トルコ2021年第4四半期GDPは前年同期比プラス9.1%。国内消費と輸出の伸びが貢献
TUIK(トルコ統計局)が発表した2021年10-12月期のGDP成長率は前年同期比でプラス9.1%、前期比でプラス1.5%となりました。これを受けて、トルコの2021年全体におけるGDP成長率はプラス11%となりました。
トルコGDP、21年は前年比11%増 第4四半期は9.1%増=統計庁
出所:ロイター
おおむね市場予想通りの結果ですが、経済成長にもっとも貢献した項目は国内消費と輸出の伸びでした。一方で輸入と設備投資の伸びが弱かったです。
(出所:TUIK)
2021年の国民1人当たりGDPは8万5672リラで、米ドル建てでは9539ドルと発表されています。2020年の1人当たりGDPは8599ドルでしたので、2021年は米ドルベースでも大きく改善したことになります
トルコ消費者信頼感指数は過去最低。ウクライナ情勢悪化がトルコの消費者マインドに悪影響
以前から当コラムでトルコの製造業の堅調ぶりを伝えていますが、2021年の輸出総額は前年比で24.9%増となったのに対して、輸入がプラス2%しか伸びませんでした。
【参考記事】
●【トルコリラ見通し】1月20日のトルコ中銀の政策会合、金利据え置き予想が大多数だが、100bp(1%)の利下げが行われても驚きはない(1月19日、エミン・ユルマズ)
これは経常赤字の縮小にも貢献しました。国内消費の伸びも年間でプラス15.1%と悪くないものの、足元では物価の上昇を受け、勢いを失っています。
ブルームバーグHTが現地から発表している消費者信頼感指数ですが、2月は前月比で14.86%下落し、45.32となりました。この指標の歴史でもっとも低い水準です。エネルギー価格の上昇に加え、ウクライナ情勢の悪化が、トルコの消費者マインドを大きく悪化させています。
ウクライナ危機がトルコとNATOの接近のきっかけに。米国とEUとの関係改善はトルコ経済の安定化につながると予想
今週(2月28日~)のトルコリラですが、米ドル/トルコリラは14.00リラ前後、トルコリラ/円は8.20~8.40円のレンジで動いています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
トルコ中銀のデータによると、2月18日週でトルコ人の外貨預金が70億ドル減って2160億ドルになりました。法人の米ドル売りが大きいようですが、米ドル売り・トルコリラ買いがトルコリラ下落のバッファーとなって通貨を安定させる役割を果たしています。
(出所:TradingView)
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、トルコの地政学リスクも高まっていますが、一方でこの危機がトルコとNATO(北大西洋条約機構)の接近のきっかけになる可能性も大きいと考えます。
一時、NATO加
【参考記事】
●【トルコリラ見通し】ウクライナ危機の長期化は、トルコ経済にも悪影響。平和的かつ短期的な解決が、もっとも望ましいシナリオ(2月16日、エミン・ユルマズ)
米国やEU(欧州連合)との関係改善はトルコの輸出産業をさらに強化し、トルコ経済の安定化につながると予想しています。一方で、長期に渡る原油高が発生した場合、トルコ経済への打撃は大きく、インフレを抑制するのはエルドアン政権にとってますます難しくなっていきます。インフレのさらなる高まりで政権交代が確実となるでしょう。
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