RBA会合、ECB理事会、米CPIとイベントが続く
今週(6月6日~)は明日、6月7日(火)にRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])会合、6月9日(木)にECB(欧州中央銀行)理事会、6月10日(金)に米CPI(消費者物価指数)と続きます。
急速にタカ派転換してきたRBAは今回、0.4%の利上げがコンセンサス。
ノーマルな相場なら買ってもいいところですが、いずれ株価下落が再開すると見ているため、手を出しにくいですね。
来週、6月15日(水)にはFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され、0.5%の利上げ予定。
米利上げで株価がグラッとくると、リスク通貨の豪ドルも一緒に下がる可能性がありますね。
ナスダック総合指数は今年(2022年)、23%ほど下がっているのですが、豪ドルは下がっていません。
以前ほどリスクオフで売られる通貨ではなくなっているのですが、東京時間に日経平均が下がると豪ドルが下がったり、たまにリスクオフ通貨としての顔をちらつかせる。
「今月(6月)、来月(7月)にでも株価が大きく下がる」との相場観があると、豪ドルは買いにくいですね。
米国から欧州への天然ガス輸出は2倍に
木曜日(6月9日)のECB理事会はいかがですか?
今回は金利据え置き、来月(7月)、再来月(8月)と0.25%ずつ利上げし、年末にもう1回、というのがコンセンサスです。
欧州もインフレですから、通貨高のほうがいいはずで、タカ派的な発言が出てくる可能性もあります。
FOMCは今月(6月)、来月(7月)と0.5%ずつ利上げする予定。
ペースとしてはFOMCのほうが速いですから、ユーロ買いにはなりにくいですか?
織り込み具合によりますが、サプライズ性があるのはFOMCよりECBですから、ユーロ優勢かなという気はします。
米国から欧州へのLNG(液化天然ガス)輸出は、1~5月に前年同期比2倍超となっています。
ロシアから買っていた分を米国から買っているのですが、これを為替で見ると、ユーロ売り・米ドル買い要因となりますね。
米国は米ドル高を望んでいる
米ドル/円についてはいかがでしょうか。131.35円の高値をうかがうところまできていますが。
シンプルにいえば、米国が米ドル高を望んでいるから上がる、ということでしょう。インフレですから通貨高のほうがいい。
(出所:TradingView)
金曜日(6月10日)には米CPIが発表されます。
そろそろインフレがピークアウトしたのではとの見方も出ていますね。
先週、6月3日(金)の米雇用統計でも、平均時給は前回よりも弱い数字となりましたし、先月(5月)発表された住宅関連の指標も弱い数字でした。
一時的な弱さなのか、すう勢となるかはまだわかりませんが……。
資源価格は高止まりしていますし、景気は後退しているのにインフレは続く、つまりスタグフレーションになるとの見方もありますね。
カナダドルが先週、利上げに素直に反応して買われた背景は?
先週(5月30日~)、OPECプラス(※)は予想外の増産拡大を発表しましたが、それでも原油価格は下がりませんでした。
EU(欧州連合)はロシア産原油の9割禁輸を決定しましたし、ロシア産の穴を埋めるのは簡単ではありません。
資源高がまだ続くとすると、インフレが高止まりする可能性もありますし、今週の米CPIは注目ですね。
(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)
先週のコラムでも話題にした資源国通貨のカナダドルですが、先週は利上げに素直に反応して買われました。
もともと、今年はカナダドルが買われるという予想が多かったのですが、対ドルでは先月1.30カナダドルまでカナダドル安が進みました。
予想に反するカナダドル安でオプションやポジションが整理され、カナダドルが買われやすくなってきたのかもしれません。
【参考記事】
●ユーロ/米ドルを押し目買い! 1.0590~1.0600ドルに大きなオプションがあり、下値は固い。米ドル/円は戻り売りの回転がよさそう(5月30日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
食料争奪戦も今年のテーマですが、カナダは輸出量世界3位の小麦生産国。
その意味でも買われやすいですね。
Sickな英ポンドは「新興国通貨」と評する声も
今週の戦略としてはひとつがスイスフラン/円のロング。
円ショートは持っておきたいですし、スイスフラン買いは株安のヘッジとしての意味もあります。
SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])は、以前ほど通貨高を拒絶しなくなってもきています。
もうひとつがユーロ/英ポンドのロングです。
(出所:TradingView)
英ポンド売りの理由は?
主要通貨で今年、円に次いで売られているのが英ポンド。利上げ中ですがまったく買われません。
銀行の中には「新興国通貨のよう」と評する声も出てきました。「Sick(病んでいる)」な印象です。
英ポンド売りの背景については、今週末、6月11日(土)のセミナーなどでも詳しく解説したいと思いますので、皆さんのご参加をお待ちしています。
【参考記事】
●【参加費無料】西原宏一×大橋ひろこの会場セミナーを東京原宿ダイヤモンド社で開催! 田向宏行のFX初心者講座も初開催!
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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