■「遅ればせながら」の日経平均3万円
日経平均は今日(2月15日)、30年ぶりに3万円台を回復しました。
(出所:TradingView)
昨年(2020年)から続く世界的な株高と比べれば、「遅ればせながら…」という感もありますね。
韓国や台湾などと比べても、日本株の上昇はあきらかに緩慢でしたが、やっと海外勢も入ってきたのでしょうか。海外年金勢が買っているという話もあります。
(出所:TradingView)
※2020年第1週目を起点とした騰落率を表示
日本株には割安感もあるのでしょうし、先週(2月8日~)は「ソニー、初の純利益1兆円超え」というトピックもありました。
ソニーは家電メーカーからコンテンツメーカーへの転換がうまくいっているのでしょう。
これまではカネ余りを背景にした「金融相場」による上昇でしたが、今後は「業績相場」に変わるのでは…との見方もありますね。
トヨタも通期予想を上方修正していましたし。
■円高に傾けば、円安材料が飛び出してくる
為替市場では先週、時事通信が「マイナス金利、危機時に強化 機動性確保へ方針明確化―3月の政策点検で日銀」との速報を流しました。
1月には米ドル/円が102円台へ突っ込んだところで財務省、金融庁、日銀による3者会合が開催され反転、今回も円高気味に推移したところで漏れてきた材料。円高阻止への意図があるのでしょう。
【参考記事】
●米追加経済対策に絡むサプライズ報道で米ドル反発。ユーロ/米ドルは戻り売りで(1月14日、西原宏一)
マイナス金利の深堀りには副作用も大きいですよね。
たしかにそうですが、今後も円高に傾くと何らかの材料が出てくるのでしょう。
米10年債利回りも1.21%まで上がってきました。
米ドル/円は米長期金利への感応度が高く、また世界的に長期金利が上がる中、日本は出遅れています。
金利面からも円安が進みやすいと言えます。
【参考記事】
●コロナ対策の成否で通貨に明暗。英ポンド上昇の理由は、ワクチン代金の支払いかも(2月8日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
日本の長期金利は日銀がコントロールしていますから、当然とも言えますよね。
先週のG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)では、イエレン米財務長官が財政出動を「思い切りやるべき」と語り、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は講演で「最大雇用まで緩和継続」と発言しています。
米国は財政と金融の両輪でアクセルを吹かしているのに対して、日本は財政政策への取り組みが甘い。
これも株価が出遅れた理由のひとつでしょう。
■プラチナ高騰で南アフリカランドが上昇
米国の金融・財政政策は米ドル安要因ですが、米ドル安は主に新興国やオセアニア通貨に対して進むのでしょう。
象徴的なのがニュージーランド。わずか3人の新規感染者が出ただけで最大の都市・オークランドをロックダウンしました。
依然としてコロナを抑えきれない日本や欧米との差は開く一方です。
コモディティ市場ではWTI原油が60ドル台を回復しました。減産の効果もありますし、中国などからの需要も強いのでしょう。
でも、注目はプラチナ。5年ぶりの高値水準まで上がってきました。
フォルクスワーゲンの排ガス不正で暴落してから、あまりにも安値に放置され続けたことに加え、水素社会の実現や燃料電池自動車への需要といったテーマ性もあります。
プラチナの産出国は圧倒的に南アフリカ。プラチナ高を背景にして、南アフリカランドも上昇しています。
(出所:TradingView)
米ドル安ということはコモディティ高とも符合しますね。
南アフリカランド/円やメキシコペソ/円の買いはいいかもしれない。
メキシコも銀の産出量が世界一。ただ、太陽光パネルに使われる銀ですが、技術革新によって2020年半ばまでに需要が40%減少するとのレポートもあります。
そうなると、コモディティ関連で注目なのは南アフリカランド、ということになりますね。
■豪ドル/円の押し目買いがよさそう
ビットコインの上昇も続き、5万ドル目前です。
(リアルタイムチャートはこちら → 暗号資産(仮想通貨)チャート&レート:ビットコイン/米ドル 日足)
先週はバンク・オブ・ニューヨークメロンが暗号資産(仮想通貨)のカストディ業務へ進出するとのニュースが出ましたし、アップルがiPhoneのウォレットでビットコインを売買できるようにするのでは…との憶測も飛んでいます。
あくまでもウワサの段階ですが、もし実現すればインパクトは絶大でしょう。
今週の戦略はどう考えますか?
米長期金利はじりじり上がり、米ドル/円も底堅いのでしょうし、米国が刷りまくっている米ドル紙幣は新興国やオセアニア通貨へと流れる。
そう考えると、豪ドル/円の押し目買いでいいのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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