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志摩力男_グローバルFXトレード
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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

米ドルの本格的な上昇は難しそうだが、
リスク選好の資源国通貨買いも正しくない!?

2010年04月16日(金)16:48公開 (2010年04月16日(金)16:48更新)
陳満咲杜

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 足元の為替市場はこう着状態になりつつある。

 ユーロサイドのソブリンリスク(国家の信用リスク)、英ポンドサイドの政局混迷が懸念されていることに加えて、豪ドルや円に対するインパクトが大きい人民元の切り上げの可能性についてウワサや各種観測も飛び交い、相場全体がトレンドレスの様相となっている

■強い米国の経済指標発表が続くものの、米ドルは…

 米ドルサイドでは、最近発表された経済データは総じて強いもので、それらは米国の景気回復を印象づける内容となっている

 それに加え、バーナンキ議長も含めて、>FRB(連邦準備制度理事会)はなおハト派スタンスを堅持する意向が強いと見られており、米国株式市場はその恩恵を一手に受けている。

 4月15日(木)、ダウ指数は一時11153.8ドルまで上昇し、取引時間中の年初来高値を更新して、2008年9月下旬以来の高値にタッチした。

 一方、ドルインデックスは一時、80.03レベルまで反落した。週明けからは、問題山積で崩壊の恐れすらささやかれるユーロに対しても、軟調に推移している。

 米ドルは、対ユーロで4月15日(木)に大きく切り返したものの、現執筆時点、1.3500ドル以下に押し戻せずにいる。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足

 これは、米国のファンダメンタルズが改善しているにも関わらず、それが米ドルに波及していないことの表われであり、米ドルの本格的な上昇は難しいと見るべきだ

米ドル全体の強さは、米ドル自身の力ではなく、ユーロや英ポンドといった通貨の弱さに依存しているにすぎない

■リスク選好のドル売り/資源国通貨買いは正しくないかも

 実際、昨年11月の安値を起点として、ドルインデックスは大幅に切り返しているにも関らず、加ドル、豪ドルなどの資源国通貨に対しては、米ドルの軟調な動きは続いている。

 特に、対加ドルでは再びパリティ(1.0000)を割り込み、4月14日(水)には0.9953ドルまで「米ドル安・加ドル高」が進んで、2008年7月下旬以来の安値をつけていた。
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(出所:米国FXCM)

 もっとも、米国サイドの景気回復感からリスク選好度が向上したことで、資源国通貨や高金利通貨に対する投資意欲が刺激され、リスクテークをして米ドル売り/資源国通貨買いとなることは、必ずしも正しいとは思えない側面がある
■ドルインデックスはこのあたりで頭打ちとなるか!

 このコラムでも指摘してきたように、本質的には、ギリシャ問題が「鏡」であれば、そこに映されたのは英国や米国の将来像であって、米ドル売りはリスクテークではなく、リスクそのものを敬遠する流れとしてとらえるべきであろう「ガイトナー財務長官の発言は信用できず! 米国は「AAA」の格付けを失う可能性も…」を参照)

 ユーロにしても、英ポンドにしても、あまりにも悪材料であふれ過ぎたため、リスク回避先として、加ドルや豪ドルといった通貨が選ばれたと思われる。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/加ドル 日足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/豪ドル 日足

 従って、この先は、米ドル/加ドルが底打ちしてドルインデックスの方向に追随してくるというよりも、ドルインデックスが米ドル/加ドルの方向に追随してくる可能性が高い

 つまり、ドルインデックスはこのあたりで頭打ちとなるか、上昇が続くとしても上値余地が限られ、いずれ反落してくる可能性が高いと筆者は見ている。

 米ドル/加ドルがドルインデックスをリードして下落し、その後、ドルインデックスが追随してくるといった局面は、2005年11月後半のケースが典型だ。その間の両者のかい離とそれが解消する流れは、今回も再現されるだろう。

■ドルインデックスが米ドル/加ドルに追随してくる

 では、その時期はいつになるか?

 筆者は、5月あたりがもっとも有力だと見ている。

 過去のケースを振り返ると、米ドル/加ドルが2007年11月6日に底打ちした後、5カ月間のタイムラグをおいて、ドルインデックスが2008年3月7日に安値をつけたことがあった。

 このことを考慮すると、今回の局面では同じタイムラグで、逆のパターンを示すのではないかと思っている。

 つまり、2009年11月24日に底打ちしたドルインデックスが5カ月間のタイムラグをおいて頭打ちとなり、米ドル/加ドルの方向に追随してくるということだ。

 ただし、それは米ドル/カナダドルが底打ちして上昇に転じるといった意味ではなく、あくまで、かい離の状況が解消に向かうということになるだろう。

 当然のように、米ドル/加ドルはこれからモメンタムが低下するものの、ベア(弱気)トレンドが続く可能性は高い。米ドル/加ドルの本格的な底打ちは2012年以降となるだろう

 ドルインデックスの反落は、ユーロの安定なしでは成り立たない。ドイツの経済学者が「ギリシャを支援すれば、ドイツ政府を憲法裁判所に提訴する」といった話が連日にわたって新聞紙面を飾る現時点で、その信ぴょう性が低いことは承知している。

 実際、欧米の有力銀行をはじめ、機関投資家は相次いで米ドルのターゲットを引き上げている。

 だが、相場と16年間つき合ってきた筆者から見れば、このような時期こそ冷静に相場の本流を見極めるべきだ。そのあたりの話はまた次回!
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