米国のCPIが高く、金融市場はリスク回避が続く。今週のFOMCで0.75%の利上げ予想も出てきた
6月10日(金)に発表された米国のCPI(消費者物価指数)が高く、金融市場はリスク回避の動きが続いています。
それまでインフレはピークアウトしたのではないか、との見解もあり、先月(5月)後半に米国株は反発していましたが、それを打ち消す数字が出たことで米国株は下がり、為替は米ドル高・円高となっています。
(出所:TradingView)
この数字を受けて、今週(6月13日~)14日(火)~15日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されますが、利上げ予想は0.50%がメインでしたが、0.75%の利上げ予想も出てきています。
CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のフェドウォッチ(※)によると、執筆時点では、0.50%の利上げ確率は約67%、0.75%の利上げ確率は約33%と、0.75%になる可能性も十分にあります。
(※編集部注:「フェドウォッチ」とは、FOMCで決める米国の政策金利であるFF金利の誘導目標が変更される可能性を確率で表した数値。シカゴ・マーカンタイル取引所グループがFF金利先物の動向に基づき算出するもの)
パウエル議長は、以前に0.75%の利上げを否定していましたが、今回は0.50%だったとしても、今後の会合で0.75%の大幅引き上げを行う可能性も十分にあると思います。
そしてQT(量的引き締め)と大幅利上げが同時に起きることから、今後も米国株には売り圧力がかかることになります。
★ザイFX!で人気のバカラ村さんの有料メルマガ「バカラ村のFXトレード日報!」では、個人トレーダー目線で初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスや相場分析などを、メルマガで配信!メルマガ登録後10日間は無料解約可能です。
日銀政策決定会合も非常に重要。日本の長期金利がYCC上限を超えて円高要因に
目先に関しては、今週(6月13日~)のFOMCまでは大幅利上げの思惑もあり、米ドル高になりやすいと思います。
イベントを通過すれば、一時的に調整する動きにもなると思いますが、ただ大きな流れとしてのリスク回避の米ドル高は続くように思います。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足)
6月17日(金)には日銀金融政策決定会合があります。
米ドル/円は昨日(6月13日)に135.20円付近まで上昇しました。
これは1998年以来の高値水準となります。
ただその後、黒田総裁が「最近の急激な円安進行は経済にマイナスで望ましくない」と発言したことや、日本の長期金利が0.25%の上限を超えてきたこともあり、133.58円まで下がりました。
(出所:TradingView)
現在はYCC(イールドカーブ・コントロール)(※)で上限0.25%に設定しているものの、そこを超えてきているのは、米ドル/円やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)にとって下がる要因にもなります。
(※編集部注:「イールド・カーブコントロール」とは、長期金利と短期金利の誘導目標を操作して、イールドカーブを適切な水準に維持すること)
市場ではYCCの±0.25%の幅を拡大させるのではないか、との予想もありますが、ただそれであってもある程度の円高要因になります。
そのため、今週(6月13日~)の日銀金融政策決定会合は非常に重要な会合となります。
黒田総裁のかじ取りが難しい局面だが、金融政策を変更することはなさそう
これまでの政策で黒田総裁は円安に誘導してきており(通貨を誘導しているとは直接発言しませんが)、ここで金融緩和をやめるような内容を出すと、円高に大きく振れることも想定されます。しかし、これまでの円安への誘導が無意味になる可能性もあることから、金融政策を変更することはないと思います。
今週の日銀金融政策決定会合は非常に重要な会合になる。ただ、今回の会合でも金融政策を変更することはなさそう。写真は日銀の黒田総裁 (C)Bloomberg/Getty Images
ただFOMCで米長期金利が上昇し、日銀会合でこれまでと同じような発言を繰り返すと、米ドル/円の上昇が加速してしまうことも考えられます。
黒田総裁のかじ取りが難しい局面になると思いますが、今の水準から大きく動かないような内容にしてくるのではないかと思います。
(出所:TradingView)
★ザイFX!で人気のバカラ村さんの有料メルマガ「バカラ村のFXトレード日報!」では、実践的な売買アドバイスや相場分析などを、メルマガで配信!メルマガ登録後10日間は無料解約可能です。
リスク回避から米ドル高は継続か。そうなれば、豪ドル/米ドルやニュージーランドドル/米ドルの売りが良さそう
円はどちらに動くのか難しいときですが、FRBが金融政策を急いで引き締めることは確実なため、米国株は下がり、リスク回避からの米ドル高は継続するように思います。
そうであれば、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルなども下がる可能性があると思いますが、リスク回避での動きを想定しているため、豪ドル/米ドルやニュージーランドドル/米ドルの売りがいいのではないかと考えています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
為替市場は米長期金利や米国株の動きに連れる動きが続いてきましたが、ここからも米国株も見ながらのトレードがいいように思います。
インフレが収まるまでは米国株は下がりやすいため、それを見ながら豪ドル/米ドルを売るのがいいのではないかと考えています。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)