■実はあんまり良く知らないトルコの歴史
長らく続くトルコリラの下落ですが、ここ最近の暴落で、トルコリラの取引をやってみようかと考えていたり、トルコリラ/円の買いポジションを持っていて相場の動向が気になってしかたがなかった人は、たくさんいると思います。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 月足)
ザイFX!でも、FX各社のトルコリラ/円のスペックにスポットをあてたものだけでなく、トルコリラそのものの動向を紹介する記事をたびたび公開してきました。
【参考記事】
●トルコリラ/円が一時、16円台まで暴落! トルコリラ急落の震源地はユーロか!?
●トルコリラ/円は一時15円台まで大幅続落! 原因はトランプとエルドアンの両大統領!?
●FX会社が警戒するトルコの「犠牲祭」とは? 日本発のトルコリラショック再開はある!?
また、先日からは当ザイFX!で、トルコ出身のエコノミスト、エミン・ユルマズさんの連載コラム「トルコリラ相場の明日は天国か? 地獄か?」もスタートしたばかりです。
【参考コンテンツ】
●エミン・ユルマズの「トルコリラ相場の明日は天国か? 地獄か?」
トルコといえばかなりの親日国で、トルコ絨毯やトルコアイス、それに世界遺産のカッパドキアが有名で…と、このあたりのことはパッと思い浮かべることはできます。でもトルコリラ相場の歴史や、ここに至るまでのトルコの経済・政治の状況などを詳しく知っている方は、あまり多くないのではないでしょうか?(エラそうに書いていますが、記者も詳しくはありません…)
トルコリラが米ドルやユーロのように世界規模で流通している通貨ではない、いわゆる「マイナー通貨」で、日本にいると相場に関する情報の入手がそれほど簡単ではなかったり、そもそも情報量自体が乏しいといった理由もあると思います。
トルコのことを知っておくことは、今後、トルコリラを取引するときにきっと役に立つはずです。そこでトルコの動向やトルコリラ相場が一段と注目を集めている今、トルコ経済や政治、トルコリラの歴史などを振り返ってみたいと思います。
■トルコってどんな国?
では、外務省やIMF(国際通貨基金)の公表データを参考にしながら、トルコの基礎的な知識をおさらいしておきましょう。
トルコの正式名称は「トルコ共和国(Republic of Turkey)」。西アジアのアナトリア半島と、東ヨーロッパのバルカン半島東部の一部に国土を有し、北は黒海、南と西は地中海に面しています。首都はアンカラです。

(出所:Google)
2017年時点の人口はおよそ8100万人(世界第19位)で、国土面積は約78万平方キロメートルと、日本の約2倍の広さがあります。公用語はトルコ語で、イスラム教徒が国民の大多数を占めます。
2017年のGDP(国内総生産)は世界第17位(米ドルベース)。世界有数の農業国で、主力産業は繊維、食品加工、自動車などです。
先ほどの地図にもあるとおり、欧州、アジア、アフリカに近接していて、昔から「東西文明の十字路」として、交易が盛んに行われてきました。
日本の公式見解ではトルコは中東に属する国ですが、トルコは自国を欧州の国としており、2005年にはEU(欧州連合)への加盟申請も行っています。イスラム社会としては唯一のNATO(北大西洋条約機構)加盟国であるなど、欧米との関係も非常に重視しています。
■NEXT11、VISTAの構成国であり、有力新興国の1つ
G7(先進7カ国)に新興国などを含めたG20(主要20カ国・地域)のメンバーで、2015年には議長国も務めています。BRICs(※1)に続く有力な新興経済国とされるNEXT11(※2)や、エコノミストの門倉貴史氏が提唱するVISTA(※3)の構成国としても注目を集めている国です。
(※1「BRICs」とは、今後、大きな経済成長が見込まれる新興国で、ブラジル(B)、ロシア(R)、インド(I)、中国(C)の4カ国の頭文字をつなげた造語。最後の文字「s」を南アフリカとして、計5カ国を指す場合もある。2001年に米投資銀行、ゴールドマン・サックスのエコノミストが投資家向けレポートで紹介し、世界中に広まった)
(※2「NEXT11」とは、BRICs諸国に次いで21世紀有数の経済大国に成長する高い潜在性があるとされる11カ国の総称。イラン、インドネシア、エジプト、トルコ、ナイジェリア、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、メキシコ、大韓民国で構成されている。BRICsの提唱者である米投資銀行、ゴールドマン・サックスのエコノミストが2005年に選出)
(※3「VISTA」とは、地理的なバランスと高成長のための条件が揃っていて、ポストBRICsの候補として選出されたベトナム(V)、インドネシア(I)、南アフリカ(S)、トルコ(T)、アルゼンチン(A)の5カ国の頭文字をつなげた造語)
ただ、1963年にEUの前身であるEEC(欧州経済共同体)に加盟を申請して以降、トルコは未だ、50年以上にわたって欧州の仲間入りを果たせていません。最近ではEU側が加盟交渉の打ち切りを示唆していて、トルコ側も、もはや加盟の必要はないとの認識を示しています。
(次ページでは、トルコが世界的な大帝国だったころの話や、トルコが他のイスラム教徒が多い国とどこが異なっているかということなどを解説)
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