■超短期的、短期的な反応と中長期的な反応が異なることも
先週のコラムでは、ニュージーランドドルの上昇が一時的なものであるという私の見方を紹介しました。
【参考記事】
●急上昇したニュージーランドドルがこれから上昇期に入らないと考えるワケは?(5月27日、今井雅人)
理由は、先週述べたとおりですが、ここで1つの経験則をお話したいと思います。
金融市場というのは、超短期的、短期的な反応と、中長期的な反応が異なることがしばしばおきます。
超短期的、あるいは短期的視点で考えると、何か経済指標の発表や市場に影響を与えるようなニュースなどが出てきたときに、その中身を深く分析しないで、とりあえず表面的な結果や内容に飛びつくという傾向があります。
今回のニュージーランドドルのケースでは、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])が声明文の中で、前回まではあった利下げの可能性についての文言を削除したことに、市場関係者が色めき立ってニュージーランドドルを買い上げました。その動きはほんの一瞬の出来事でした。
(出所:TradingView)
しかし、その後、声明文全体をよく読み返してみると、金融引き締めに向かうには相当の時間を要することを示唆するなど、意外に慎重だなという印象をみんなは受けたのではないかと思います。
その後の市場の動きを振り返ってみると、声明文発表の翌日は全面的に円安が進んだ影響で一時80円台に乗る局面もありましたが、結局、このコラムを書いている時点では、声明文の表面的な内容に飛びついて一気に上昇したレベルよりも下の水準に戻ってしまっています。
こうしたことはよくあることだということを、ここで再確認しておきたいと思います。
(出所:TradingView)
■資源の豊かな国の通貨が強くなっていく可能性は十分ある
ただし、誤解のないように申し上げれば、私はこれをもって長期的にニュージーランドドルは上昇しないと言っているわけではありません。
新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に収まってくれば、グローバルで景気が回復していくでしょうから、いわゆる資源の値段も上がっていくことが期待されます。
ですから、豪州やニュージーランド、カナダのような資源の豊かな国の通貨が強くなっていく可能性は十分にあります。
私は、今回のRBNZの声明文による上昇は一時的だと言っているだけであるということは理解していただければと思います。
■米雇用統計の結果が非常に重要になってくるかも
さて、肝心の米ドル相場は混とんとした状態が続いています。どの通貨もなかなか方向感がでてきません。
ここから抜け出すには、1つは雇用統計を始めとした米国の経済指標に目立った変化がでてくる必要がありそうです。
そういった観点で考えると、明日6月4日(金)に発表される米国の雇用統計5月分の結果は非常に重要になってくるかもしれません。
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●米雇用統計
市場予想は失業率が5.9%、非農業部門雇用者数が前月比65万人の増加です。特に非農業部門雇用者数の増減に注目しておきましょう。
経済指標の結果にもよりますが、米国の景気がしっかりしてくること、一方で、日本の金融緩和はまだ当面続くことを考えると、やはり、米ドル/円での押し目買いが一番やりやすいのではないかと思います。
米ドル/円の底値が少し切り上がってきている気がしますので、109円台前半はしっかり買っておきたいところです。
(出所:TradingView)
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