米金融不安はもう沈静化したのか?
みなさん、こんにちは
過去1カ月間、シリコンバレー銀行破綻やクレディ・スイスなど、グローバルに銀行危機が発生し、一時急速にリスクオフ相場となりました。
ただ米国やスイス当局の迅速な対応により、いったん銀行危機は沈静化。
今回の件はこれで収束したという見方も増えていますが、もう今回の金融危機は去ったのでしょうか?
個人的にはまだ長期で影響があると想定しています。ただリスクにさらされているのはJPモルガン銀行のような大手ではなく、主に小規模から中規模の銀行です。
まず今回の金融危機で、銀行の貸出基準が厳格化するとみられます。
つまり、貸出の伸びが鈍化するので、米国経済の成長も鈍化すると予想されます。
米国経済の鈍化は、米金利の低下を誘引します。
再び米金融機関にトラブルがあれば大幅利下げも!
下図は、FF金利先物市場のインプライド金利の推移。
(出所:TradingView)
(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれている。米国の政策金利)
金利先物市場によれば、7月から利下げが始まり、2024年1月までに1.00%利下げされることを織り込んでいます。
これの意味するところは、インフレがある程度高止まっていても急激な景気減速や、今回のように米金融機関のトラブルがあればパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は利下げに傾斜するだろうとマーケットが想定しているわけです。
仮に再び金融機関にトラブルがあれば、FFレートは0.25%刻んで下げられるわけでもなく、一気に0.75%とか1.00%下げてくると想定されます。
そうした大幅利下げがあれば、年末に4.00%というのは想定の範囲内でしょう。
こうした見方がマーケットのコンセンサスとなりつつあるため、米2年債利回りの上値は限定的。
仮に今後発表される経済指標の悪化が報道されれば、米2年債利回りはさらに低下することも考えられ、結果、米ドル/円も130円を割り込み、続落すると想定しています。
(出所:TradingView)
一方、今週、中央銀行がサプライズの大幅利上げを発表したにも関わらず、値を下げている通貨があります。
それは、ニュージーランドドル。
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大幅利上げにも関わらず上値の重いニュージーランドドルにも要注意!
4月5日(水)、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])は政策金利である、OCR(オフィシャルキャッシュレート)を4.75%から0.5ポイント引き上げ、5.25%とすることを決定。
マーケットのコンセンサスは0.25%であったため、ニュージーランドドル/米ドルは一時0.6379ドルまで反発しましたが、その後急速に値を下げています。本稿執筆時点では、0.6300ドルを割り込んでいます。
ニュージーランドドル/円も82.55円と軟調推移。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
NZ中銀、予想外の0.5ポイント利上げペース継続-政策金利5.25%
RBNZは2月時点で、OCRが今年(2023年)後半に5.50%に達するという最新予測を公表していたので、それに向かってもう一度利上げをする可能性が高まっています。
しかし、ニュージーランドでは3月までの1年間で住宅価格が記録的な下落を演じ、企業景況感も1970年代初め以降でもっとも低い水準に近づくなど、景気減速の兆しもすでに表れているとブルームバーグが報じています。
結果、RBNZがサプライズの0.50%利上げを発表しても、通貨であるニュージーランドドルは、値を下げています。
前回のコラムで同資源国通貨の豪ドルも上値が重くなってきており、ハイベータ通貨といわる豪ドルとニュージーランドドルの上値が重くなってきていることに注目しています。
【※関連記事はこちら!】
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米金利低下で米ドル安は続く、米ドル/円は125円へ
当局の迅速な対応により、米金融はいったん沈静化。
ただ、今回の金融危機で銀行の貸出基準が厳格化し貸出の伸びが鈍化する事が予想され、ひいては米国経済の成長の鈍化、そして米金利の低下を誘引することが想定されます。
米2年債利回りの上値は重く、相関性の高い米ドル/円は125円に向けて下落中。
(出所:TradingView)
RBNZの大幅利上げにも関わらず、上値の重いニュージーランドドルにも注目です。
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