先週、今週と、週末に出たリスク回避の材料を早い段階で食い止めようとしている動きが出た
金融市場は不安定な状態が続いていますが、今週(3月20日~)のオープン前にも「日米欧の6中銀が米ドルの資金供給強化」と報じられ、週明けのリスク回避の動きは緩和されました。
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先週(3月13日~)のオープン前も、SVB(シリコンバレー銀行)の預金者の全額保護が報じられ、週明けのリスク回避の動きは緩和させられています。
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週末に出たリスク回避の材料を早い段階で食い止めようとしているのが分かります。
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金融不安は燻ったままだが、リスク回避の動きになれば、FRBなどが素早く対応するため、反発を伴いながらの推移
ただ、金融不安は燻ったままです。
今週初は、クレディ・スイスをUBSが買収との報道や、AT1債(※)約2兆円強が無価値として扱われるなど、リスク回避の動きとなり、米ドル/円は130.54円まで下がりました。
(※編集部注:「AT1債」とは、劣後債の一種であり、経営破綻時には通常の社債よりも弁済順位が劣後する)
(出所:TradingView)
AT1債に関してですが、銀行が資金調達する方法はいくつかあります。債務を弁済する優先順位で並べると、預金、社債、AT1債(劣後債)、株式の順番となります。それに対応するように利回りの低い順は、預金、社債、AT1債(劣後債)、株式となります。
債務の優先順位は、株式が一番最後になりますが、それよりもAT1債が先に無価値となったことで、月曜日(3月20日)の東京市場は、リスク回避の動きになったことになります。
その後に、欧州やイギリスなどの金融当局が、「社債保有者の前に株主に損失負担を求めることを表明」したことで、その巻き戻しの動きとなりました。
昨日(3月21日)には、イエレン米財務長官が講演で、金融不安がさらに広がった場合は、預金の全額保護などの臨時措置をさらに拡大する可能性を示唆しました。
ただ、具体性がなかったことから、この動きも一時的に終わっています。
金融不安は燻ったままですが、リスク回避の動きになれば、FRB(米連邦準備制度理事会)などが素早く対応し、そのため一気にリスク回避の動きは進まず、反発を伴いながらの推移となっています。
パウエルFRB議長が据え置きを示唆すれば、米ドル/円は売られることに。決算前のレパトリも上値を抑える材料
具体的にみると、米ドル/円は日足では下降トレンドとなっていますが、4時間足や1時間足では、2~3円ほどの反発が何度も起きており、ボラティリティが非常に高い状態が続いています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
今週は、水曜日(3月22日)の27時にFOMC(米連邦公開市場委員会)があり、0.25%の利上げか据え置きになるか、市場の予想も割れています。
パウエルFRB議長の発言にも注目が集まります。
インフレに軸足をどの程度置くのか、金融システム不安がある状態で、ハト派な発言がどの程度出るのか、次回のFOMCの利上げ幅に関しては言及しないと思いますが、据え置きを示唆するようであれば、米ドル/円も売られることになると思います。
そして今週は、決算前のレパトリ(海外資金の本国償還)も出やすいときになります。米ドル/円の上値を抑える材料になりそうです。
米長期金利は上昇トレンドに戻るような状況ではなく、米ドル/円の上昇も一時的になりそう
先週のコラムでは、多くのドルストレート(米ドルが絡んだ通貨ペア)が米ドルの高値を付けており、米ドル安になるのではないかと考えていました。
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実際にその通りになりましたが、今週は米ドルの戻り水準を探る週になりそうです。
為替市場の動きは、米金利が主導しているため、これを見る必要があり、米金利が下がれば米ドル/円も下がり、反発すれば米ドル/円も上がります。
米長期金利(米10年債利回り)は、1月安値の3.32%台を一時的に下抜けましたが、その水準では下ヒゲの長い足となりました。
その水準でサポートされたことで、いったん反発過程に入っているように思います。
(出所:TradingView)
市場は、FRBが夏ごろに利下げすると予想し始めていることもあり、米長期金利が上昇トレンドに戻るような状況ではないと思います。
そのため、現在の反発も一時的な上昇で終わりそうです。
(出所:TradingView)
そうなると、米ドル/円の上昇も一時的になると思います。
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米ドル/円は133円台を目途に戻り売り
先週月曜日(3月13日)は132.28円まで下がっていましたが、その後に135.11円まで約2.8円反発しています。
今回も同じだけ反発すると仮定すれば、130.54円から2.8円反発は133.30円付近となります。その水準は38%戻しなどレジスタンスが複数ある水準です。
今週はFOMCもあり、その内容によって変わる可能性もありますが、米金利が上昇することは考えにくいため、米ドル/円も戻り売りとなり、上値としては133円台が目途となりそうです。
(出所:TradingView)
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