AT1債の急落でマーケットは混乱!リスクオフへ
みなさん、こんにちは。
今月は、SVB(シリコンバレー銀行)やクレディ・スイスの破綻が、ドイツの雄であるドイツ銀行の破綻まで連想され、一気にリスクオフ相場へ。
特に危惧されたのがAT1債(銀行が発行する永久劣後債)です。
金融大手UBSの救済に伴い、クレディ・スイス・グループが発行した160億スイスフラン(約2.2兆円)のAT1債の価値をゼロにするとスイス監督当局が決定したことで、マーケットが見過ごしていたリスクが突然現実になりました。
G-SIBs(グローバルなシステム上重要な銀行)のAT1債は安心だとの見方が市場のコンセンサスだったため、クレディ・スイス・グループのAT1債の価値がゼロになった衝撃は大きく、ドイツ銀行株の急落も誘引し、一時市場はリスクオフ相場に入りました。
米2年債利回りの3.5%はさすがに織り込みすぎか!?
AT1債の急落というリスクオフの環境下、米金利先物市場ではFRBの利下げが急速に織り込まれ、例えば、先週末(3月24日)の米金利先物市場の利下げ織り込み度は下記の通りです。
①5月3日 一時停止
②6月14日:25bps 引き下げ、4.50-4.75%に
③7月26日:25bps 引き下げ、4.25-4.50%に
④9月20日:25bps 引き下げ、4.00-4.25%に
⑤11月1日: 一時停止
⑥12月13日:25bps 引き下げ、3.75-4.00%に
つまり、先週末は、来年(2024年)の1月までにFRB(米連邦準備制度理事会)の1.00%の利下げが織り込まれ、米2年債利回りも一時3.50%レベルまで急落しています。安値は3.5531%。
(出所:TradingView)
FRBのパウエル議長がさらなる利上げを示唆している状況で、この米金利先物市場におけるFRBの大幅利下げ予測に関してはさすがに織り込みすぎではないかと筆者も考え、米ドル/円の売りを130.00円以下で買い戻しています。
(出所:TradingView)
しかし今週のマーケットは期末要因も含め、米ドル/円、豪ドル/円とも想定以上に反発。
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今週に入って米2年債利回りは一気に4.00%台へ
米金利先物市場のFRBの利下げ予測は今週一気に回復し、それに呼応して米2年債利回りも本稿執筆時点(3月30日)で4.00%まで戻しています。
(出所:TradingView)
米2年債利回りの4.00%回復とともに米ドル/円が130円台に。
(出所:TradingView)
3月29日の東京市場では、久しぶりに本邦企業の断続的な米ドル買いが持ち込まれ、米ドル/円相場は一気に132円台後半まで急反発しました。
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米ドル/円は反発、中期での売り場探しのチャンス!
今週は、月末、四半期末、そして本邦の期末となります。
そのため、本邦企業から実需と思われる米ドル買いがマーケットに持ち込まれていることが、今週の米ドル/円の急騰につながっているようです。
米国株も反発してきたため、米国株とともに売り込まれていた豪ドル/円も88円台後半に反発。
(出所:TradingView)
本邦の期末要因と、AT1債急落による混乱が落ち着き、米2年債利回りが4.00%を回復。
米金利の反発により、リスク許容度も戻ってきています。
短期では米ドル/円、豪ドル/円も買い目線のほうが効果的だと想定しています。
ただこの米2年債利回りが再び5.00%に戻ることは考えがたいため、この米ドル/円の反発は中期では、いい売り場の提供になると想定しています。
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