■“今になって”各論者がいろいろ述べているが…
前回のコラムで、円全体のパフォーマンスについて、円高トレンドに復帰する可能性が高いと指摘したが、予想よりも早いスピードで実現されているようだ(「足元の豪ドル高、加ドル高は『危険領域』!円全体が円高トレンドへ復帰する可能性も」を参照)。
それでは、米国株と米ドルの行方については、これからどのように見ればよいだろうか?
今朝の新聞や有力サイトに、米国の金融規制案に関する「識者はこうみる」的なコメントがあふれているが、これらを読んでいると、各論者がそれぞれの論調を展開しているため、読めば読むほど頭が混乱しそうになる。
「ユーロ安」の解釈にはギリシャ問題、「米国株安」の解釈には米国の金融規制案が持ち出され、“今になって”うまく説明されているが、筆者からすると、「今になって」ではなく「今さら」という気持ちだ。
なにしろ、ユーロ安・米ドル高の可能性は昨年10~11月からずっと指摘してきているし、長期スパンでは、米国株についてのかなり悲観的な見方を、昨年夏のセミナーからずっと述べてきた(「年末に向け、米ドルのリバウンドと英ポンドの「サプライズ」に備えるべき!」を参照)。
■相場を占う上でもっとも重要なポイントとは?
仮に、筆者の見通しが読者の役に立つところがあれば、それは筆者の能力や腕ではなく、相場を占う上でもっとも重要なポイントを押さえていたからだ。
1つは「歴史は繰り返され、相場は自らの内部構造に沿ってサイクル的な変動を繰り返す」という真実を知ること。
もう1つは、「相場は現実よりも先に動き、現実は相場を追って現れ、相場の値動きを証左する」という真実を心得ていることだ。
昨年はまだ、ギリシャ問題が浮上していなかったので、筆者もそれを知るすべはなかった。
だが、相場の内部構図がユーロ安を決めている以上、必ずユーロ・サイドから何らかの問題が発生し、ユーロを押し下げるか、あるいは、米国サイドから何らかの好材料が出て、米ドルを押し上げることになる。
昨日のオバマ政権の金融規制案公表も、まさにその好例である。
米国株の下落が「宿命的」であれば、それはきっかけではなく、せいぜい「促進材料」程度でしかない。
あの「サブプライム問題」が発生する前に、金融業界に在籍した人間の大半が「サブプライム」を知らなかったように、サブプライム問題が金融危機を引き起したのではなく、相場が反落の臨界点に達していたため、「サブプライム問題」が表に出されただけである。
くどい話になっているが、要するに、これからの米ドルの行方を予測するためには、経済指標などの材料や後解釈、我田引水的になりがちな論者の論調に、いちいち惑わされないようにしなければならない。
しっかり、相場の真実に沿ったロジックを構築しなければならないのだ!
■米ドルの上昇スピードがいったん減速する可能性も
結論から申し上げると、相場の内部構造を信じるなら、今年第1四半期は、米ドル全体の上昇が続くだろう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル vs 世界の通貨 日足)
しかし、短期スパンでは、米ドルの上昇スピードがいったん減速する可能性も想定しなければならない。
というのは、足元で「猫も杓子も」ギリシャ問題を語っているため、前日に急浮上した米金融規制案という材料に対して、多くの投資家が新鮮さを感じると思われるからだ。
この新材料の鮮度が落ちてきた時に、米ドル全体の上昇が加速すると推測している。
円に関しては、短期スパンにおいては、引き続き「漁夫の利」の恩恵を受けることになるだろう。
小沢民主党幹事長の問題など、政治不安を材料に「円安」の可能性を論じてきた方々の予想に反して、円サイドの事情は引き続き「蚊帳の外」に置かれ、円はあくまで受動的な値動きを強めるだろう。
しかし、短期スパンでは、米ドルの上昇スピードがいったん減速する可能性も想定しなければならない。
というのは、足元で「猫も杓子も」ギリシャ問題を語っているため、前日に急浮上した米金融規制案という材料に対して、多くの投資家が新鮮さを感じると思われるからだ。
この新材料の鮮度が落ちてきた時に、米ドル全体の上昇が加速すると推測している。
円に関しては、短期スパンにおいては、引き続き「漁夫の利」の恩恵を受けることになるだろう。
小沢民主党幹事長の問題など、政治不安を材料に「円安」の可能性を論じてきた方々の予想に反して、円サイドの事情は引き続き「蚊帳の外」に置かれ、円はあくまで受動的な値動きを強めるだろう。
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