FOMCでは、大方の予想どおり、0.25%の利上げ幅に
日本時間本日(3月23日)未明、米国のFOMC(米連邦公開市場委員会)が終了し、結果が発表されました。
今回は、政策金利のFFレート(※)を0.25%引き上げ、4.75~5.00%とすることが決定されました。
(※編集部注:「FFレート」とは、フェデラルファンド金利のことで、FF金利とも呼ばれる。米国の政策金利)
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一部では、銀行の経営破綻を受けて、利上げを見送るという見方も若干ありましたが、大方の予想どおりの利上げ幅となりました。
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FOMC声明文で、利上げに対してかなり後退した表現になったことは、非常に大きな変化で、重要なポイント
注目を集めたのは、その他の点です。
まず、声明文ですが、一般論として、声明文の中にある表現が変わってくるということは、必ず意図があるので、マーケットはそういう変化がないかを常に注目をしています。
今回の声明文では、従来「インフレ目標達成のため、継続的な利上げが適切になる」としていた部分を「幾分かの追加引き締めが適切になる可能性がある」に変えました。
この表現の変更の意味ですが、2つあります。
まず、従来の表現は、まだまだ継続的に利上げをしていくということを意味していましたが、今回の表現は、もう継続的に利上げをしていく段階ではないという意味にとれます。
つまり、そろそろ利上げは終わりに近づいていることを示唆していると読めます。
2つ目ですが、前回は「適切になる(will be)」でしたが、今回は「適切になる可能性がある(may be)」に変わっている点です。
今回の表現を見ると、もう利上げをしない可能性すらあることを示唆しているということです。
このように、利上げに対してかなり後退した表現になったことは、非常に大きな変化で、重要なポイントです。
米ドル高の原因となってきた引き締めが、いよいよ終わりになることが、明確に視野に入ってきたFOMCとなった
また、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が、
「当局者らは、今年の利下げを見込んでいない」
「必要なら、想定上の利上げを実施する」
としながらも、今回は
「利上げの停止も検討した」
と発言したことで、ムードはさらに金利低下方向に向かい、米長期金利は軒並み下落しました。
(出所:TradingView)
さらに、以前パウエル議長は、今回のFOMCで、将来の政策金利見通しが大幅に引き上げられるとの見方を示していましたが、12月末での予想レートの中央値が5.1%と、前回と同じになっていた点も注目です。
(出所:FRB)
米国の経済指標が予想を上回る結果が続いていたことで、ターミナルレート(利上げの最終着地点)が上方修正されるとの見方が、今回の金融不安で吹き飛んだということです。
昨年(2022年)からの米ドル高・円安の原因は、主に米国の金融引き締めであったことは、誰もが認めるところですが、今回、その米ドル高の原因となってきた引き締めが、いよいよ終わりになることが、明確に視野に入ってきたFOMCとなりました。
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マーケットはこの先、米ドルを買う大きな材料を失った
そうなると、マーケットはこの先、米ドルを買う大きな材料を失ったことになります。
では、ほかになにか米ドル買いの材料はないかと考えてみますと、現在の金融に対する不安感が払しょくされれば、短期的な米ドル買いの材料にはなるかもしれません。
しかし、それは一時的なものであって、中期的な米ドル買い材料が今のところ見当たりません。
米ドル/円が127円台から137円台にまで米ドル高になったのは、米国の利上げのペースが思ったほど減速せず、まだまだ利上げが続きそうだとのムードが広がったためでした。
今回のFOMCの結果で、そういうことも期待できなくなってきました。
(出所:TradingView)
当面は米ドル/円、ユーロ/米ドルでの米ドル売り! 米ドル/円は再び127円を見ることもありそう
であれば、今後の可能性としては、米ドル安方向に向かうほうが高いという結論になります。
言い方を変えれば、米ドル安に向かうかどうかは定かではないにしても、米ドル高と米ドル安の可能性を比較すれば、米ドル安方向のほうが可能性は高そうだということは言えるのではないかと思います。
以上のことを踏まえて、当面は米ドル/円、ユーロ/米ドルでの米ドル売り戦略を推奨したいと思います。
上手くすれば、再び127円を見ることもあるのではないかと考えています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
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