■2021年のトップリスクはコロナではなく「米国の分断」
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします!
例年、1月はその年のトップリスクやサプライズなどが注目されます。
2020年は、サプライズのトップに「トランプ大統領の落選」を挙げていたアナリストがいたのですが、それが現実になったことが、まさに驚き。
2020年のサプライズのトップに「トランプ大統領の落選」を挙げているアナリストがいたが、それが現実に… (C)Chip Somodevilla/Getty Images News
そこで、今回のコラムでは、例年マーケットで話題になる、世界最大の政治リスク専門コンサルティング会社、ユーラシア・グループの2021年のトップリスクをご紹介させていただこうと思います。
イアン・ブレマー氏(ユーラシア・グループ社長)がピックアップした中で興味深かったのは、一番リスクが高いものに挙げたのが新型コロナウイルスではなく、バイデン大統領になってからの米国の分断ということです。
米大統領選挙前後にロサンゼルスの友人が、自分の家族の安全を守るために銃の購入を考えていると言っていましたが、現在、共和党と民主党、どちらの政党が勝とうが米国の分断は避けられないことが、新型コロナウイルスよりも大きなリスクのようです。
写真はジョー・バイデン氏。イアン・ブレマー氏は、2021年のトップリスクにバイデン大統領就任後の米国の分断を挙げている (C)Scott Olson/Getty Images News
確かに現在、米国民の半分が今回の大統領選挙でバイデン氏が不正を働いたと信じていることが、米国の分断を鮮明にしています。
その米国の分断が2021年のトップリスクに挙げられており、これが金融市場を大きく揺るがす事になるのではないかと個人的にも懸念しています。
(出所:Bloombergの報道記事などを参考にザイFX!編集部が作成)
ポストコロナである今年(2021年)は、サプライズな出来事が続きそうなので、こうしたトップリスクはマーケットで、さらに注目されそうです。
■「トリプルブルー」へ。決戦投票後、米国株は反発
今週(1月4日~)最大の注目、ジョージア州の2議席を争った5日(火)の決選投票ですが、民主党の2勝が確実に。
結果、民主党が大統領選に加えて、上下両院で多数派を確保する「トリプルブルー」(※)となりました。
(※「トリプルブルー」とは、バイデン氏が大統領選挙で勝利し、上下両院とも民主党が制すること。民主党のシンボルカラーがブルーのため、トリプルブルーと呼ばれている)
【参考記事】
●米ドル/円、104円が決壊すれば100円へ! 「トリプルブルー」でリスクオンは本当?(2020年10月29日、西原宏一)
この結果を受けて、米10年国債利回りは1.05%に上昇。
(出所:TradingView)
そして、米国株は当初リスクオフで下落するのではないか?と想定されていましたが、決戦投票後、反発。
(出所:TradingView)
株反発の材料として、トリプルブルーになって給付金が2000ドルに引き上げられるのではないか?との憶測も働いているようです。給付金の額が増えることで、その資金が株に流れるのではないか?との連想です。
■米ドル下落なら、豪ドル/円を筆頭にクロス円は上昇
一方、トリプルブルーを受け、米ドルに対して極めてネガティブな見方をしているのがシティバンクです。
ジョージア州の上院決選投票結果、ドル20%下落リスク高める-シティ
出所:Bloomberg
米10年国債利回りが1%台を回復し、底堅く推移していることは、米ドル/円に対してサポート材料となります。
(出所:TradingView)
一方、シティバンクが想定するように、円以外の主要通貨で米ドル売りが進行するのであれば、豪ドル/円を筆頭にクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が上昇することになります。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
筆者が2021年の注目通貨に挙げているのは、豪ドル。
その豪ドル/円は、年初いきなり80円の高値をつけているのですが、上昇トレンドは変わらず、まず、83円に向けて上昇中。中期でのターゲットは90円で変わらずです。
【参考記事】
●コロナショック後の豪ドルは30%超上昇! 2021年の豪ドル/円は、90円を目指すか(2020年12月10日、西原宏一)
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