月曜日に米ドル/円が142円台にまで達したのは、理解できない動き。米経済指標が弱く、再び米ドルが下落したほうがしっくりくる動き
この1週間は相場全体が方向感を失ってしまい、乱高下をしています。米ドル高になり、その後反落するという流れです。
私自身は、月曜日(11月21日)に米ドルが上昇し、米ドル/円が142円台にまで達するというのが、想定外というか、理解できない動きでした。
それほど大きな材料があったわけでもなく、米金利がやや上昇していることを背景に、米ドル高になっているにしては、上がり過ぎではないかと驚いて見ていました。結局、短期的にドルショートポジションが溜まってしまい、その調整が大きかったとしか考えられません。
その後、米国の経済指標が弱かったことなどから、再び米ドルが下落し始めましたが、こちらの方がしっくりくる動きでした。
(出所:TradingView)
FOMC議事録を受けて、利上げと米ドル高の終焉をますます確信
米ドル安のとどめは、前回のFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録の中身でした。主な点を抜粋してみます。
(1) 「利上げのペースを遅くする方が、FOMCが最大雇用と物価安定という目標に向けた進捗を評価するのに適している」
(2) 「金融スタンスが十分に制約的になりつつある中、最終的にFF金利(※)をどの水準まで引き上げるかが、利上げペースよりも重要な検討事項になった」
などです。
(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)
端的に言えば、(1)は、今後利上げのペースは減速していく、(2)は、それよりも最終的にどこまで金利を上げるかのほうが重要になってきた。この2点です。
しかし、この2点はすでに複数のFOMCのメンバーが発言していましたので、それほど反応するようなものではないなと感じていました。
しかし、次のこの表現はこれまでにないものでした。
(3) 「インフレに関して、明らかな進展がほとんどなく、金利を更に引き上げる必要があると政策立案者が認めているなかでも、急速な金融引き締めが経済成長と金融安定にもたらすリスクに対してFRB内で議論を呼んでいることが示された」
です。(3)は何を言っているかというと、米金利の引き上げによって、景気が悪くなり、金融システムが不安定になってきているので、インフレが収まっていなくても、利上げを停止することも検討すべきだと複数のメンバーが主張しているということです。
これは、非常に注目すべき点です。つまり、今後米CPI(消費者物価指数)が下落していかなくても、利上げを停止すべきだと主張しているメンバーが何人かいるということになります。
これで、ますます利上げの終焉が現実味を帯びてきたということです。やはり、米ドル高相場は終わっているとますます確信してきました。
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かなりの期間、相場が右往左往しそう。米ドル/円は137円台から141円台、ユーロ/米ドルは1.02ドル台から1.05ドル台のレンジを想定
ただ、これで一気に米ドル安相場になるかと言えば、そう単純ではないと思います。やはり、米国の利下げが話題になるような状況にならなければ、大きな米ドル安トレンドは生まれてきません。
そこまでは、かなりの期間、相場が右往左往すると思います。ここ1カ月ほどの相場を参考にして考えると、米ドル/円は137円台から141円台の4円レンジの中での推移になると予想しています。
(出所:TradingView)
ユーロ/米ドルは、1.02ドル台から1.05ドル台の300ポイント程度のレンジを想定しています。
(出所:TradingView)
乱高下の相場はよく動くので、うまくハマれば儲かりますが、トレードは紙一重ですので、リズムが崩れてしまうと、上を買って下を売って、を繰り返し、気がついたら、大損していたということがよく起きます。
方向感なくよく動く相場は、トレンドのサイクルを短くして、短期トレードを中心にやり、かつポジションは抑えめにすることです。そういうトレードを繰り返しながら、次のトレンドを待ちたいと思います。
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