「米CPI8.6%」の衝撃で、米ドル/円が135円ブレイク
今日(6月13日)の日経平均は前場で735円安と大きく崩れて、米ドル/円は午後に135円をブレイクしました。
この株安、米ドル高は先週、6月10日(金)に発表された5月の米CPI(消費者物価指数)の影響ですね。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
インフレのピークアウトは近いとする声も聞かれていましたが、前年比8.6%と前回の8.3%からさらに上昇しましたね。
前月比でも1.0%の上昇ですからピークアウトどころではありません。
米CPIが発表される前の夕方には日銀、財務省、金融庁の3者会合も開かれました。
会合後には異例の声明文が公表されましたが、パフォーマンス的な要素が強く、大きな効果はありませんでしたね。
米ドル/円は1円ほど下がりましたが、押し目となっただけでしたね。
FOMC「1%利上げ」予想も。日銀金融政策決定会合にも注意!
そんな中、今週、6月15日(水)27時にFOMC(米連邦公開市場委員会)を迎えます。
「6月、7月に0.5%×2回の利上げ」との見通しが大勢ですが、米CPIを受けて今回0.75%、さらには1%の利上げを予想する声もチラホラと聞こえてきます。
米国株が上昇している最中ならともかく下落中です。
株価へのショックを考えると0.75%は難しい。
この先はわかりませんが、今回は0.5%にとどまるでしょう。
となると、注目はドットチャートですね。
0.5%、あるいはそれ以上の利上げが9月以降も続くのかどうか。
6月17日(金)には日銀金融政策決定会合もあります。
今のところノーマークですが、3者会合まで開いていますし、黒田総裁の発言のトーンに注目ですね。
ボラティリティが上がっていますし、「円安のスピードが速すぎる」といった発言でも、1円程度下がることは充分あるでしょうね。
反対に、従来どおりに緩和継続を強調するようだと、投機筋に攻めるチャンスを与えることにもなりそうです。
市場はFRBと米金利に全集中!
日銀の報道や発言によって、1円、2円と動くことはあるかもしれませんが、大局的には米ドル高が続くのでしょう。
米長期金利(米10年債利回り)は3.2%まで上昇し、より短期の金利はより急角度に上がっています。
土曜日(6月11日)のメルマガセミナーでも質問がありましたが、米ドル/円と米長期金利の相関はインフレが落ち着くまで続くのでしょう。
【参考記事】
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(出所:TradingView)
週末には米為替報告書が発表されました。
日本について「介入は極めて例外的な状況に限り、適切な事前協議を踏まえて実施されるべき」と従来どおりの文言ではありますが、改めてクギをさしています。
インフレ抑制が最大の課題となっている米国にとって望ましいのは米ドル高。介入を認めることはないでしょう。
「米CPI8.6%」の衝撃は大きく、市場の反応は一方的な米ドル高です。
サプライズとなる0.5%利上げを行ったばかりの豪ドルも下がっています。
市場の注目はすべてFRB(米連邦準備制度理事会)と米長期金利に集まっており、ECB(欧州中央銀行)ですらもノイズとしてしまっています。
インフレと金融政策のギャップは大チャンス!
米国のインフレがそれだけひどいということですね。
ガソリン販売価格は史上初の5ドル台へと値上がりしました。
インフレと金融政策のギャップは非常に大きい。
本来なら「1%×3回の利上げ」を行ってもいいくらいのインフレなのに、0.5%と言っているわけですから、ギャップは埋まりません。
こうしたギャップはトレードの大チャンスでもあります。
ジョージ・ソロスが大儲けした1990年代の英ポンド売りも、政策と経済実態のギャップをついたものでした。
今後、FRBが急ピッチな利上げを迫られたときに株価は暴落するでしょうし、米ドルは上昇する――そう考えています。
米ドル/円ロングとニュージーランドドル/米ドルショートで
そうすると今週の戦略も変わりませんか?
米長期金利上昇で上がりやすい米ドル/円のロング、そして株価急落時に下がりやすいニュージーランドドル/米ドルのショートですね。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
イベントでは6月16日(木)にスイス、6月17日(金)に英国の金融政策発表もあり、ともに利上げ予想となっています。
気になったのがゴールド。
米CPI発表後に米長期金利が上がり、米ドルが買われても、ゴールドは粘って、むしろ上がりました。
これが何を示唆するかですが、ゴールドとS&P500の比率をチャートで見ると、重要なレジスタンスを超えてきました。
ゴールド高・株安の時代が本格化しつつあるのかもしれません。
先週、6月10日(金)発表された米ミシガン大消費者信頼感は過去最低となりました。
消費者のマインドは冷え込んでいるのに、インフレは止まらない。
スタグフレーションが近づいていることの示唆でもあるのかもしれませんね。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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