FOMC声明文の表現を、いったん利上げを休止するサインではないかと深読みし、米ドル安が進んだ
11月1日(火)、2日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されました。
今回の会合では、今後の利上げペースの鈍化が話し合われるのではないかという観測が広がっていたために、非常に注目されていました。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円は、145円程度を当面の底と考えて押し目買い。米利上げ幅鈍化観測はあるが、米ドル安への転換ではない。11月FOMC、米雇用統計、米CPIへの注目度はこれまで以上に(10月28日、今井雅人)
結果としては、今後の方向性を決定するほどのものではありませんでした。少し中身を見ていきましょう。
まず、今回利上げは0.75%と市場予想どおりということで、特段驚きはありませんでした。
声明文では、特に次のくだりに注目が集まりました。
「委員会は、徐々にインフィレ率を2%に戻すのに十分な制限的な金融政策姿勢を達成するために、目標誘導レンジの継続的な引き上げが適切になると予想する。目標誘導レンジの将来的な引き上げペースを決めるにあたり、委員会は金融政策の度重なる引き締め、金融政策が経済活動とインフレ率に及ぼす影響の遅れ、および経済と金融の動向を考慮する」
この中にある、「金融政策が経済活動とインフレ率に及ぼす影響の遅れ」という表現ですが、これは、利上げが物価を抑えるには、少し時間がかかり、後になって効いてくるということを示していると捉えられ、そろそろいったん利上げを休止して、それまでの利上げの効果を確認しようとするサインではないか、と深読みしたことから、米金利が低下し、米ドル安が進みました。
(出所:TradingView)
パウエルFRB議長の発言が最初はハト派と捉えられ、米ドル安の反応をした
その後、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の会見がありました。その中身もかいつまんで紹介します。
「金融環境が大幅に引き締まり、その効果が現れているが、効果が完全に現れるには時間がかかるだろう」
「ある時点で利上げペースを緩めることが適切となる」
「利上げ減速の時期は早ければ次回会合になる可能性がある」
市場は最初、これらの発言はハト派と捉えられて、米金利低下と米ドル安の反応をしました。
(出所:TradingView)
パウエルFRB議長のその後の発言で、米ドル相場は反転し、行って来いの相場展開となった
ただ、その後、
「最終的な金利水準は従来の想定よりも高くなった」
「利上げ停止を考えるのは非常に時期尚早」
「引き締めが不十分であれば、インフレが定着してしまうリスクが生じる」
「まだ道のりは長い、金利引き上げでカバーすべき範囲は残っている」
これらの発言で、急速に米長期金利も米ドル相場も反転しました。まさに、行って来いの相場展開となりました。
(出所:TradingView)
12月FOMCの利上げ幅が0.75%か0.50%かは、米雇用統計と米CPIの結果次第と言っても過言ではない
これらのことから読み取れることは1つだけです。
つまり、そろそろ利上げのペースを緩めてもいい時期に差し掛かってはいるものの、それは今後の経済指標の結果次第であるということです。
それによって、利上げのペースも、最終的にどこまで利上げを実施するべきかも決まってくるということです。
確かに、利上げの影響は少し時間差をおいて出てくるものですが、経済指標にその傾向が出てこない限り、金融引き締めの手綱は緩めない、ということになるでしょう。
そうなってくると、米雇用統計と米CPI(消費者物価指数)の結果が非常に重要になってきます。
この結果次第で、12月FOMCの利上げ幅が0.75%か0.50%かが決まると言っても過言ではありません。注目しておきましょう。
方向感のないときは、軽めの短期トレードに徹し、とにかく大損をしないように気をつけたい
トレードに関しては、巨額の米ドル売り・円買い介入の後、米国の利上げ減速観測もあり、乱高下が続いています。
正直、かなり苦労しており、今月(11月)に入ってからは、儲かったり損したりで、まだうまく利益を出せないでいます。
こういう方向感がない時は、軽めの短期トレードに徹し、とにかく大損をしないように気をつけて、次のチャンスを待ちたいと思います。
(出所:TradingView)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!でもおなじみの今井雅人さんからのレポートを受けて、ザイFX!が 配信する「ザイFX! FXプレミアム配信 With今井雅人(月額:5,500円(税込))」。
その日のニュースをコンパクトに解説し、今後の為替の値動きについての予測とともに、今井氏のポジションについても可能な限り配信する、実践型の有料メルマガです。
「ザイFX! FXプレミアム配信 With今井雅人」には10日間の無料体験期間がありますので、ぜひ一度体験していただき、みなさんのトレードの参考にしてみてください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)