米ドル/円はレンジの中に入り込み、トレーダー泣かせの相場に
先週のコラムで、米ドル/円はレンジに入っていく可能性が高いとのお話をしました。
【参考記事】
●米ドル/円の128円台後半は絶好の買い場、129円台前半から買い下がりたい。ただし、さらなる円安には新しい材料が必要か(5月12日、今井雅人)
その後の1週間を見ると、やはり、レンジの中に入り込み、方向感がなくなってしまっています。
上がったと思えば、すぐ反落し、また上がる。こんなことの繰り返しでまさに猫の目相場となっています。なかなかトレーダー泣かせの相場展開です。
(出所:TradingView)
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ここ数日の米ドル/円はマイナー指標に敏感に反応。方向感のなさを痛感
ここ数日でも、非常に象徴的な出来事がありました。
5月16日の月曜日、NY連銀製造業景況指数というものが発表されたのですが、この結果が悪かったということで米ドル/円が急落する展開がありました。
【為替ニュース】【速報】ドル・円129.40−45円、ドル軟化、米5月NY連銀製造業景気指数が予想外のマイナス
— ザイFX! (@ZAiFX) May 16, 2022
ドル・円129.40−45円、ドル軟化、米5月NY連銀製造業景気指数が予想外のマイナス #zaifx #fxhttps://t.co/yTDPduMpil
こんな指標、聞いたこともないという方も多いのではないかと思いますが、その程度の位置付けの指標にも関わらず、市場はかなり反応しました。これまでにはなかったことです。
翌日の5月17日(火)は、米国の小売売上高と鉱工業生産の結果が予想より良かったということで、米ドル/円が129円台後半まで上昇したのですが、その後に発表された米NAHB住宅市場指数の結果が悪かったということで、反落しています。これもほとんどの方が馴染みのない指標が混じっています。
米国の経済指標といえば、最近ではせいぜい、雇用統計と、消費者物価指数程度しか大きな注目は集まっていません。
しかし、ここ数日は、マイナー指標に敏感に反応して上下動を繰り返しています。
このような動きを見ていると、本当に方向感がなくなってしまっているのだなと痛感します。
米ドル/円の方向感がなくなってしまったのは、決め手がないから。日銀は現状維持で、さらに円を売る材料として弱すぎる
では何故、こんな動きとなってしまっているか?それは決め手がないからです。
日本の金融政策ですが、少なくとも年内に何か変更がある可能性は極めて低くなっています。
言ってみれば、これは現状維持です。特段それ以上のものがあったわけではありません。
これでは、さらに円を売っていく材料としては弱すぎます。
米国の利上げペースを市場は完全に織り込んでいる。これ以上の利上げの加速がない限り、米ドルを買うのは難しい
一方の米国ですが、こちらも先が見えてきました。
5月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.5%の利上げが実施されました。
そして、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、6月と7月も0.5%利上げの可能性を示唆し、現在の中立金利は2%-3%としています。
現在の政策金利は0.75-1.00%です。6月、7月と0.5%ずつの利上げを実施したとすると、1.75%-2%となり、中立金利の下限に近づきます。
つまり、その後年内はせいぜい1%程度ということになります。
そして、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)に上場しているFFレート(※)の先物を見ると、ここまでを市場はすでに完全に織り込んでいます。
(※編集部注:「FFレート」とは、フェデラルファンド金利のことで、FF金利とも呼ばれる。米国の政策金利)
と言うことは、これ以上の利上げの加速がない限り、市場はこれを材料に米ドルを買うのは難しいということになります。
これが、米ドル/円がレンジに入ってしまっている原因です。
そうなると、このレンジを抜け出すには、やはり何か新しい材料が必要になってくるではないでしょうか?
私自身は、まだ円安になる余地があると思っていますが、それにはやや時間がかかるのではないかと予想しています。
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相場の流れに合わせて、トレード戦略を変えていく必要。様子を見るか、金額を絞るなどの工夫をしたい
さて、その上で少しトレード手法についてお話しします。
相場が一方向に進む、つまりトレンドが出ているときは、流れに乗って、どんどんポジションを積み増していくと利益が最大化されていきます。
タートルズでいうピラミッディングという手法で、私もよく使います。
【参考記事】
●忙しい人にこそオススメ!マネしやすい!今井流FXトレードの肝は「トレンド探し」。為替ディーラー今井雅人の原点はシカゴにあった!(2022年4月12日)
●タートルズ流の「ユニット」を使えば、リスク管理はめちゃくちゃ簡単になる!(2014年3月7日)
●使うのは「2つの数字」だけ! ”タートルズ流”資金管理&リスク管理術(2014年2月25日)
ところが、その後、レンジ相場に入ると、このやり方をすると大損することになりかねません。上を買って下でロスカット、また上を買って下でロスカットを繰り返してしまうリスクがあるからです。
それを防ぐために、相場の流れに合わせて、トレード戦略を変えていく必要があります。
しかし、これは言うは易しで、実際にこうしてアジャストするには、かなりの精神力が必要になります。
それが出来ない場合は、こういう相場は様子を見るか、金額を絞ることです。
それぞれ、自分なりに工夫してみてください。
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