もし「ドルキャリートレード」が流行すれば、豪ドルや加ドルといった高金利通貨がもっとも恩恵を受け、その次に、ユーロや英ポンドなど構造的問題を抱える通貨に恩恵があると思われる。
半面、円はもっとも恩恵を受けにくい通貨となるだろう。理屈は簡単で、円は米ドル以上に「実質ゼロ金利」の通貨だからだ。
この前提をもとにして推測すれば、「ドルキャリートレード」の流行は、米ドル/円にとってはむしろプラス(上昇圧力)である。
その理由は次のとおりだ。
豪ドル/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足)
たとえば、豪ドル/米ドルの上昇スピードが速ければ速いほど、豪ドル/円においても上昇傾向がもたらされる。そして、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)相場で円安圧力がかかれば、それが米ドル/円にも波及して、結果、米ドル/円は連れ高するということだ。
■7月分の米国雇用統計は懸念されるほど悪くない!?
それでは、中長期スパンの話ではなく、短期スパンではどうなるかを考えてみよう。
「ファンダメンタルズはいつも、トレンドの後を追って展開するもの」という「私流」の考え方に沿ったロジックをもとにすれば、筆者は、日本時間今夜に発表となる米国の雇用統計が、多くの市場関係者が懸念しているほど悪くないのではないかと思っている。
なぜなら、米ドル安のスピードが速すぎて、そろそろ一服してもおかしくない段階に来ているためだ。ファンダメンタルズの何らかの材料が、そろそろ出てきても不思議はない。
この意味で、米ドル/円の下げ余地には限度があると思う。
米国雇用統計の結果が悪ければ、昨年11月安値の84円台後半を割り込んでもおかしくはない。だが、1995年安値の79円台に迫るほどの円高のモメンタムはないだろう。
テクニカル・アナリシスの視点では、このコラムでもたびたび指摘してきたように、2005年1月安値を起点とした「5年サイクル」が昨年11月安値で完了したのかどうかが焦点になる(「5年サイクルで見て今は円安トレンド。人民元弾力化による円高進行は続かない」を参照)。
仮に、昨年11月安値で完了せず、今年に延長されたとしても、日柄的にはそろそろ底を迎えてもおかしくはない。
■「リスク・リバーサル」で米ドル/円相場を見ると…
その上、前回のコラムで書いたように、オプション売買絡みで見る指標の1つも米ドル/円の底打ちを示唆している。その指標は「リスク・リバーサル」だ。
オプションは、プロの市場参加者を中心に取引される金融商品であるだけに、通貨オプション市場における「リスク・リバーサル指数」は彼らの思惑を反映するものとされている。
「リスク・リバーサル指数」は為替レートと同じく日々変化するから、その高安は、プロの市場参加者がこの通貨がどちらに動く可能性が高いと見ているかを見る目安となる。
具体的な説明は省くが、要するに「リスク・リバーサル指数」と「スポットレート」のカイ離に注目すれば、良い取引チャンスがつかめるのだ。
「スポットレート」と「リスク・リバーサル指数」のカイ離が大きければ大きいほど、スポットレートがこれから、リスク・リバーサル指標の方向に歩み寄る可能性が高いということだ。
■米ドル/円もこのあたりで反発上昇か?
筆者の手持ちのツールに「スポットレート」と「リスク・リバーサル指数」を表示するチャートがないため、ここでお見せできないのは残念だ。
だが、ここでは、6月以降、ユーロ/米ドルの「リスク・リバーサル指数」と「スポットレート」のカイ離の拡大に注目し、ユーロの「コールポジション(※)」に食指を伸ばしたことをご紹介しておく。
(編集部注:「コール」は買う権利のことで、「プット」が売る権利のこと)
たとえば、豪ドル/米ドルの上昇スピードが速ければ速いほど、豪ドル/円においても上昇傾向がもたらされる。そして、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)相場で円安圧力がかかれば、それが米ドル/円にも波及して、結果、米ドル/円は連れ高するということだ。
■7月分の米国雇用統計は懸念されるほど悪くない!?
