ユーロ/米ドルは引き続き堅調。1.1000ドルへ向けて底堅く推移することを想定
みなさん、こんにちは。
以前のコラムでもご紹介させていただいたように、ユーロ/米ドルは引き続き堅調。一時1.07ドル台を回復しました。
(出所:TradingView)
前回のコラムでは、ビルロワドガロー仏中銀総裁の「ユーロ安は脅威」といったコメントがきっかけで、ユーロ/米ドルが反発に転じたことをご紹介させていただきました。
【参考記事】
●ユーロ/米ドルの反発に警戒! 当局者が「ユーロ安は驚異」と指摘。金利先物市場では、ECBの年4回の利上げを織り込む動き(5月19日、西原宏一)
そして今週(5月23日~)は、23日(月)にECB(欧州中央銀行)のラガルド総裁が、政策金利を7月に引き上げる可能性を表明、加えて9月末までにマイナス金利から脱却する公算が大きいとの見通しも明らかにしたことで、ユーロ/米ドルが続伸しています。
金利先物市場をチェックすると、7月、9月、10月に0.25%の利上げがあることを織り込みつつあり、確かに9月までにマイナス金利からの脱却を示しています。
ただラガルド総裁は、ECBの一部当局者が望むほどタカ派ではないため、ユーロ/米ドルが暴騰するわけでもありませんが、下値が徐々に限定的となり、一時1.0749ドルまで反発しています。
ECBが少しずつタカ派スタンスに移行するにつれ、ユーロ/米ドルは引き続き1.1000ドル台に向け、底堅く推移すると想定しています。
(出所:TradingView)
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米10年債利回りは3.20%台を超えられず反落。米国株の下落によるリスクオフ相場がきっかけに
ユーロ/米ドルで米ドル安が進む中、米ドル/円でも米ドル安が進行。
米ドル/円の下落要因は、なんといっても相関性の高い米金利の低下。
米10年債利回りが一時2.7059%に下落したことに呼応して、米ドル/円も126.36円まで急落しています。
(出所:TradingView)
ここで、米金利の重要なレベルを探るために米10年債利回りの週足チャートを見てみましょう。
(出所:TradingView)
米10年債利回りは、2018年10月18日(木)に3.2594%まで上昇した後、コロナショックの2020年3月9日(水)に0.3137%と、ほぼゼロ金利まで急落しています。
その後、反発したわけですが、今回も3.20%台という節目は一気に超えられず、反落した展開です。
この米金利の急低下は、今月(5月)米国株が大きく値を崩したことにより、リスクオフ相場になったことがきっかけです。
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米ドル/円は調整局面入りも、中期では買い場を提供することになる
今回の米国株の下落はすさまじく、NYダウは8週連続で下落しています。
(出所:TradingView)
こんなに長期に渡って続落するのは記憶にないため、チェックしてみたところ、1932年の世界大恐慌以来であり、過去最長だそうです。
S&P500指数とナスダック総合指数も7週連続で下落しています。これはドットコム・バブルがはじけた2001年以来最長だそうです。
米国の利上げが本格化するのはこれからなので、神経質に乱高下を繰り返しながら米国株の下落は続きそうです。
よって、米10年債利回りも下げ止まらず、米ドル/円も下値模索を続ける展開となりそうです。
(出所:TradingView)
しかし、これからFRB(米連邦準備制度理事会)による利上げが本格化するのは変わらず、本稿執筆時点の金利先物市場によれば、来年(2023年)2月にはFF金利(※)が3.00%に向けて上昇することを織り込みつつあります。
(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)
よって、米国株が続落しても、米10年債利回りは2.20~2.50%前後で下げ止まるのではないかと想定しています。
結果、短期的には米金利低下に追随し、米ドル/円の下値模索は続きます。
しかし、この米ドル/円の下落局面は、中長期では米ドル/円の買い場を提供することになるのではないかと想定しています。
(出所:TradingView)
ECBがタカ派スタンスに移行するにつれ、ユーロ/米ドルの上昇トレンドは変わらず。
短期的な米ドル/円の急落リスクに留意するも、中期では米ドル/円の買い場としてポートフォリオの構築を想定したいところです。
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