■弱い米雇用統計は、失業保険給付の上乗せが影響か
先週(5月31日~)、1日(火)に発表された米国のISM製造業景況指数が、61.2と良い数字が出たことや、3日(木)に発表された非製造業景況指数も良かったこと、そしてカプラン米ダラス連銀総裁が「テーパリング(※)の協議開始は遅いよりは早い方が良い」など、4日(金)の米雇用統計前まで早期のテーパリング期待が高まり、米ドル高に推移していました。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
さらに、ADP雇用統計が97.8万人と、かなり良い数字が出たことで、米雇用統計への期待も高まっていました。
しかし、4日に発表された米雇用統計では、非農業部門雇用者は55.9万人増(予想値65万人増)と、良いとはいえない数字が出たことで、テーパリング観測が後退し、米長期金利は1.55%台まで下がり、米ドル安へ推移しました。
(出所:IG証券)
先月(5月)は、予想が100万人増に対して、26.6万人増(今回27.8万人増に上方修正されています)と連続して予想値よりも悪い数字が出ています。
これは、新型コロナウイルス対策として、失業保険の給付額が上乗せされているため、その影響が出ているとされています。
この手厚い給付は9月で終わるため、今はまだ米雇用統計は悪いですが、その反動がこれから出てくることが期待されています。
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■今週はECB理事会、米CPIの結果に注目
今週(6月7日~)は、10日(木)にECB(欧州中央銀行)理事会があります。
今回のECB理事会では、まだテーパリングは行われないというのが市場のコンセンサスとなっていることもあり、ユーロはあまり動きが無いと思いますが、ラガルド総裁のハト派発言でやや弱くなる場面もあるように思います。
同日には、米国のCPI(消費者物価指数)の発表もあります。
予想値は4.7%上昇とかなり高い数字が出ていますが、前回PCEコアデフレーターが良い数字が出ても米長期金利の上昇が続かなかったこともあり、今回良い数字が出ても米ドル高は限定的ではないかと思います。
反対に弱い数字が出たときは、米長期金利が下がる可能性があり、その影響で米ドル安になる可能性もあります。
(出所:IG証券)
■ユーロ/米ドルは、日足では再度もみ合いの中に
為替市場は主要な通貨ペアは1カ月以上横ばいが続いており、方向性のない状態が続いています。
ユーロ/米ドルも米雇用統計直前に直近レンジを下抜け、1.2103ドルまで下がりましたが、米雇用統計の結果を受けて、再度もみ合いの中に戻ってきています。
(出所:IG証券)
短期的には動きが無く、方向性がないため、予想しようがないですが、長期に関しては米ドル安になるのではないか、という考えです。
日足ではまだ横ばいのため、上昇トレンドに戻るような雰囲気はないですが、ただ1時間足などの短い時間軸では1.2103ドルで底をつけた形となっており、このまま上がり始める可能性も出てきています。
(出所:IG証券)
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■ユーロ/米ドルは、超長期下降トレンドラインを上抜け
今週(6月7日~)はECB理事会があり、来週(6月14日~)には、FOMC(米連邦公開市場委員会)が控えるため、その内容によってユーロ/米ドルの動きが変わることになりますが、2008年からの超長期の下降トレンドラインは超えており、米国の財政赤字は米ドル売りの材料にもなるため、長期では上昇するのではないかと思います。
(出所:IG証券)
短期的な横ばいから下に抜けるようであれば、1.2000ドル±50pipsのサポートゾーンまで下がる可能性がありますが、そこでは止まるのではないかと思います。
短期的には横ばいが続いており、方向性が無いですが、長期に関してはユーロ/米ドルなどで米ドル安になる可能性があるのではないかと考えています。
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