■トルコGDPは、予想をはるかに上回る好結果!
今週(11月30日~)発表されたトルコの7-9月期のGDP成長率は、プラス6.7%(前年比)となりました。市場予想はプラス4.8%でしたので、予想をはるかに上回る好結果です。
トルコ政府による財政出動とトルコ中銀による金融緩和、そして、トルコ国内銀行による積極的な貸し出しのおかげで景気が急回復した模様です。
【参考記事】
●トルコリラは3%の利上げを織り込み済みか。エルドアン政権が独裁から民主路線へ転換!?(11月18日、エミン・ユルマズ)
また、新型コロナウイルス対策が夏以降に大幅に緩和されたこともGDPの回復に貢献しました。
■トルコ政策金利は4.75%引き上げられて15%に…
一方で、金融緩和がトルコリラの下落とインフレ率の上昇をもたらしたため、トルコ中銀は利上げに踏み切らざるを得なくなって、新型コロナウイルス対策も再び強化され始めました。
トルコ中銀は、11月19日(木)に行われた政策会合で、政策金利を4.75%引き上げ、15%に設定しました。2年ぶりの大幅利上げでトルコリラの下落トレンドを止めましたが、景気回復を鈍化させてもいいという苦肉の決断を出したわけでもあります。
(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)
IMF(国際通貨基金)は、10月にトルコの2020年のGDP成長率予想をマイナス5%と発表しています。6月に行われた予想と変わらずの水準です。失業率については、今年(2020年)14.6%まで上昇したあとに、来年(2021年)は12.4%に下落すると予想しています。
■猛威を振るう新型コロナ。トルコ政府はロックダウンを再開
トルコの景気回復の勢いが続くかどうかは、パンデミックの状況にもよりますが、残念ながら11月に入ってから新型コロナウイルスが、再びトルコ国内で猛威を振るっています。
11月30日(月)時点のトルコの新型コロナウイルス感染者数が、3万1219人という記録的な数字になったことを受け、トルコ政府は、今週(11月30日~)から再びロックダウン(都市封鎖)を始めることを発表しました。
写真はトルコのエルドアン大統領。トルコ政府は新型コロナウイルスの1日の感染者が記録的な数字になったことを受けて、再びロックダウンを始めることを発表した (C)Anadolu Agency/Getty Images
平日は午後9時から翌日の午前5時まで、週末は完全にロックダウンとなりました。
ロックダウンとは外出禁止令なので、特別な許可がなく外出している人は罰則の対象となります。生活必需品や食料の販売も、なるべく宅配方式にするとのことです。
また、65歳以上の高齢者と20歳以下の若者は、交通機関の使用が禁じられ、結婚式やお葬式などのイベントも、最大30人までの人数に限られるという厳しいコロナ対策が打ち出されています。
トルコ政府の発表によると、国内感染者数は50万人を超え、死者数も1万4000人に近づいていますが、トルコがWHO(世界保健機関)に警告されるまで無症状の感染ケースを報告しなかったので、感染者数はもっと多いと予想されています。
■ロックダウンが長引けば、トルコリラ/円は13円割れへ
今週(11月30日~)のトルコリラですが、対米ドル、対円で下落に転じています。米ドル/トルコリラは、瞬間的に7.93リラ水準まで上昇した後に下落し、7.80リラ前後で推移しています。トルコリラ/円も、13.30円まで下落しました。
ドルインデックスが安値を更新し、新興国通貨が軒並み上昇している最中にトルコリラだけが下がっているのは、やはりロックダウンの影響だと考えています。
(出所:TradingView)
ロックダウンが長引いた場合、米ドル/トルコリラが再び8.00リラを超え、トルコリラ/円も13円を割ると予想しています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
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