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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

米ドル/円は当面、1米ドル=133~142円の間でもみ合う
調整相場か。2023年はコモディティ価格の急騰に警戒!
NZドル/円は、88円を超えれば95円を目指す展開を想定

2022年12月08日(木)18:10公開 (2022年12月08日(木)18:10更新)
西原宏一

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天井をつけた米ドル/円はあっという間に18円暴落、当面1ドル=133~142円でのもみ合い相場か?

 みなさん、こんにちは。

 過去のコラムで何度かご紹介させていただいてるように、今年(2022年)の米ドル/円は151.95円で天井をつけました。

【※関連記事はこちら!】

米ドル/円は1米ドル=151.95円で上昇相場が終了した!米ドル/円は戻り売り! 米中間選挙後の株高が期待されていたが、仮想通貨の急落で市場はリスクオフの展開に(2022年11月10日、西原宏一)

 過去にも例をみないほどの38円という値幅で急騰を演じた米ドル/円は調整も荒っぽく、あっというまに18円も暴落。

 10カ月かけて38円急騰したのが、1カ月でその値幅の半分を消失しました。

米ドル/円・週足
米ドル/円・週足

(出所:TradingView)

 先週(11月28日~)の安値は133.63円でしたが、2021年1月の安値からフィボナッチ・リトレースメントを引くと、38.2%押しが133.09円。この水準にあと一歩まというところまで急落したことになります。

 その結果、調整相場に入った米ドル/円は、当面133~142円で方向感のない「もみ合い相場」になりそうです。

2023年の注目テーマはコモディティ価格の急騰

 「米国金利と米ドルの反落」は2023年のテーマと想定していましたが、米ドル/円は来年(2023年)を待たずに、上げ幅の半分を喪失してしまっています。

 米国金利と米ドルの反落は引き続き2023年のテーマのひとつであると考えていますが、11月からすでに米ドル安は始まっているので、米ドル安以外に注目するべき2023年のテーマを探ってみましょう。

2022年の主要国の連続利上げにより、2023年はグローバルで景気は悪化するのか?

 今年(2022年)は、米国を筆頭に主要国(日本は除く)の大規模金融緩和をきっかけとした急激なインフレに主要国は苦しみました。

 そのインフレ抑制のために上げてきた金利は、景気には悪影響を及ぼしていくことが予想されるため、2023年は好景気は期待できそうもありません。

 一方で、地政学的にも中国対米国、ロシアのウクライナ進攻といったことから、今までのグローバリゼーションからリージョナライゼーションへの移行が見受けられます。

 そうした環境下、各国が自国経済圏の優位性を保つためには、資源、食料、飼料の確保が必須。

ソフトコモディティ(食料、飼料)や、ハードコモディティ(原油、天然ガス、金、石炭)の備蓄競争などもあり、コモディティ価格の急騰が懸念されています。

 そのため総じて、豪ドル、ニュージーランドドル(NZドル)、カナダドルといった資源国通貨が底堅く推移すると想定しています。

 その中で今回はニュージーランドドルを取り上げてみます。

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RBNZのターミナルレートは5.75%へ上昇か?

 資源国通貨の中でも、ターミナルレート(利上げの最終地点)がもっとも高くなると想定されているのがニュージーランドドル。

 下記は、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])の金利先物のグラフです。

ニュージーランドの金利予測は?
ニュージーランドの金利予測は?

2023年のすべての政策会合での金利を予測。2022年12月時点の政策金利は4.25%だが、来年の5月の予想は5.379%と、さらに引き上げられることが織り込まれ始めている。

 本稿執筆時点でのOCR(=政策金利)は、9会合連続利上げにより4.25%まで引き上げられています。

 そして来年(2023年)の夏ごろには、ターミナルレートが5.50%程度まで引き上げられることが織り込まれ始めています

 ANZ銀行(オーストラリア・ニュージーランド銀行)のチーフエコノミストによれば、来年ターミナルレートが5.75%まで引き上げられるとの予測もあり、これは主要国の中で最も高いターミナルレートとなります。

 こうしたターミナルレートの引き上げの背景にはインフレの高騰が上げられます。

 11月のRBNZの声明をチェックするとニュージーランド経済は急激に回復しているようです。

 特に観光業。

 RBNZのエコノミストは下記のようにコメントしています。

「ニュージーランドの国境が再開されて以来、外国人観光客の回復は予想以上に速かった。特にオーストラリアからの訪問者の増加幅が大きい。過去6週間にRBNZのスタッフが話をした企業では、フォワードブッキングも好調で、伝統的に消費額の高い米国、カナダ、英国からの旅行者の予約が増加しているとのことです。観光部門の回復は、これから夏にかけてのニュージーランドの経済成長に大きく貢献すると期待されています。

出所:RBNZ

 急激な景気回復はインフレの高騰も伴います。

 2022年9月期の年間CPIインフレ率は7.2%と高水準。

 RBNZのインフレターゲットは、1%から3%の間に維持し、2%の中点付近に維持することに重点を置くことですので、かなり乖離しています。

 よって、金利先物市場が織り込み始めているように、OCRが5.50%~5.75%へと引き上げられるという予測にも納得できます。

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金利の上昇を横目にニュージーランドドル/円は95円を目指す

 下図は、ニュージーランドドル/円の週足チャートです。

ニュージーランドドル/円・週足
ニュージーランドドル/円・週足

(出所:TradingView)

 長期に渡って、88.00円が強烈なレジスタンスラインになっていますが、RBNZの連続利上げもあり、下値が徐々に切り上がってきています。

 仮にレジスタンスである88.00円をブレイクすれば、ニュージーランドドル/円は95円レベルまで急騰するのではないかと想定しています。

 中央銀行の多くで政策金利の利上げ停止が話題になっている中で、RBNZはターミナルレートが5.50~5.75%まで引き上げられることが予測されています。

2023年はコモディティの上昇も予測される中、95円に向けて上昇するニュージーランドドル/円に注目です。


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