する情報の入手がそれほど簡単ではなかったり、そもそも情報量自体が乏しいといった理由もあると思います。

トルコのことを知っておくことは、今後、トルコリラを取引するときにきっと役に立つはずです。そこでトルコの動向やトルコリラ相場が一段と注目を集めている今、トルコ経済や政治、トルコリラの歴史などを振り返ってみたいと思います。

トルコってどんな国?

 では、外務省やIMF(国際通貨基金)の公表データを参考にしながら、トルコの基礎的な知識をおさらいしておきましょう。

 トルコの正式名称は「トルコ共和国(Republic of Turkey)」。西アジアのアナトリア半島と、東ヨーロッパのバルカン半島東部の一部に国土を有し、北は黒海、南と西は地中海に面しています。首都はアンカラです。

トルコの地図

(出所:Google)

 2017年時点の人口はおよそ8100万人(世界第19位)で、国土面積は約78万平方キロメートルと、日本の約2倍の広さがあります。公用語はトルコ語で、イスラム教徒が国民の大多数を占めます。

 2017年のGDP(国内総生産)は世界第17位(米ドルベース)。世界有数の農業国で、主力産業は繊維、食品加工、自動車などです。

 先ほどの地図にもあるとおり、欧州、アジア、アフリカに近接していて、昔から「東西文明の十字路」として、交易が盛んに行われてきました

 日本の公式見解ではトルコは中東に属する国ですが、トルコは自国を欧州の国としており、2005年にはEU(欧州連合)への加盟申請も行っています。イスラム社会としては唯一のNATO(北大西洋条約機構)加盟国であるなど、欧米との関係も非常に重視しています。

NEXT11、VISTAの構成国で、有力新興国の1つ

 G7(先進7カ国)に新興国などを含めたG20(主要20カ国・地域)のメンバーで、2015年には議長国も務めています。BRICs(※1)に続く有力な新興経済国とされるNEXT11(※2)や、エコノミストの門倉貴史氏が提唱するVISTA(※3)の構成国としても注目を集めている国です。

(※1「BRICs」とは、今後、大きな経済成長が見込まれる新興国で、ブラジル(B)、ロシア(R)、インド(I)、中国(C)の4カ国の頭文字をつなげた造語。最後の文字「s」を南アフリカとして、計5カ国を指す場合もある。2001年に米投資銀行、ゴールドマン・サックスのエコノミストが投資家向けレポートで紹介し、世界中に広まった)

(※2「NEXT11」とは、BRICs諸国に次いで21世紀有数の経済大国に成長する高い潜在性があるとされる11カ国の総称。イラン、インドネシア、エジプト、トルコ、ナイジェリア、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、メキシコ、大韓民国で構成されている。BRICsの提唱者である米投資銀行、ゴールドマン・サックスのエコノミストが2005年に選出)

(※3「VISTA」とは、地理的なバランスと高成長のための条件が揃っていて、ポストBRICsの候補として選出されたベトナム(V)、インドネシア(I)、南アフリカ(S)、トルコ(T)、アルゼンチン(A)の5カ国の頭文字をつなげた造語)

 ただ、1963年にEUの前身であるEEC(欧州経済共同体)に加盟を申請して以降、トルコは未だ、50年以上にわたって欧州の仲間入りを果たせていません。最近ではEU側が加盟交渉の打ち切りを示唆していて、トルコ側も、もはや加盟の必要はないとの認識を示しています。

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東ローマ帝国も滅ぼした! 半端なかったオスマン帝国

 現在のトルコの首都はアンカラですが、最大の都市はイスタンブールです。ここはかつて、ローマ帝国、東ローマ帝国(ビザンツ帝国)、オスマン帝国と、3つの世界帝国の首都となった過去があります(ただし、当時はイスタンブールとは呼ばれていませんでしたが)。歴史的建造物も多く、世界中の観光客からも人気の場所ですね。

 トルコの歴史を語るうえで外せないオスマン帝国は、11世紀にトルコ系のイスラム王朝一派の支配下で発展していったオスマン朝が起源となり、15世紀に東ローマ帝国を滅ぼして大帝国を打ち立てます。最盛期には下図のように、広大な国土を有する一大帝国に発展していくのです。

オスマン帝国の最大領土(1683年)
オスマン帝国の最大領土(1683年)

(出所:wikipedia)

オスマン帝国は衰退。トルコ共和国の建国へ

 しかし、19世紀に入ると徐々に衰退が始まり、多くの民族が独立していきます。第一次世界大戦で敗北すると、英国、フランス、ギリシャなどの占領下に置かれて解体されます。解体後に、かつて、オスマン帝国から独立した歴史を持つギリシャが、居住地の併合を目指して進攻してきたこともあり、トルコとギリシャの関係は悪化します。

 また、キプロス島でギリシャ系住民とトルコ系住民が対立し、両国が介入する事態に発展した「キプロス問題」も勃発したため、今でもギリシャとトルコの関係はギクシャクしています。これが、トルコのEU加盟が進まない理由の1つになっているという見方もあります。

 2017年にはトルコのエルドアン大統領が、大統領としては65年ぶりにギリシャを訪問しましたが、首脳会談で両国の溝が埋まったようには見受けられず、トルコ大統領のギリシャ訪問はギリシャ側から歴史的な失敗と評されました(ただし、経済的な交流は進んでいるようです)。

