新しい自民党総裁は岸田信雄氏に決定
先程、新しい自民党総裁が決まりました。岸田信雄氏です。
為替市場での注目は、極端な財政金融政策を掲げる高市早苗氏が当選するかどうかがポイントでした。すなわち、「SANAE or Nothing」だったので、このテーマは終わりました。
【参考記事】
●米ドル/円も株価もぶっ飛ぶ!? 自民党総裁選、高市早苗氏の政策はアベノミクスのバージョンアップ。恒大集団問題、影響は限定的か?(9月22日、志摩力男)
久しぶりの宏池会(こうちかい)出身の首相です。実直な人柄でも知られており、株式市場の反応は極めて冷ややかですが、日本を正しい方向に進めてくださるでしょう。
ここで問題です。世界最大のアセットクラスは?
さて、ここで問題です。
以下の各アセットマーケット。どのマーケットがもっとも大きいでしょうか。
(1)米株式市場
(2)米国債市場
(3)米不動産市場
(4)中国不動産市場
(5)日本国債市場
米国株式市場は、先日50兆ドルというすごい時価総額を突破したと話題になりました。今、少しマーケットが下落しているので、50兆ドル(約5500兆円)を少し割るぐらいでしょう。米国債は、今、上限の28兆4000億ドル(約3124兆円)をどうするか、議会で議論が白熱しています。米不動産市場は最近価格が急騰していますが、34兆ドル(約3740兆円)ほどです。
日本の国債は、対GDP比でついに264%にまで達していますが、日本のGDPが560兆円ぐらいとすれば、1500兆円ぐらい。米国の資産市場がすごくて、大した金額に見えなくなっています。
正解は……「中国不動産市場」です。未完成のものも含めますが、60兆ドル(約6600兆円)です。この、米株式市場よりも大きな、世界最大のアセットクラスが今後どうなるのか、これが世界を不安にさせています。
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中国恒大集団問題とリーマン・ショックを比較するのは、本質を取り違えている
中国最大規模の不動産デベロッパー、恒大集団問題で話題となるのは、3000億ドル(約33兆円)と言われる負債総額の大きさです。リーマン・ブラザーズが6100億ドル(約67兆1000億円)規模だったので、リーマンショックの再来になるのではないか、とかいろいろ言われます。
しかし、テレビ等で恒大集団とリーマン・ブラザーズを比べていますが、それは問題の本質を取り違えています。
リーマン・ブラザーズが破綻したのは、彼らが持っていたサブプライムローン等を利用して作った、さまざまな金融商品の価格が下落したからです。業界全体の損失額はわかりませんが、1.5兆ドル規模でしょうか。そして、リーマン・ブラザーズを破綻させたことで、さまざまな金融商品が「強制決済」となり、金融システムが崩壊しました。
写真は2008年に破綻したリーマン・ブラザーズの社屋。テレビ等で恒大集団とリーマン・ブラザーズを比べているが、それは問題の本質を取り違えているという (C) Spencer Platt/Getty Images News.
つまり重要なのは、リーマン・ブラザーズの負債の大きさではなく、下落した金融商品の損失額なのです。
今回、恒大集団が破綻したとしても、銀行ローンはそのうち1000億ドル程で、担保でカバーされているものも多く、中国の金融システムには何の問題もない……と言われています。
習近平政権は、過剰債務を適正化し中国経済減速に向けて準備
しかし、問題があるのは、恒大集団だけではありません。同じような会社が何社もあります。恒大集団が苦しい、もしくは破綻するような状況であれば、他の会社も資金繰りが苦しいはずです。
中国の不動産市場では、できるだけ借金して規模を拡大した会社が勝ってきました。大手ほど負債比率が大きい。それを是正しようとしているのが習近平政権です。
昨年(2020年)、3つのレッドラインを設定し、過剰債務に陥らないように業界を指導しましたが、言うことを聞かない業者が多く、不動産価格の上昇が続きました。業を煮やした当局は、恒大集団の創業者である許家印氏を北京に呼びつけ叱責したところから、今回の問題が始まりました。
すなわち、今後、中国不動産市場が下落する可能性が高い。世界最大の資産市場が下落する時、その影響は小さくないはずです。
リーマン・ショックの時は、サブプライムローン商品の価格下落が危機の引き金でしたが、今回は、世界最大である中国不動産市場の価格下落が引き金になります。中国経済は減速します。世界経済の牽引役だった中国経済が減速する時、他のマーケットも当然影響を受けます。
習近平政権は「共同富裕」を掲げ、IT企業を締め付け、思想統制し、仮想通貨を全面的に禁止したりしてきましたが、一連の動きはすべて、過剰債務を適正化し、中国経済減速に向けた準備だったといえます。
【参考記事】
●中国当局が社会主義的な締付けを強化。中国株・香港株は急落するも、2015年チャイナショックとの大きな違いとは……!?(7月28日、志摩力男)
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米中の巨大マーケットで資金回収が始まる。これから先は、簡単なマーケットではなくなるはず
一方の米国でも、早めのテーパリング(※)が始まります。今年(2021年)11月スタート、来年(2022年)6月辺りで終わりというのは、当コラムでも指摘していたことで、違和感はないですが、パウエルFRB議長はきっとゆっくりとしたテーパリングをするはず、利上げはもっともっと先と期待してた一部の金融関係者の期待を裏切っているとは思います。
(※「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
【参考記事】
●米ドル/円も株価もぶっ飛ぶ!? 自民党総裁選、高市早苗氏の政策はアベノミクスのバージョンアップ。恒大集団問題、影響は限定的か?(9月22日、志摩力男)
その引き締めペースの速さに驚いて、ついに米国債市場は金利上昇を開始し、そのショックでナスダック市場は揺れました。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
しかし、これはすでに既定路線なので、(株は下がるとは言いませんが)これまでとは同じようにはならないでしょう。ウォーレン上院議員は、このままだとリーマンショックの再来が起こる、パウエル議長は仕事をしていないと叱責していました。
カプラン・ダラス連銀総裁等が、自己アカウントで株の売買をして(ガイドラインに沿っているとはいえ)、利益を上げていたことが明らかになっています。
FRB(米連邦準備制度理事会)には厳しい目が向けられています。マーケットに甘い時代は終わったでしょう。
米中の巨大マーケットで資金の回収が始まりました。これから先は、簡単なマーケットではなくなるはずです。
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