米銀の決算発表に注目する理由は?
先週(4月10日~)は、イエレン米財務長官の発言が注目されました。
3月に起きた金融システム不安の影響で、銀行が融資に慎重な姿勢を強め、「追加利上げの代わりになる可能性がある」として、5月3日(水)FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ見送りの可能性を示唆しています。
イエレン米財務長官は先週、3月に起きた金融システム不安の影響で、銀行が融資に慎重な姿勢を強め、「追加利上げの代わりになる可能性がある」として、5月3日(水)FOMCでの利上げ見送りの可能性を示唆した (C) Bloomberg/Getty Images
金利先物市場では、0.25%利上げを8割ほど織り込んでおり、利上げがコンセンサスですね。
実際に利上げが見送られるかどうかはともかく、市場のコンセンサスとイエレンさんの発言にはギャップがあります。
今週(4月17日~)も、FRB(米連邦準備制度理事会)要人の発言機会が多いので、要注意でしょうか。
イエレンさんが指摘するように、米銀行の決算には僕も注目しています。
FRBは「雇用の最大化」と「物価の安定」というデュアルマンデート(2つの責務)を負っていますが、実際には金融システムの安定も大きな使命ともしています。
極端に言えば、インフレ対策で利上げしている最中に、GM(ゼネラルモーターズ)が潰れそうになっても利上げを続けるでしょうが、シティグループが危ういとなったら金利を据え置くでしょう。
利上げしてもしなくても、「5月3日」を過ぎれば米ドル安へ
金融システム不安の払拭を最優先する、ということですね。
そうです。その意味で、5月に利上げするかどうかは、米銀行の決算次第といえます。
決算発表は先週から始まっており、シティグループやJPモルガンは予想よりもいい数字が出ています。
今週は、4月18日(火)にゴールドマン・サックスやバンク・オブ・アメリカ、4月19日(水)にモルガン・スタンレーなどが決算を発表します。
幸先のいいスタートを切っていますし、利上げが既定路線ですが、決算次第では見送る可能性もある、ということですね。
ただ、大切なのは5月3日(水)で利上げしても、「最後の利上げ」になるということ。
バンク・オブ・アメリカのマイケル・ハートネット氏は米ドルが「過去50年で4回目の弱気相場」に突入したと指摘しています。
そこまでの大相場になるかはともかく、利上げしてもしなくても、5月3日(水)を過ぎれば、米ドルが売られやすい相場になるのは、たしかに思います。
素直に動く米ドル/スイスフラン。米ドル/円は素直ではなく、妙な動き
米ドル/円は134円台まで買われていますね。絶対的な金利差のせいでしょうか。
売りをずっと抱えていると、スワップの支払いがじわじわ効いてくるせいもあるのでしょうし、このところの米ドル/円は素直ではなく、妙な動き方をします。
4月も131円から134円程度のレンジなのですが、日中のボラティリティが高い。
今は米ドル/スイスフランのほうが素直な動きをしており、先週も年初来安値を更新しています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
ゴールド、史上最高値「2089ドル」を超えられるか
ゴールドは2000ドル台をキープしており、2020年8月につけた史上最高値2089ドルを超えるかどうかが焦点。
金融要因からは、米ドル安という追い風が吹き、さらに中国をはじめとする中央銀行による現物買いも加わり、需給を引き締めています。
この構造変化は大きいですし、さらに機関投資家も金ETFを買ってくれば、現物の需給はいっそうタイトになります。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円を戻り売り! YCC修正・撤廃で120円を予想する声も。大きな流れは米ドル安で、「米ドル離れ」が始まるかも。「金利上げすぎ」のNZドルに急落リスク!(4月10日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
前述のハートネット氏も、ゴールドに対して強気です。
さて、今週の通貨ペアですが、米ドル/円の戻り売りは、FOMCを通過した5月3日(水)以降でもいいでしょう。
今週は、米ドル安へ素直に反応している米ドル/スイスフランの戻り売りでいいのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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