 話を戻しますが、こうしたオスマン帝国解体後の諸外国の侵攻を受け、1919年に旧帝国の軍人らが中心となった独立を訴える抵抗運動「トルコ独立戦争」が起こります。

 オスマン帝国時代の軍人で、トルコの建国の父と言われるムスタファ・ケマル・アタテュルク氏のもと、1922年に現在の領土を勝ち取ると、1923年にローザンヌ条約を締結して共和制を宣言。翌1924年にトルコ共和国が建国されました。

欧米と良好な関係を築いていたのに…

 第二次世界大戦後、当時のソ連(現在のロシア)と隣接していたトルコは、冷戦中に反共産主義の防波堤として西側諸国、いわゆる米国を中心とした資本主義国家に迎え入れられます。1952年にNATO、1961年にOECD(経済協力開発機構)に加盟し、米国から経済的・軍事的な援助も受けながら、欧米と良好な関係を築いて西欧化を進めていきます。

 しかし、最近ではシリアの内戦を通じてロシアと関係を深めていることから、欧米との関係が悪化しています。特に懸念されているのは対米関係です。これは、2003年のイラク戦争などを通じて、イスラム国家が多い中東への覇権を強める米国に対して、トルコ国民が反感を抱いたことも背景にあります。

 2017年には、イスタンブールの米総領事館職員を、政府転覆を企てた疑いでトルコが逮捕したため、両国がお互いにビザの発給を停止。また、2016年に起こったトルコ国内のクーデターで、反政府勢力を支持したとしてトルコに拘束されている米国人牧師の解放を巡って、2018年には米国が経済制裁を発動したことから、現在、両国の緊張は一段と高まっているのです。

他のイスラム教徒が多い国と異なる「世俗主義」

 トルコ国民の大多数はイスラム教徒だとお伝えしましたが、今のトルコ共和国は憲法で厳密な政教分離を規定している「世俗主義国家」です。世俗主義とは、国家や政府が特定の宗教に支配されず、独立していなくてはいけないという考え方で、特定の宗教を優遇することも禁止されています。

 通常、国民の多くがイスラム教徒の国では、イスラム教を国の法律に適用したり、国家の指導的立場にあたる役職を必ずイスラム教徒が担うというのが普通のことです。しかし、トルコではそんなことはありません。

 イスラム教では飲酒の禁止や、屋外での女性のスカーフ着用が義務付けられていますが、トルコでは法律によって、飲酒を認め、女性のスカーフ着用を禁止するなど、他のイスラム教徒が多い国とは一線を画していたのです(なぜ「いた」という過去形になっているのかは、あとで触れます)。

 トルコの世俗主義は、建国の父、ムスタファ・ケマル・アタテュルク氏が国是に掲げた理念であり、この教えを忠実に守ってきたのがトルコの軍部になります。

 憲法に基づく厳密な世俗主義を主張する軍部は、政局が不安定になると、民主的な統治を守る名目でクーデターを起こし、たびたび全権を掌握してきたという歴史があります。

大規模なクーデターが失敗! その後、13万人も追放された

 こうした中で、現在、トルコ議会で与党の座にあるAKP(公正発展党)は、世俗主義ではなく、穏健なイスラム派の政党です。2002年から政権を担ったAKPは、女性公務員のスカーフ着用禁止令を廃止したり、アルコールの販売を制限する改革を進めてきました。これが、イスラム主義的と捉えられていることもあり、かねてより、軍部とAKPは緊張状態にありました。

 さらに、現在、トルコの大統領を務めるエルドアン氏は、首相時代の2007年あたりから軍の上級将校らを無実の罪で逮捕したり、政権に近い人物を軍の要職に据えるなどといった手段で軍の切り崩しに着手していました。ジャーナリストや弁護士なども次々に投獄され、その強硬な政治手腕が海外から批判も集めました。こうした対立が火種となって起こったのが、2016年の大規模なクーデターです。

【参考記事】
クーデター騒ぎ勃発でトルコリラが急落! 急落でも問題なくスワップで儲ける手法

エルドアン大統領の写真

2016年に反エルドアン派の軍部によるクーデターが勃発。暗殺を免れたエルドアン大統領は、非常事態宣言を発動してクーデターに関わったとされる多くの軍、警察、政府機関関係者らを追放した。写真は2018年8月の演説時のもの (C)Anadolu Agency/Getty Images

 クーデターが失敗に終わり、暗殺を逃れたエルドアン氏は、非常事態宣言を発動してクーデターに関連したとみられる13万人におよぶ軍、警察、政府機関関係者らを追放します。

 この非常事態宣言は、2018年7月にようやく解除されました。しかし、現在、大統領職を務めるエルドアン氏は、テロやクーデターの容疑者を取り締まるため、検察官の権限を拡大することなどを盛り込んだ法案の議会通過を目指しているようで、可決されれば、今後も逮捕者が増える可能性がありそうです。

 宗教的な考え方に基づくトルコ国内の混乱も、トルコの政治の不安定に一役買っているのです。こうしたことを頭に入れておくと、今後、トルコ関連のニュースを目にしたとき、今までよりも理解が深まるかもしれませんね。

次回はトルコリラ相場の変遷と、トルコの景気や経済を振り返っていきたいと思います。

「大暴落と安定。約30年間のトルコリラ相場を振り返る。エルドアン政権の功罪とは?」へつづく)

(ザイFX!編集部・堀之内智)

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