パウエルFRB議長が重要視する、4つの経済指標を改めて確認
パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が、今後の金融政策を判断するにおいて重要視していると指摘した、4つの経済指標が出そろいましたので、改めて確認をしたいと思います。
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⇒米ドル/円やクロス円が、ほとんど無視されていた「求人件数」に敏感に反応して、円高に振れたワケは? マーケットは気迷い状態。米雇用統計で相場観を修正(4月6日、今井雅人)
1.JOLTS求人件数:2月の求人件数は993.1万件で予想を下回る。2021年5月以来の低水準
2.米雇用統計:3月分は失業率が3.5%、非農業部門就業者数が23.6万人の増加、平均時給が前年同月比4.2%の増加といずれも予想とほぼほぼ同じ水準
3.米CPI(消費者物価指数):3月分が年率5.0%で予想の5.2%を下回る。ただし、コア指数は予想どおりの数字で高止まり
4.米PPI(卸売物価指数):3月分が年率2.7%と予想の3.0%を下回る。また、コア指数も予想を下回る
全体的な印象としては、雇用環境は以前よりは弱くはなっているものの、急激な利上げの割にはまだ堅調で、賃金の上昇も続いています。
インフレ率は確実に低下してきているものの、賃金の上昇を受けて、サービス部門での物価上昇が収まっていないという感じです。
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次回のFOMCは0.25%の利上げで、利上げはいったん停止されそう
4つが出そろったところで、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFFレート(※)先物の水準を見てみますと、5月のFOMCでは金利据え置き予想が約3割、0.25%利上げ予想が約7割となっています。
(※編集部注:「FFレート」とは、フェデラルファンド金利のことで、FF金利とも呼ばれる。米国の政策金利)
私自身も、次回のFOMCは0.25%の利上げだと考えています。
理由は、雇用環境がまだ堅調であることと、米CPIのコアが高止まりしていることです。
そして、次回のFOMCで利上げはいったん停止されるのではないかと思います。
思い出してみると、半年前から、2023年の春先に利上げ停止の可能性が高いと話してきましたので、ある意味、予定どおりに動いているということになります。
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⇒米ドル/円は137円台から141円台、ユーロ/米ドルは1.02ドル台から1.05ドル台のレンジを想定。FOMC議事録で利上げや米ドル高の終焉を確信したが、一気に米ドル安にもならない(2022年11月25日、今井雅人)
⇒米ドル/円は140円の節目を下抜けると、さらに下がりそう! 衝撃の米CPIを受けた米ドルの下げは、一時的なものでない。米利上げが終わるのであれば、米ドル高も終わるということ(2022年11月11日、今井雅人)
その後は、マーケットの関心はいつ利下げに転じるかということになってくると思いますが、それは今後の経済指標次第ですので、今、判断するのは早すぎます。
米ドル相場自体は方向感が出せなくなってしまっている
さて、こうした前提のもと、今後の相場展開を考えてみます。
まず、米国の金融政策はほぼ読めてきましたので、今後はあまり材料にはならないと思います。
米CPIや米PPIが予想を下回っても、米長期金利がそれほど低下しなかったことを見る限り、米国の長期金利は当面の下限まで下がっているということを示しているのではないかと考えています。
ということになると、米ドル相場自体は方向感が出せなくなってしまっているのではないかと思います。
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注目されているのがユーロ/円を中心としたクロス円。ECBの利上げ観測や、日本の機関投資家の外貨投資で
米ドルに方向感がなくなってくると、マーケットは他の通貨にチャンスを見出そうとします。
そこで、注目されているのがユーロ/円を中心としたクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)です。
ユーロに関しては、ECB(欧州中央銀行)の複数の関係者が最近も、さらなる利上げが必要だという認識を示しています。
EU(欧州連合)圏のHICP(※)が、直近の3月でも6.9%と米国よりもかなり高いことが原因です。
(※編集部注:「HICP」とは、EU基準の消費者物価指数である調和消費者物価指数のこと)
また、新年度の4月に入って、日本の機関投資家が新規の外貨投資を始めている様子もうかがえ、円安傾向を作り出しています。
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⇒米ドル/円は134円を目標に、この1週間は押し目買い! 今後は米雇用統計や米CPIなどに注目。ユーロ/米ドルもこの1週間は押し目買い。1.10ドル台まで伸びる可能性も(3月31日、今井雅人)
(出所:TradingView)
ユーロ/円の買いはまだ続きそう。昨年10月21日高値の148.40円も視野に。メキシコペソ/円の買いも面白い
このような背景から、ユーロ/円が上昇してきましたが、今後も他に面白い通貨ペアが見つからないので、ユーロ/円の買いはまだ続くのではないかと考えています。昨年(2022年)の高値である10月21日(金)の148.40円も視野に入ってきたのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
また、相場が安定してくれば、金利差を稼ぐという手法も有効になってきます。
メキシコペソ/円の買いも面白いと思います。7.5円程度は狙えるのではないかと思います。
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(出所:TradingView)
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