米ドル/円は複数のヘッジファンドの大量の仕掛けで145円手前まで急上昇。1998年高値の147円台や150円がターゲットに
この1週間は、急激な円安が進んだ週でした。米ドル/円は、140円を超えてから一気に145円手前のところまで急上昇しています。
(出所:TradingView)
その背景には、複数のヘッジファンドが大量の米ドル買いを仕掛けたことがきっかけでした。そして、その仕掛けが終わると、145円の手間で揉み合いに入っています。
140円を超えてからこれだけの仕掛けをしてくるのですから、彼らは今後もかなり円安が進むと見ているということだと思います。まずは、1998年の高値である147円台を最初のターゲットに、その後は150円を狙っているのだと思います。
(出所:TradingView)
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今回の相場の特徴は米ドル高というより、円安の動きになっていること
しかし、今回の相場の特徴は、米ドル高というよりは、円安という動きになっていることです。
例えば、ユーロ/米ドルを見ていただければわかると思いますが、パリティ(1ユーロ=1.00ドル)を割り込んできましたが、その後一気にユーロ安・米ドル高が進むという感じではなく、0.98ドル台から1.00ドル台でのレンジに入り込んでいます。
(出所:TradingView)
その他の主要通貨でもそれほど米ドル高にはなっていません。結果として、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)でも円安が進み、円独歩安となっています。
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各国と日本の金融政策のスタンスの違いが鮮明になり、どうしてもそれに相場が反応してしまう
これは、最近の各国の金融政策がそのまま為替レートに反映しているからです。
例えば、昨日(9月8日)、ECB(欧州中央銀行)が政策金利を0.75%引き上げることを決定しました。そして今後数回の利上げを実施する意向も示しています。
その他の国でも、米国と歩調を合わせるかのように利上げの速度を加速させています。
一方の日本ですが、相変わらず金融緩和を緩める様子はありません。
日本もCPIが2%を超えてきたので、そろそろ金融政策を変更していい時期に入ったのではないかと思いがちですが、日銀のメンバーは、現在の物価高が一時的なものである可能性が高いので、まだまだ金融緩和を緩める時ではないとのスタンスを崩していません。
こうした状況は、昨日今日始まったわけではないのですが、時間の経過とともに、そうした各国と日本のスタンスの違いがより鮮明になってくるので、どうしてもそれに相場が反応してしまうということだと思います。
政府関係者の円安に対する発言は、今は何もしないと言っているようなもの。まだまだ円安は進む
これだけ円安が進むと、我々の生活にもかなり影響が出ます。実際、私たちの身の回りのものがどんどん値上げになっています。
しかし、こうした状況に対しても日本の政府はなすすべを持っていません。
今回の円安を受けて、昨日、財務省・金融庁・日銀は緊急の3者会合を開催しました。6月に急激な円安が進んでから2回目になります。しかし、会合が終わって出てきたものは、前回とほぼ一緒のものでした。
さらに、最近の政府関係者の円安に対する発言は「今後もこの流れが継続するようなことがあれば必要な対応をとる」というものです。
これは、「今の段階では何も行動しないが、今後益々円安が進んだら、何かやるかもしれませんよ」と言っている訳なので、裏を返せば、今は何もしませんと言っているようなものです。
そうなると、結論は1つしかありません。まだまだ円安は進むということです。
あまり、複雑に考える必要はありません。各国のインフレはまだまだ高水準ですし、今急激な利上げを実施している影響が出てくるのにも時間差があります。
少なくとも、年内は米国を始め、各国は利上げを続けるでしょう。そうなると、日銀のスタンスが変わらない以上、円安の流れは止まらないということに尽きるということです。
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米ドル/円と同時に、クロス円でも円安はまだまだ進む。豪ドル円は100円、メキシコペソ/円は8円台が見えている
米ドル/円は、147円から150円を目指すと同時に、クロス円でも円安がまだまだ進みます。
豪ドル円などは、いよいよ100円が見えてきました。メキシコペソ円なども少し気が早いですが、8円台が見えているのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
ここまで円安が進んでくると少し追いかけるのが怖い気がしますが、ここは信じて円売りを続ける時期だと思います。
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