米雇用統計は好結果。ただ、米ドル/円が上昇トレンドになるかは、まだ判断できない
先週(8月2日~)は、FRB(米連邦準備制度理事会)のウォラー理事が「向こう2回の雇用統計で80~100万人増加すれば、10月までにテーパリング(※)を着手する可能性がある」と述べ、9月にもテーパリングの示唆がある可能性を示しました。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
そのため、8月6日(金)の米雇用統計は、市場参加者が注目する内容となっていました
発表された米雇用統計の結果は、非農業部門雇用者数が94.3万人増、前回は93.8万人増に上方修正され、失業率は5.4%、それ以外の指標も改善してきています。
8月4日(水)に発表されたADP雇用統計が33万人増だったこともあり、弱い数字が出るとの予想も一部でありましたが、手厚い失業給付が6月から終了し始めている州もあるため、良い数字が出るとの予想が多くありました
そして結果は良く、来月(9月)の雇用統計も80万人増以上であれば、ウォラー理事の発言からは、早期にテーパリングが示唆されることになります。
米雇用統計を受けて、米長期金利は1.30%台まで上昇しました。
(出所:TradingView)
米ドル/円もここからは下がるようなことはないと思いますが、ただ上昇トレンドになるのかは、まだ判断できないところだと思います。
(出所:TradingView)
今年(2021年)に入ってから、何度も早期のテーパリング観測はありましたが、上昇は続いておらず、米雇用統計前後で短期的な反落をしているパターンもあるため、上昇トレンドになると決めつけるには難しいところです。
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NZ中銀は来週の政策会合で、主要国の中ではもっとも早く利上げをする可能性
8月18日(水)はRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])の政策会合があります。
コロナ禍で各国が利下げを繰り返していましたが、来週(8月16日~)の政策会合で、主要国の中で一番早く利上げをする可能性があります。
年内3回の利上げの可能性があるため、基本的にニュージーランドドルは強い通貨になりやすい状況だと思います。
【参考記事】
●NZ中銀はQE終了示唆で、利上げサイクル入りも。米長期金利が下降トレンド継続なら、米ドル/円は下値拡大の可能性(7月20日、バカラ村)
そのため、ニュージーランドドルは買い方向で考えていいのではないかと思います。
では、それはどの通貨に対してなのか、ということになりますが、メジャーな通貨ペアとしては、ニュージーランドドル/円やニュージーランドドル/米ドルになりますが、米ドル/円は、ここから上昇が続くのかはっきりしないため、円と米ドルは選びにくいところです。
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ニュージーランドドルは、対ユーロで長期的に買いが進むか
それ以外で弱い通貨としては、ユーロではないかと思います。
ユーロ/米ドルは6月に入ってから下降しており、7月21日(水)前後の数日間、1.1750ドル付近で下げ渋る動きが続いていました。
材料としては、ECB(欧州中央銀行)理事会でフォワードガイダンスを変更したりするなど、ユーロ/米ドルを売る材料が多かったですが、1.1750ドルがサポートされ、下げが続かない状態でした。
【参考記事】
●FOMCに注目も、目新しい材料は出ないか。ドル/円は目先横ばい。8月下旬には上昇の可能性(7月27日、バカラ村)
テクニカルからも、高値が切り下がり、安値も切り下がっていましたが、1.17ドル台前半は中長期のサポートゾーンとなり、短期的なレジスタンスを超えたことで1.1908ドルまで上昇しました。
そのため反発局面になったと考えましたが、強い雇用統計を受けて再度1.1740ドルまで下がりました。
1.1750ドルを下抜けたことでチャートの形は弱い状態になっています。
(出所:TradingView)
そのため、ユーロは売り方向で考えていいのではないかと思います。
よって、一般的な通貨ペアではないですが、ユーロ/ニュージーランドドルの方向性は売りでいいのではないかと考えています。
中期的には1.66~1.71ニュージーランドドルのレンジを往来していますが、レンジ上限の1.71ニュージーランドドルは、昨年(2020年)6月~7月のサポート水準で、そこがレジスタンスに変わっている状態です。
そのため長期的に見ると、2018~2019年からサポートされ続けている、1.63ニュージーランドドルまでの下げがあるのではないかと思います。
(出所:TradingView)
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