YouTube動画「週刊!志摩力男」では、志摩さんがその日のコラムの内容からより注目しているテーマをピックアップし、5分程度の動画で解説します。動画を視聴して、もっと知りたい!と思った人は、続けてコラムをご覧ください。
為替は調整局面入りも、米ドル/円は1日に1~2円動いていて別世界。儲かる可能性もあるが、高値掴み、安値売りには警戒
為替市場は、全体的に調整局面に入っています。
特に米ドル/円は、一方的な円安局面が続いた後なので、しばらくは「価格調整」及び「時間調整」が必要になります。
経済指標のひとつひとつに対し、一喜一憂することになると思いますが、高いところで強気にならず、安いところで弱気にならず、リラックスして臨みたいものです。
調整局面とはいえ、1日に1~2円程度動いています。昨年(2021年)までの動かないマーケットを考えると別世界。淡々とトレードしてもそれなりに儲かる可能性があります
反対に、高値掴み、安値売りすると、意外に深いところまで持っていかれ、深傷を負うこともあるので、気をつけましょう。
(出所:TradingView)
このところのマーケットを振り返ると、2期連続のマイナス成長となった米GDPで米ドル売り、50万人を超える雇用増となった米雇用統計で米ドル買い、インフレのピークを確認した米7月CPI(消費者物価指数)で米ドル売りとなりました。
どっちが本当の方向かわからない感じですが、いずれ時間の経過とともに、方向性ははっきりしてくるでしょう。
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米ドル/円の120~125円予想に不満あり。円安だから、少し戻るだろうという本音が透けて見える
マーケット参加者の相場観を見ると、やはり少し円高方向に戻すのではないかと考える人が多そうです。米国経済の減速がいずれあるでしょうし、資源価格の上昇もいずれ落ち着くと…。市場予想をすべて把握しているわけではないですが、120~125円程度への戻りが想定されている感じです。
しかし、その分析には不満があります。あまりにも円安だから、少しは戻るだろう……という本音が透けて見えます。
・いったいどういう経路を辿って、金利がゼロ、今後も見通せる限り金利がゼロの日本に戻ってくるのか
・資源価格は今後下落するとどうして言えるのか。景気が悪化すれば需要は減退する。しかし、エネルギーを供給する側は決してお行儀の良い国ばかりでない。今も、なんだかんだ言って供給を絞って価格を下げないようにしているではないか
・企業が日本に投資しやすい環境を積極的に作る工夫をしているのか?この円安下でも企業は外への投資を最優先に考えているのではないか
私自身は、円高論者です。日本の消費者にとって、円高が良いに決まっています。ビッグマック指数が示す米ドル/円レートは75円程度ですが、その辺りが適正と思っています。
(出所:英エコノミスト紙)
しかし、資金の流れを見ると、どうしても円高になりそうもない。結局もみ合いのあと、再び円安が進むようにしか見えません。
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米ドルはしばらく持ち合い局面が続くが、基調としての円安トレンドに変わりなく、いずれまた円安が進むことになる
7月の日本の貿易収支は1兆4367億円の赤字でした。12カ月連続の赤字です。問題なのは、過去50年でもっとも円安レベルで貿易赤字であるということ。理屈を言えば、もっと円安にならないと貿易収支はバランスしないことになります。
資源高だから仕方ない…と言われますが、もっと資源価格が上昇したらどうするのか。
政府の資源高対策を見ると、補助金を出して価格をコントロールすることがメインです。しかし、日本は市場経済の国。価格をコントロールし、あたかも何も起こってないかのように装うのは、生活者にはありがたい反面、あきらかな弊害があります。価格が高いから使わないように工夫するのであって、社会主義的な政策では何も変わらない。
日銀がインフレ政策を採っている一方で、政府が価格統制しインフレが起こらないようにするのは、とてつもない矛盾ではないでしょうか。
円安が進めば、補助金が増え、政府の財政赤字は増えます。しかし、その財政赤字は日銀が国債を買い支えるので問題ないということになりますが、それはさらなる円安を招き、補助金はもっと増え、財政の赤字はさらに増えるというループになります。
私の推測としては、米ドル/円はしばらく持ち合い局面が続きます。イメージとしては2013年6月以降の持ち合いです。しかし、基調としての円安トレンドに変わりなく、いずれまた円安が進むでしょう。
(出所:TradingView)
今度は、米金利上昇が理由ではなく、日本の貿易赤字、もしかすると経常赤字がその理由になるかもしれません。
政府からは円安への懸念が見えてきません。日銀の政策はさらに円安を進める政策です。つまり、政府はさらに円安を進めて高インフレにし、政府債務の縮小を図ろうとしている、それが真の意図であると考えて行動した方が良いのかもしれません。
【参考記事】
●円安に限界はない!? 日本は巨額政府債務の維持がもっとも重要な政策に…。一方、SNBの政策変更でスイスフランはさらに上昇する(6月29日、志摩力男)
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