■ファンドは様子見。ニュージーランドドルは急騰も持続せず
5月26日(水)にRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])がありましたが、声明文では追加利下げへの文言が削除されており、来年(2022年)9月までに利上げの可能性も示唆されました。
さらに、2023年末までに5回の利上げの可能性も出てきました。
これを受けてニュージーランドドルが上昇し、ニュージーランドドル/米ドルは0.7315ドルまで上昇しました。
(出所:TradingView)
5月27日(木)には、英国のMPC(金融政策委員会)のブリハ委員が、労働市場が回復すれば、来年(2022年)に利上げの可能性があると発言したことで英ポンドが急騰
英ポンド/円はそれまで小動きが続いていたことも影響して、156.07円まで上昇しました。
(出所:TradingView)
各国の金融緩和政策は徐々に出口に向かっていることになります。
市場の注目テーマでもあるため、それに反応して為替相場は動きますが、ただファンドなどは現在、様子見しているところが多いようで、材料が出ればその日は動くものの、動意は乏しく、ニュージーランドドルも英ポンドも上昇が続かない状態です。
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■6月はECB理事会とFOMCのテーパリング議論に注目
先週(5月24日~)の動きは、月末フローなど実需の動きがメインとなっています。
そのため、そのフローが終わると、動きも止まります。
今月(6月)は、ECB(欧州中央銀行)理事会とFOMC(米連邦公開市場委員会)があり、テーパリング(※)の議論を始めるのではないかとの予想もあるため、共に注目されるイベントになっています。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
【参考記事】
●米ドル/円は買い材料あっても上昇続かず。今は、6月の欧米イベント待ちの局面か(5月25日、バカラ村)
6月10日(木)のECB理事会に関しては、ユーロ圏の要人からは早期のテーパリングを否定する発言が続いていることもあり、今月(6月)は現状維持のままだと思います。
ただ、16日(水)のFOMCに関しては、タカ派な市場予想ではテーパリングの議論のスタートを示唆するのではないかとされています。
今回なかったとしても、8月や9月にテーパリングの議論をスタートさせる、との予想が多数を占めます。
これによって米ドル高期待もありますが、議論のスタートが前後したとしても、実際にテーパリングを開始するのは来年(2022年)初旬予想が多数となっており、これは規定路線となりつつあるため、米ドル高への推移もあまり期待できないのではないかと思います。
米長期金利も、先週(5月24日~)木曜日に、バイデン米大統領の2022年度の予算教書で6兆ドルの歳出を求めるとの報道がありましたが、1.62%台までしか上昇せず。
(出所:TradingView)
5月28日(金)に発表されたPCEコアデフレーターが3.1%と、1992年7月以来の高水準となっても、1.61%台で上げ止まり、そこからは1.57%台まで下がりました。
米長期金利が上昇すれば、米ドル/円も上昇すると思いますが、先週(5月24日~)は月末要因で米ドル/円は上昇したものの、材料が出ても米長期金利が上昇しないため、米ドル/円の上昇もまだ期待できないのではないかと思います。
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■利上げ可能性から、ニュージーランドドルは長期的に買い
ニュージーランドドルは、来年(2022年)から利上げの可能性があることから、長期では買い方向の通貨になると思います。
(出所:TradingView)
短期的には動意に乏しいタイミングで、さらにニュージーランドの要人からは通貨高けん制発言が出ているため上昇していませんが、長期目線では利上げをすることからニュージーランドドル高になりやすいと思います。
ニュージーランドドル/米ドルは週足では、2016~2018年にかけて0.74~0.75ドル台で何度も上値を止められています。
安値は0.6800ドルがサポートになりますが、それよりも浅い0.6942ドルで下げ止まっています。
週足では0.69ドル台を下値メドと考えて、0.75ドルへの上昇が期待できるのではないかと考えています。
(出所:TradingView)
米中の通商交渉など、リスク回避となる材料もあるため、それらの材料で下がったところは買ってみてもいいのではないかと考えています。
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