それでは、中長期スパンの話ではなく、短期スパンではどうなるかを考えてみよう。
「ファンダメンタルズはいつも、トレンドの後を追って展開するもの」という「私流」の考え方に沿ったロジックをもとにすれば、筆者は、日本時間今夜に発表となる米国の雇用統計が、多くの市場関係者が懸念しているほど悪くないのではないかと思っている。
なぜなら、米ドル安のスピードが速すぎて、そろそろ一服してもおかしくない段階に来ているためだ。ファンダメンタルズの何らかの材料が、そろそろ出てきても不思議はない。
この意味で、米ドル/円の下げ余地には限度があると思う。
米国雇用統計の結果が悪ければ、昨年11月安値の84円台後半を割り込んでもおかしくはない。だが、1995年安値の79円台に迫るほどの円高のモメンタムはないだろう。
テクニカル・アナリシスの視点では、このコラムでもたびたび指摘してきたように、2005年1月安値を起点とした「5年サイクル」が昨年11月安値で完了したのかどうかが焦点になる(「5年サイクルで見て今は円安トレンド。人民元弾力化による円高進行は続かない」を参照)。
仮に、昨年11月安値で完了せず、今年に延長されたとしても、日柄的にはそろそろ底を迎えてもおかしくはない。
■「リスク・リバーサル」で米ドル/円相場を見ると…
その上、前回のコラムで書いたように、オプション売買絡みで見る指標の1つも米ドル/円の底打ちを示唆している。その指標は「リスク・リバーサル」だ。
オプションは、プロの市場参加者を中心に取引される金融商品であるだけに、通貨オプション市場における「リスク・リバーサル指数」は彼らの思惑を反映するものとされている。
「リスク・リバーサル指数」は為替レートと同じく日々変化するから、その高安は、プロの市場参加者がこの通貨がどちらに動く可能性が高いと見ているかを見る目安となる。
具体的な説明は省くが、要するに「リスク・リバーサル指数」と「スポットレート」のカイ離に注目すれば、良い取引チャンスがつかめるのだ。
「スポットレート」と「リスク・リバーサル指数」のカイ離が大きければ大きいほど、スポットレートがこれから、リスク・リバーサル指標の方向に歩み寄る可能性が高いということだ。
■米ドル/円もこのあたりで反発上昇か?
筆者の手持ちのツールに「スポットレート」と「リスク・リバーサル指数」を表示するチャートがないため、ここでお見せできないのは残念だ。
だが、ここでは、6月以降、ユーロ/米ドルの「リスク・リバーサル指数」と「スポットレート」のカイ離の拡大に注目し、ユーロの「コールポジション(※)」に食指を伸ばしたことをご紹介しておく。
(編集部注:「コール」は買う権利のことで、「プット」が売る権利のこと)
ユーロ/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
その後、ユーロが大幅に切り返したために、そのカイ離はかなり解消された。
ところが解消されていない通貨もあって、その代表が米ドル/円である。
6月以降のユーロ/米ドルほどではないが、米ドル/円におけるカイ離は一貫して保たれてきただけに、そろそろ修正されてもよいだろうと見ている。
もちろん、米ドル/円のレートは、下がるよりも上がるほうが確率的には高い。
何? 君は円のプットオプションを買ったかって? それはご想像におまかせ!
(2010年8月6日 13時20分記述)
その後、ユーロが大幅に切り返したために、そのカイ離はかなり解消された。
ところが解消されていない通貨もあって、その代表が米ドル/円である。
6月以降のユーロ/米ドルほどではないが、米ドル/円におけるカイ離は一貫して保たれてきただけに、そろそろ修正されてもよいだろうと見ている。
もちろん、米ドル/円のレートは、下がるよりも上がるほうが確率的には高い。
何? 君は円のプットオプションを買ったかって? それはご想像におまかせ!
(2010年8月6日 13時20分記述)
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