米ドル/円は20年ぶりの高値へ上昇。今後も米長期金利を見ながらのトレードがよさそう
円安が進み、米ドル/円は20年ぶりの高値、132.01円まで上がってきました。
(※編集部注:筆者執筆時点では131.78円が高値でしたが、その後、編集時点(東京時間6月7日早朝)で132.01円まで高値を更新していたため、本文に記載のレートを変更しています)
米長期金利も3.04%台まで上昇し、米ドル/円と米長期金利の相関性は高いままです。
(出所:TradingView)
この相関性はまだ継続すると思うため、今後も米ドル/円は米長期金利の動きも見ながらのトレードがいいように思います。
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今週の米CPI発表は重要。CPIが高ければ米ドル/円は上昇、低いなら下落することになる
今週(6月6日~)のイベントは、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])理事会、ECB(欧州中央銀行)理事会、米国のCPI(消費者物価指数)の発表になります。
そして来週(6月13日~)はFOMC(米連邦公開市場委員会)があります。すでにブラックアウト期間(※)に入っているため、米国の要人発言は出てこないと思いますが、今週(6月6日~)金曜日の米国のCPIの結果は重要になります。
(※編集部注:「ブラックアウト期間」とは、中央銀行のメンバーが金融政策決定前の一定期間に金融政策に関する情報を外部に発言することを禁じる期間のこと)
米国のインフレがピークアウトしているとの見解があり、さらに来週(6月13日~)FOMCもあるため、このCPIの数字が金融政策にも影響してくることになります。
CPIが高ければ、米ドル/円は上昇、低いようであれば米ドル/円は下がることになると思います。
(出所:TradingView)
今後、ECBの利上げが見込まれる中、ユーロは底堅く推移しそう。ただ、ドンドン上昇していくようには思えない
今週(6月6日~)木曜日はECB理事会があります。
今回、政策金利は据え置きが見込まれていますが、ユーロ圏のHICP(調和消費者物価指数)が過去最大の上昇となったこともあり、7月と9月の理事会では、0.25%の利上げが見込まれています。
ただドイツ銀行は、7月か9月のECB理事会での0.50%の利上げ幅を予想していたり、ユーロ圏の要人からは、例えばホルツマン・オーストリア中銀総裁は「0.50%の利上げの必要性を支持している」とコメントしていて、0.50%の利上げ幅になる可能性があります。
そのため、しばらくユーロは底堅い推移となると思います。
(出所:TradingView)
ただ、ユーロがドンドンと上昇していくようには思えないです。
米国にも景気後退懸念がありますが、ウクライナ危機の影響でユーロ圏の方が景気後退懸念は強いように思います。
金融正常化は米国の方が進む。長期的にはユーロよりも米ドルの方が買われやすい状況になりそう
さらにFRB(米連邦準備制度理事会)はインフレへの対応を今後も積極的に行っていく見通しですが、ECBは景気悪化とのバランスを取る必要から、金融政策正常化は米国の方が今後も進んでいくことになると思います。
そのため、長期的にはユーロよりも米ドルの方が買われやすい状況が続くように思います。
(出所:TradingView)
6月10日(金)の米CPIは、どんな数字が出るのかわかりませんが、ここで予想値と同じような数字、もしくは高ければ、来週(6月13日~)水曜日にはFOMCで米ドル高になりやすいように思います。
5月31日(火)にバイデン大統領はイエレン財務長官とパウエルFRB議長と3者会談を行いました。
パウエル議長にインフレへの対応をさらに指示したと思います。
そのためFOMCでは、金融正常化の手を緩めるよりも、さらに加速させる可能性の方が高いように思います。
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ユーロが上昇を続けるには、米国株の上昇継続か、米長期金利の下落が必要。ただ、これは難しいか
そうなると、ユーロ/米ドルも6月9日(金)のECB理事会の内容を受けて上昇したとしても、米CPIで問題がなければ、来週(6月13日~)のFOMCでの米ドル高で下がる可能性があるのではないかと思います。
6月1日(水)に1.0627ドルまで下がりましたが、すぐに反発してきたこともあり、1.06ドル台前半は底堅そうです。
(出所:TradingView)
ユーロ/米ドルは現在、2月から継続している下降チャネルの中で推移しています。
下降チャネルの上限が1.0760ドル付近まで下がってきていることもあり、さらに米国株の下落が一服していることもあって、この下降チャネルは上に抜ける可能性が高いように思います。
ただ上抜けたとしても上昇が続くように思えないです。
(出所:TradingView)
上昇を続けるには、ユーロの買い材料以外に、米国株の上昇が続くか、米長期金利が下がることが必要だと思いますが、どちらも難しいと思います。
そのため、ユーロ/米ドルのトレンド(※)はまだ期待できませんが、ECB理事会に向けてはユーロ/米ドルは底堅く、FOMCでは下がる可能性があるのではないかと思います。
(※編集部注:「トレンド」とは、価格の方向性のこと)
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