FOMCでの会合の結果は市場が期待したほど金融政策の変化は見られなかった。それで昨日の欧州序盤からは長期金利の上昇が目立ってきた。10年ものの利回りは1.73%まで上昇してきて今年のハイレベルを更新してきたことが、象徴的なインフレ懸念となった。欧州株が下落するのにともなって、グローベックスでの米国株も大きく下落。それまで堅調な地合いを歩んでいたクロス円も下げに転じた。
長期金利の上昇はニューヨーク序盤まで続き、1.75%台まで上昇してきた。上昇幅はそれほども大きくはなかったが、FOMCの後だったこと、また水準がフレッシュ・ハイだったことが市場を過敏にさせた。経済指標などはまったく無視され、長期債の金利上昇の上げ止まりばかりを気にする展開となった。
FOMCに比べると日銀の決定会合では変化の兆しが大きめに見えた。緩和政策が適正かどうかを点検するというのだ。これまで日銀は何も目新しいことをしてこなかったことの裏返しでもあろうが、アメリカサイドが金融緩和の継続に重点を置いたのに比べて、日本側は緩和政策において限界をそろそろ迎えているのだと言っているようなものだ。
日本が長期金利の変動を拡大することを容認したことで、さっそく円債はやや売られた。といっても目が飛び出るほど長期金利が上昇したわけではない。ETF買い入れの6兆円枠を外すとしたことは、予想されたように日銀が株界を止めるのかと誤解を生じさせル恐れもあって、若干の株安が起こった。ともかくもインパクトとしてはアメリカよりも日本のほうが大きかったということだ。
これで再び注目はドルの長期金利に移る。再度の上昇を試みるのかどうか。為替相場もドル高水準にステイしてはいるものの、やや膠着感が醸し出されている。それを打破するのは長期金利の一段高があるかどうかにかかっている。
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